カッコーの巣の上で-マクマーフィーとビリーの解説

ジャック・ニコルソンが主演する映画「カッコーの巣の上で」(原作はケン・キージーの小説「One Flew Over the Cuckoo's Nest」)のあらすじとネタバレの番外編「カッコーの巣の上で-マクマーフィーとビリーの解説」です。

このページは「カッコーの巣の上で-時代背景のネタバレ解説」からの続きです。

■マクマーフィーの解説
1960年代のベトナム戦争への反対運動から、黒人の公民権運動、女性解放運動、反精神医学、反宗教などの運動が発生しました。そうしたなかから、ヒッピーと呼ばれる若者が誕生しました。

ヒッピーというのは、こまでの文化・価値観・思想などを拒否した人々で、魂の解放を求めた人々です。こうしたヒッピー文化は全米に広まり、映画・音楽・文学・宗教など様々なものに影響を与え、映画界では「ニューシネマ」が誕生しました。

だから、精神病院で権力に反抗する主人公マクマーフィー(ジャック・ニコルソン)は、体制批判の中から生まれたヒッピーの象徴として描かれているのです。

■マクマーフィーはイエス・キリストの象徴
映画「カッコーの巣の上で」の主人公マクマーフィー(ジャック・ニコルソン)は、キリスト教のイエス・キリストの象徴として解釈することが出来ます。

淫行で有罪判決を受けた主人公マクマーフィー(イエス・キリスト)は、刑務所の労役を逃れて、精神病院へとやってきました。

精神病棟は看護婦長ラチェッドが支配されており、入院患者は看護婦長ラチェッドに不満を持ちながらも従順に従っていました。

精神病棟に入ったマクマーフィー(イエス・キリスト)は、入院患者に手をさしのべ、自由という精神を教えていきます。

やがて、マクマーフィー(イエス・キリスト)は、精神病院から逃げ出すことにして、クリスマスパーティー(最後の晩餐)を開きます。

しかし、童貞ビリー(キリストの使徒ユダ)が原因で、マクマーフィー(イエス・キリスト)は看護婦長ラチェッドに捕まり、ロボトミー(十字架)に掛けられてしまいます。

ロボトミー(十字架)かけられて廃人になったマクマーフィー(イエス・キリスト)を見た聾唖のチーフ(ロンギヌス)は、マクマーフィー(イエス・キリスト)に枕を押し当てて窒息させます。

そして、聾唖のチーフ(ロンギヌス)は、マクマーフィー(イエス・キリスト)が持ち上げられなかった噴水台を持ちあげるという奇跡を起こし、噴水台で窓を壊し、精神病院から逃げ出しました。

その後、病棟は看護婦長ラチェッドが支配する平和な病棟に戻りましたが、入院患者らの間にはマクマーフィー(イエス・キリスト)が教えた掛けポーカー(キリストの教え)が残りました。

(注釈:ロンギヌスは十字架にかけられたイエスキリストを槍で突いた人物で、盲目だったロンギヌスはキリストの血を浴びで目が見えるようになったとされています。)

このように、マクマーフィーは、イエス・キリストと同じように、入院患者の貴い犠牲となり、死んでいったと解釈できるのです。

■童貞ビリーが童貞を卒業できた理由
映画「カッコーの巣の上で」の中で、マクマーフィー(ジャック・ニコルソン)は船の中でキャサリンとセックスをしている関係なのですが、マクマーフィーがビリーとセックスしてやってくれと頼むと、キャサリンはビリーとセックスします。

このシーンに違和感を覚える人も居るかもしれませんが、1960年代に誕生したヒッピーは「ドラック・セックス・ロックンロール」を合い言葉にしており、ヒッピーの女性は性に開放的だったのです。

一方、日本でも1960年代に学生運動が起こり、体制批判が盛んになっていました。そして、ヒッピーの影響は日本にまで伝わり、学生運動の一部のグループではフリーセックスが盛んになりました。

ジャーナリストの田原総一朗は、学生運動の中から発生したフリーセックス集団をドキュメンタリー取材したとき、女性にセックスを求められたので、セックスに応じ、その様子がテレビで放送されました。

男女の性行為がテレビで放映されたのは、これが初めてだったので、田原総一朗は「日本初のAV男優」を名乗るようになりました。

カッコーの巣の上で-チーフの解説」へ続く。

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