天皇の料理番-感想文

佐藤健が主演するTBSの料理ドラマ「天皇の料理番」の原作となる杉森久英の原作小説「天皇の料理番」のあらすじとネタバレの読書感想文編です。

原作小説「天皇の料理番」のあらすじとネタバレは「天皇の料理番-原作小説のあらすじとネタバレ」をご覧下さい。

■天皇の料理番の感想
(注釈:小説「天皇の料理番」に登場する主人公の名前は「秋沢篤蔵」で、モデルとなったがのが秋山徳蔵ですが、紛らわしいので、このページでは秋山徳蔵で統一します。)

杉森久英の原作小説「天皇の料理番」を読んだ。原作小説「天皇の料理番」は、カツレツを食べて西洋料理に惹かれた少年・秋山徳蔵が東京の華族会館などを経て本場フランスへと渡って西洋料理の修業をし、宮内省大膳職司厨長(天皇の料理番)になるストリーである。

杉森久英の原作小説「天皇の料理番」を読んで、明治時代・大正時代・昭和時代の事情が分り、非常に勉強になったし、第2次大戦後のGHQに料理外交を行い、日本の天皇存続に貢献していた事が凄いと思った。

しかし、原作小説「天皇の料理番」は小説としては、あまり面白くなかった。私は原作小説「天皇の料理番」を秋山徳蔵の立身出世物語として読んだのだが、料理人としての紆余曲折や挫折が無く、秋山徳蔵は意外と簡単に「天皇の料理番」まで上り詰めている。

例えば、ウナギの世界では「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」と言われるように、料理の技術を習得しするには長い修行が必要なのかと思っていたが、秋山徳蔵の修行期間は短いので拍子抜けした。

(注釈:秋山徳蔵の修行期間などについては「天皇の料理番・秋山徳蔵の年表」をご覧ください。)

それに、秋山徳蔵は1つの店で修行している期間も短く、ポンポンと店を変わっているので、職人という感じがせず、「天皇の料理番」という言葉から描くイメージとかけ離れていた。

また、シベリア鉄道でヨーロッパへ渡る費用300円(現在の300万円相当)も父親が出してくれており、かなり恵まれているので、苦労して立身出世したというイメージを受けなかった。

原作小説「天皇の料理番」は実話がベースになっているので仕方が無いが、ライバルなども登場しないし、なんとなく、小説としては物足りない印象を受けた。

■天皇陵料理番は料理人として失格だった
ここからは、原作小説「天皇の料理番」の話ではなく、小説のモデルとなった秋山徳蔵の話である。

秋山徳蔵は「天皇の料理番」と呼ばれるくらいだから、料理人として超一流なのいだろうと思っていたが、秋山徳蔵は料理人として失格だった。

実は「天皇の料理番」と呼ばれる秋山徳蔵はタバコを吸う。それもかなりのヘビースモーカーで、外国人との付き合いもあったので葉巻なども吸い、1日に60本から70本もタバコを吸っていた。

美食家の海原雄山は、漫画「美味しんぼ」の第1巻・第7話「板前の条件」の中で、タバコを吸う料理人・良三に対して「腕の良し、悪し以前の問題だ。こやつに料理を作る資格は無い」と断罪している。

美食家の海原雄山だけならまだしも、海原雄山に反発する山岡士郎までもが、料理人・良三に対して「タバコを吸うなら料理人を諦めた方が良い」と言い、タバコを人間は料理人として失格だと指摘している。

タバコを吸う料理人については賛否があるかもしれないが、秋山徳蔵自身もタバコについて「いつも頭痛があるし、第一にいけないことには、舌が荒れ、鼻の嗅覚の鋭敏さが失われ、料理人の仕事の上に、たいへん差し支えるのである」と言っている。

まさか、「天皇の料理番」と呼ばれる秋山徳蔵が、美食家の海原雄山から「料理人失格」の烙印を押されるとは思わなかったので、色々と残念だった。

秋山徳蔵が海原雄山から料理人失格の烙印を押されているのも、原作小説「天皇の料理番」があまり面白くないと感じた原因の1つだと思う。だから、次からは、「天皇の料理番」の採用条件に「非喫煙者」という条件を加えた方が良いと思う。

そして、漫画「美味しんぼ」に「天皇の料理番」を登場させて、海原雄山にリベンジして欲しいと思った。

なお、秋山徳蔵はタバコの害悪を自覚しながらも、禁煙できずにズルズルとタバコを吸っていたが、大宮様(貞明皇后)が崩御(死去)した事を切っ掛けに禁煙したようである。

秋山徳蔵の生涯のあらすじとネタバレは「実話・天皇の料理番-あらすじとネタバレ」をご覧下さい。