外務省機密漏洩事件(西山事件)の真実
山崎豊子の小説・ドラマ「運命の人」のモデルとなった外務省機密漏洩事件(西山事件)の真相に迫る都市伝説を紹介する。
このページは「外務省機密漏洩事件(西山事件)の真相」からの続きです。
外務省機密漏洩事件(西山事件)とは、1972年(昭和47年)に毎日新聞の記者・西山太吉が外務省の女性事務官・蓮見喜久子をそそのかし、外務省の機密文章を漏洩させた事件である。
1972年当時、西山太吉は毎日新聞の紙面で佐藤総理を批判するのではなく、社会党の横路孝弘へ外務省の機密電信文を流したため、西山太吉による倒閣運動(政治目的)だったのではないかと噂された。
その理由は、毎日新聞の西山太吉は、自民党の大物議員・大平正芳と親しい関係だったからである。
■西山太吉と大平正芳との関係
西山太吉の山口県出身だが、父親が香川県出身だった。この父親は、香川県から山口県下関へ出て、台湾からのバナナの輸入で一財を成し、「西日本のバナナ王」と呼ばれるようになった伝説のバナナ王である。
父親が香川県出身だったため、西山太吉には香川県に親族が居いた。一方、大平正芳も香川県出身なので、香川県に親族が居た。
それで、西山太吉の親戚と大平正芳の親戚とが結婚し、西山太吉と大平正芳の2人は親戚になったとされている。
西山太吉が国家公務員法111条(そそのかし罪)で逮捕されたとき、西山太吉と大平正芳の2人が親戚筋だったことから、動機は政治目的ではないか、とう噂が広まった。
■西山太吉と安川壮との関係
毎日新聞の記者・西山太吉は、外務省の安川審議官とも非常に親しかった。安川審議官とは、外務省から極秘電信文を持ち出した女性事務官・蓮見喜久子の上司である。
妻・西山啓子の親戚に外務省関係者が居た。安川審議官は安川財閥の人間で父親は実業家だった。この外務省関係者と、実業家の父親が親しかった。そういう関係で、西山太吉は安川審議官と親しかった、とされている(当時の噂による)。
■外務省機密漏洩事件(西山事件)の目的
このような人間関係があったため、西山太吉がそそのかし罪で逮捕されたとき、外務省機密漏洩事件(西山事件)の目的は政治目的なのではないかという容疑が浮上した。
大平正芳は次期総理候補に名前が挙がっており、西山太吉は沖縄密約を利用して、佐藤総理を倒すための倒閣運動(政治目的)なのではないか、という噂が当時は流れていた。
しかし、西山太吉は倒閣運動を否定しており、検察も立件していないことから、倒閣運動説は否定されている。
ただ、当時の噂は、「大平正芳を次期総裁に据えるために、佐藤内閣を倒そうとしたのではないか」という噂だった。
言い換えれば、西山太吉は大平正芳のために極秘電信文を社会党の横路孝弘に横流ししたのではないか、という噂である。この噂は否定されたことになっている。
しかし、西山太吉に出馬の意志があれば、1972年当時の噂はどうなっていただろうか。大平正芳を総理大臣に据える為ではなく、西山太吉自身が出馬する為だったならば…。
「外務省機密漏洩事件(西山事件)の目的と動機」へ続く。