実話「南極物語」越冬隊の雪上車のネタバレ

倉持岳志(木村拓哉)が登場するTBSの樺太犬ドラマ「南極大陸」の第3話と実話の比較と感想です。

このページは「南極大陸-第3話と実話の比較と感想」からの続きです。第3話のあらすじは「南極大陸-第3話のあらすじとネタバレ」をご覧ください

ドラマでは雪上車が1台しか映っていなかったが、実話では雪上車は4台あり、うち1台はレッカー車となっていた。

第1次南極観測隊が使用したのは、小松製作所(コマツ)の雪上車KC-20「ぎんれい」タイプで、KC20-3S型(ガソリン車)が2台、KC20-3R型レッカー車(ガソリン車)が1台、KD20-T型トルコン車(ディーゼル車)が1台の計4台だった。

大原鉄工所が1951年(昭和26年)に日本初となる雪上車「ふぶき1号」を開発いていたので、雪上車自体は既に存在していたが、まだ自動車も普及していない時代なので、小松製作所の雪上車も性能は悪かった。

南極観測事業は「全て国産品、日本単独」という方針があり、第1南極観測隊はほとんどの物を国産品で揃えた。

日本は一時期、GHQに飛行機開発を禁止されていたため、南極観測船「宗谷」に搭載していたセスナ180「さち風」は外国製だった。

また、国産の発砲スチロールがなかっため、昭和基地の断熱材に使用した発泡スチロールはドイツのバディシュ社が生産する「スチロポールP」だった。しかし、その他のほとんどの物が日本製品だった。

砕氷船から雪上車まで、ほとんどの装備を国産品で準備できるのは戦勝国でもアメリカやソ連くらいで、敗戦国の日本が国産品で装備を揃えたということは、もの凄いことである。

ドラマ「南極大陸」では、こういう実話の部分が取り上げて欲しかったのだが、第1話で描かれていないのが残念でだ。

さて、雪上車に話を戻す。第1次南極観測隊の雪上車は、黎明期の雪上車なので、性能も良くないし、氷の状況がよくなければ使えないという欠点があった。

だから、雪上車は荷物の搬送では雪上車は活躍したが、南極探検では樺太犬の犬ぞりが活躍した。

この雪上車は、いすゞ自動車のエンジンを使用していた。そして、第1次南極観測隊が南極へ持っていた発電機も、いすゞ自動車の発電機だった。

そういう事情で、エンジン・機械のメンテナンス要員として、いすゞ自動車から第1次越冬隊員1名・大塚正雄が採用されている。

その後の南極観測隊にも、いすゞ自動車の社員が参加しているのもこういう経緯があるからだ。

ドラマ「南極大陸」では、イシマツ自動車の鮫島直人(寺島進)が、いすゞ自動車の社員・大塚正雄にあたる。だから、鮫島直人が運転する雪上車がガス欠で立ち往生したときは、複雑な心境になってしまった。

さて、ドラマ「南極大陸」の第3話も面白かったが、脚本が懸念材料に思う。私は、同じ事を2度繰り返す脚本が嫌いなので、観ていて辛いものがある。

ストリーは好き嫌いがあるので、何とも言えないが、もう少しストーリーを練った方が良かったと思う。実話には、脚色する必用のない良いエピソードがたくさんあるので、史実通りに作った方が良かったと思う。

ストリーはイマイチだが、細かい所は面白いので、私は楽しんで観ている。昭和基地にかまぼこ型の建物を建ているのを観て、発電棟を忠実に再現していたのでニヤリとできる。

倉持岳志(木村拓哉)の青いダウンジャケットがフカフカだったのも笑えた。実話の第1次南極観測隊はヤッケだった。あんな最新のダウンを着ていたら、凍傷になるネタは使えないのではないかと心配してしまった。

横峰新吉(吉沢悠)が子供の名前を付けるエピソードも面白かった。横峰新吉は当初、双子に「太陽」と「洋子」と名付けようとしていたのだが、第3話の最後で変えた。

犬のエピソードがあったので、横峰新吉(吉沢悠)は双子の名前を「タロ」と「ジロ」とにするのかと思ってドキドキしてしまった。結局、双子の名前は「大地」と「友」だった。面白い演出だった。

横峰奈緒美(さくら)はクリスマスに出産しているにもかかわらず、翌年の2月に名付けるところは、ご愛敬というところだろう。

実話では三毛猫タケシも昭和基地で越冬しているのだが、ドラマには三毛猫タケシは登場しなかった。やはり、猫の撮影は難しいのだろうか。ちらり、ちらりと映る程度でよいので、三毛猫タケシを登場させて欲しかった。

ドラマ「南極大陸」で一番凄いのは中島みゆきの主題歌だと思う。ストリーに少々の難があっても、エンディングテーマでグイッと引きつけられていまう。中島みゆきは、やはり凄い。

さて、ドラマ「南極大陸」の原案「南極越冬隊-タロジロの真実」の著者で第1次越冬隊の犬係だった北村泰一さんから、「樺太犬のタロ・ジロを南極の昭和基地に置き去りする」のページにコメントを頂いた。

北村泰一さんは時々、ネットをしておられるようだ。北村泰一さんもドラマ「南極大陸」を観ておられるのだと思うと、次回からドラマを観る目も少し変わる気がする。「南極大陸-第4話のあらすじとネタバレ」へ続く。

ドラマ「南極大陸」の関連情報は「南極大陸の主題歌と原作」をご覧ください。うどんは「お薦めのうどん」をご覧ください。

実話「南極物語」越冬隊の雪上車のネタバレへのコメント

いつも楽しく,また調査されている内容の深さに敬服しながら拝見しています.
初期の雪上車は,ガソリン車をKC,ディーゼル車をKDと呼んで区別していました.ですからKC20-1T型トルコン車(ディーゼル車)というのはありえません.稚内市青少年科学館にKD20-Tが保存されていますので,それと同型車のことかと思います.

  • 投稿者-
  • GAKI
  • -2011年11月9日

ご指摘ありがとうございます。間違いを修正しました。ディーゼル雪上車は「KC20-1T型」ではなく、ご指摘通り「KD20-T」が正解でした。

第2次南極観測隊がディーゼル雪上車「KD20-2T」5台を準備していたので、それと比較するために「1T」と表記しましたが、正式な車式「KD20-T」に改めました。

  • 投稿者-
  • 管理人
  • -2011年11月9日

雪上車の歴史については「日本の雪上車の步み 」(細谷昌之著)という本が詳しいです.GoogleBooksでほぼ前ページを読むことができます.その83ページには,ディーゼル車のエンジンは発電機のエンジンに転用できたので機械の共用効果があった,そのため,二次隊以降はディーゼル車に主力を移した,と書いてあります.

  • 投稿者-
  • GAKI
  • -2011年11月9日

コメントありがとうございます。読破してきました。ディーゼルエンジンを使ったKD20-1T型は、実験車だったんですね。勉強になりました。こういう所もドラマで取り上げて欲しかったです。

  • 投稿者-
  • 管理人
  • -2011年11月9日

教えて下さい。 セスナ機を船上から雪上(氷)に何で降ろしたのでしょうか?
(起重機でしょうか・)
その他疑問と違和感が沢山ありますが、又ここに書いてもよいのでしょうか?
暖房・無線の事など・・・・・

  • 投稿者-
  • ようじ(男性)
  • -2011年11月21日

ようじ(男性)さんへ。
南極観測船「宗谷」の前部マストに「デリック」(クレーンの一種)が付いているので、デリックで飛行機や荷物を下ろすことができます。

ちなみに、第1次南極観測船「宗谷」に搭載していたのはセスナ180で、第2次の時はビーバー機DHC-2型でした。

コメントはいつでも歓迎します。質問には分かる範囲でお答えしますが、私は機械の専門家では無いので、専門的な事は分かりません。ご了承ください。

  • 投稿者-
  • 管理人
  • -2011年11月21日

「デリック」原動機付のウインチ。
よく分かりました。
セスナ180「さち風」第1次南極観測隊、wabページを見て、さらによく分かりました。
ありがとうございます。

「南極物語では」犬と人間のとの愛情・感情として大変感動と勉強になりました。
南極大陸では「エデュテインメントedutainment)」(アメリカドラマERなどのブラッカイマーの演出方法)
娯楽でありながら、教育としての機能。
短くでもドラマの中にその要素をもっと挿入して欲しかったと思うフラストレーションが一杯溜まっています。
無線のシーンでも、電話のように双方向通信では無いので、相手に渡す時は「了解、どうぞ」で相手が次の話をする。
など......
携帯電話などで慣れている人達に、「あ、無線はそうなんだ?」と分かればドラマに奥行きが広がると思うのですが、これは私だけかな?
番組時間の問題もあると思うのですが、わずかな時間ですむ方法もあると思いますが。
1.暖房、雪上車などの燃料はドラム缶120本とか?
2.料理の場面(厨房はこんな風になっているのか、大変だな~、乾燥野菜は?)
3.雪上車は「KC20-1T型」の故障をどうして直したか?「壊れました」では極度の不安、「直りました」だけでは何か物足りない。
4.木村君の責任ではありませんが、服装の違和感
5.クジラの骨の中でのシーンも「おい、眠るな、眠ると死ぬぞ…」など、若い人で知らない人も居るかも?
6.スクリューをどうして直したのか?など…
キリがありません、すみません。このような事を書く場所では無かったのですが。
残りの南極大陸に期待します。
ありがとうございました。

  • 投稿者-
  • ようじ(男性)
  • -2011年11月25日

私はKC20―3南極仕様を所有していて、動体保存していますが、南極観測で使われたか?どうか調べる方法はありますか?

  • 投稿者-
  • 山本
  • -2012年1月11日

山本さんへ
雪上車に車両番号があれば、車両番号から南極観測隊が使用した雪上車かどうか、判別できると思います。問い合わせ先としては、次のような所があると思います。

国立極地研究所…南極観測事業の専門家。
名古屋海洋博物館…南極観測隊が使用した雪上車「KC20-3S」を展示している。
小松製作所…雪上車を製造した。
トヨタ自動車…KC20-3のエンジンを製造した。
南極OB会…南極観測隊のOBが多数所属している。

それぞれ、公式HPがあるので、問い合わせ先は公式HPをご覧ください。

  • 投稿者-
  • 管理人
  • -2012年1月11日