第1次越冬隊の偉業や功績

仲間由紀恵が登場しなかったTBSの南極越冬隊ドラマ「南極大陸」の最終回と結末の感想の中編です。


このページは「南極大陸の最終回の感想」からの続きです。
■第1次越冬隊の偉業や功績
第1次越冬隊といえば、樺太犬タロ・ジロの生還が有名になったためか、第1次越冬隊の偉業や構成は余り知られていない。
ドラマ「南極大陸」では、ボツンヌーテンの世界初登頂を取り上げていたが、観測での偉業は一切取り上げていない。
第1次越冬隊の偉業や功績には、北村泰一のオーロラ観測、拾ってきた隕石、ウラン鉱山(ピッチブレンド)の発見などがある。こういう功績をドラマ「南極大陸」で紹介して欲しかった。
その昔、江戸時代にペリー提督が来航したとき、ペリー提督は日本の地図の正確さに驚き、引き返したというエピソードがある。そのペリー提督を追い返した地図こそが、伊能忠敬が日本中を歩いて作った地図だった。
この地図のおかげで、明治維新が無事に起こり、近代への礎を築けたと言われている。つまり、たった1枚の地図が日本の未来を守ったのだ。
そういう、知られざる偉人的な部分をドラマ「南極大陸」に求めていたが、第1次越冬隊の偉業は一切紹介されなかった。だから、残念だった。
■北村泰一のオーロラ研究
第1次越冬隊でオーロラ観測・犬係を担当した北村泰一のオーロラ研究は世界を驚かせた。こういう功績をドラマ「南極大陸」で取り上げるべきである。
実は、北村泰一のオーロラ研究は8月と9月のデータが元になっている。7月24日にカブースが火事になり、データが燃えたから、以前のデータは無いからだ。
だから、北村泰一のオーロラ研究を発表することにより、「カブースの火事」というイベントの伏線を回収することができるうえ、国際社会への復帰(日本をアピール)するという目的も達成できる。
北村泰一のオーロラ研究を発表していただけで、ドラマ「南極大陸」の評価は7割は上がったと思う。
ちなみに、カブースの火事の損害額は、当時の価格で144万円だった。
■北村泰一の越冬日記
北村泰一の研究で1つ面白い研究を見つけた。北村泰一は越冬中に越冬日記を付けており、帰国後に越冬日記の単語を「嬉しい言葉」と「辛い言葉」とに分類し、「嬉しい言葉÷辛い言葉」という数式で、越冬中の不快指数を出している。
この不快指数と越冬中に起きた極夜や越冬中の仕事などと比較して、越冬中の感情を分析している。
ドラマ「南極大陸」では、こういう研究を元に、第1次越冬隊の越冬生活を上手く表現すれば、面白いドラマに成ったと思う。どうしてこういう面白い題材を取り上げないのかは疑問だ。
■南極特有の事件が無かった
ドラマ「南極大陸」には、南極だから起こる現象が登場しなかったので、南極らしさを感じなかった。
南極の厳冬期に入ると常に氷点下なので、釘を使わなくても、水かけるだけで、板が張り付いた。そういう、ちょっとした事を入れておくと、南極らしさが表現できた思う。
それに、南極へ行ったらやってみたい事をやって欲しかった。例えば、南極で小便をしたら小便は氷柱(ツララ)になるのか、を実験するシーンなどが欲しかった。
そういう遊び心のあるシーンがあれば、南極への好奇心をくすぐる事が出来たと思う。
ちなみに、南極で小便をすると氷柱(ツララ)になるという都市伝説は、嘘らしい。南極点に到達した越冬隊が南極点で小便をしたが、小便は氷柱には成らなかったそうだ。
■越冬隊と樺太犬の絆
ドラマ「南極大陸」では、樺太犬と越冬隊との絆が描けていなかったので、感情移入ができなかった。
第1次越冬隊の犬係・北村泰一は、樺太犬は使役犬(労働犬)であり、樺太犬を制するのは力である、と教えられていた。だから、棍棒でバシバシと叩いて罰を与えていた。
しかし、北村泰一は、樺太犬は自分の非に相当する罰は甘んじて受けるが、自分の非以上の罰については反抗することに気付き、棍棒を捨てて樺太犬1頭1頭の性格を把握し始めた。
また、樺太犬テツやベックは、北村泰一が犬ぞり旅行から帰ってきた日の夜に死んだ。樺太犬は、北村泰一の帰りを待っていたかのようにして死んだため、北村泰一は「樺太犬には意志がある」と思うようになった。
ドラマ「南極大陸」を犬と人間の絆として描くドラマなのであれば、このように樺太犬と隊員の関係を丁寧に描くべきだったと思う。「ドラマ南極大陸の最終回の感想-後編」へ続く。

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