ドラマ「南極大陸」第8話と実話「南極物語」の比較

ドラマ「南極大陸」と実話「南極物語」の比較シリーズの第8弾。ドラマ「南極大陸」の第8話を実話と比較したページです。

実話「南極物語」のあらすじは『実話「南極物語」のあらすじとネタバレ』をご覧ください。ドラマと実話の比較のまとめは「

■ドラマ:帝都新聞が置き去りを報じる
実話では、朝日新聞と共同新聞とが中心になり、樺太犬の置き去り問題を報じていた。

国家事業「南極地域観測」は元を正せば、朝日新聞が後援する「南極学術探検」だった。南極学術探検は、朝日新聞が1億円を拠出して学者を南極へ送り、朝日新聞は南極学術探検を独占報道するという計画だった。

しかし、国家事業となったため、独占報道するための大義名分が無くなり、他の新聞社からクレームが発生した。

朝日新聞は1億円を拠出していたり、事務や雑務を担当していたので、折衝の結果、朝日新聞から1名、共同新聞から1名の計2名が報道担当として南極観測隊に加わることになった。

このような経緯から、第2次南極観測隊には、朝日新聞の疋田桂一郎、共同新聞の吉田基二の計2名が参加していた。

この2人が樺太犬の置き去りになる様子などを日本に打電していたので、日本国内では樺太犬の置き去り問題が大きく報じられていた。

共同新聞は各社の代表なので、共同新聞の報道は各社が共通で報じるのだが、朝日新聞は独自に隊員を送っているので、他社よりも詳しく報じることができた。

■ドラマ:第3次南極観測隊の見送りを含めた検討が始まる。
日本の南極観測事業は、国際共同観測「国際地球観測年(IGY)」の1部門と参加したもので、国際地球観測年は2年で終了する予定だった。

それが、第1次越冬隊が越冬中に、アメリカの学者が中心となって、観測の延長を訴える声を上げ、観測を延長することになった。

これを受けた日本学術学会では、南極観測を含む観測9部門の観測延長をするという方向で検討が進んでいた。

第2次地域観測隊が救助に駆けつけたバートンアイランド号と会合する4日前の1958年(昭和33年)年2月3日、国際会議「南極観測特別委員会(SCAR)」が開かれ、世界共同観測の延長について話し合う。

この会議に、日本代表として東京大学の助教授・力武常次(りきたけ・つねじ)が出席するのだが、日本は予算が決まっていなかったので、特に態度は表明しなかった。

その後、1958年2月24日正午に第2次越冬隊の隊長・永田武が第2次越冬隊の成立を断念し、樺太犬15頭が昭和基地に置き去りになった。

それで、南極観測の延長問題で槍玉に挙がったのが「宗谷の問題」だった。アメリカの砕氷艦「バートンアイランド号」やソ連の砕氷艦「オビ号」と性能が比較され、「宗谷では南極に行けない」と問題視された。

前年、文部省の予算は9億7500万円あったが、このうち、第1次南極観測隊に割り当てられた予算が7億5000万円だった。

このため、国際地球観測年(IGY)の残り観測8部門に割り当てられた予算は2億2500万円となり、南極観測以外の部門は大幅に予算を削られていた。

南極観測は金食い虫なので、反対する人も多く、第2次南極観測船の失敗を機に、南極観測船「宗谷」の性能が問題視された。

南極観測船「宗谷」の砕氷能力(氷を割る力)は、アメリカやソ連に継ぐ性能だったので、性能自体は悪くはなかった(エンジンなどの性能は悪かったが)。

ただ、日本が担当したプリンスハラルド海岸は、アメリカなどが7度の接岸に失敗し、インアクセシブル(接近不可能)と評されていた難所中の難所だった。

プリンスハラルド海岸は近くに暖流が無いので水温(海水温)が低く、氷結期になるとリュツォ=ホルム湾は氷で覆われ、プリンスハラルド海岸は氷で閉ざされてしまう。だから、接岸は非常に困難な場所だった。

それで、氷を割るのが無理なら空を飛べば良いということで、接岸出来なくても物資が輸送できるように、軍用ヘリコプター「シコルスキーS58型」を宗谷に搭載することで、南極観測の延長にこぎ着けたのである。

南極観測を延長した時の時系列は以前に紹介したので、「第3次南極観測隊や第3次越冬隊が発足した理由と経緯」をご覧ください。

■ドラマ:第1次越冬隊は寄港したケープタウンで宗谷を下り、空路で日本へ帰国する。

実話では、第1次越冬隊は寄港したケープタウンで宗谷を下り、少し旅行してから、空路で日本へ帰国している。第2次南極観測隊の隊長・永田武と宗谷の航海長・山本順一の2人も空路で帰国している。

ドラマ「南極大陸」では一切、観測をしていないのだが、実話では南極までの往復中に重力測定など観測を行っているので、観測隊員は宗谷に乗って帰国する。

永田武と山本順一の2人は、第2次南極観測隊の準備・報告のため、第1次南極観測隊の時も空路で帰国している。

■ドラマ:倉持岳志(木村拓哉)が北海道へ謝罪旅行に立
映画「南極物語」でも第1次越冬隊が樺太犬の飼い主に謝罪旅行をしているが、実話では樺太犬を購入しているので謝罪旅行はしていない。

■首輪を抜け出した樺太犬の行動について
ドラマ「南極大陸」では、樺太犬タロ・ジロ・リキ・デリー・アンコ・シロ・ジャック・風連のクマの計8頭が首輪を抜け出し、行動を共にするシーンがある。

実話でも同じ樺太犬8頭が首輪を抜け出しているが、昭和基地は無人になっており、樺太犬の行動は誰も見ていないので想像である。

ドラマ「南極大陸」のグッズや主題歌は「南極大陸の主題歌と原作」をご覧ください。