ブラックペアン1988-原作の犯人と結末ネタバレ感想文

二宮和也が主演するTBSのドラマ「ブラックペアン」の原作となる小説「ブラックペアン1988」のネタバレ感想文です。

あらすじとネタバレは「ブラックペアン1988-原作のあらすじのネタバレ」をご覧ください。

■ブラックペアン1988-ネタバレ感想文

海堂尊の原作小説「ブラックペアン1988」が、2017年4月期にTBSでドラマ化されるので、原作を読んだ。

海堂尊は小説「チーム・バチスタシリーズ」を書いており、今回の「ブラックペアン1988」は「チーム・バチスタシリーズ」の20年前、昭和63年(1988年)の東城大学医学部付属病院が舞台となっている。

チーム・バチスタシリーズに登場する人々の若かりし頃が描かれており、東城大学医学部付属病院の院長として登場する高階権太が、東城大学医学部付属病院に来た経緯が書かれている。

また、チーム・バチスタシリーズで主人公となる田口公平も登場しており、田口公平が手術を見学したときに血を見て倒れ、外科には向いていないことを自覚し、内科へと進む経緯が書かれている。

原作小説「ブラックペアン1988」はチーム・バチスタシリーズを読んでいなくても面白いが、チーム・バチスタシリーズを読んでいれば、より楽しめる内容になっているので、チーム・バチスタシリーズも一緒に読むことをおすすめしたい。

なお、ドラマ「ブラックペアン」では海征司郎(二宮和也)が主人公だが、原作では世良雅志が主人公となっている。

さて、ここからはネタバレに触れていくので、原作「ブラックペアン1988」の結末やネタバレを知りたくない人は、閲覧をご遠慮ください。

■ブラックペアン1988の結末ネタバレ

海征司郎の父・渡海一郎は、東城大学医学部付属病院の内科に勤務しており、外科の佐伯清剛(当時は助教授)からも信頼されていた。

そこで、助教授・佐伯清剛は海外の学会に出席するとき、自分の患者を渡海一郎に任せたのだが、助教授・佐伯清剛が海外の学会に出てる間に、預けた患者・飯沼達次が腹痛を起こしてしまう。

このため、渡海一郎はレントゲン撮影を行い、患者・飯沼達次の腹部にペアンが残されているのを発見してしまうのだった。

渡海一郎は助教授・佐伯清剛に連絡したが、助教授・佐伯清剛は電報しか使えない地域に居り、学会に出る時間も迫っていたので、「手術はするな」という短文の返事しか出来なかった。

驚いた渡海一郎は上司に手術を訴えたのだが、系列の病院に飛ばされてしまったのである。

海征司郎は父・渡海一郎の敵を取るため、系列の碧翠院桜宮病院に通院を続けている患者・飯沼達次に接触し、レントゲンを撮って、アンペが腹の中にあることを教え、手術の同意を得ていた。

そして、海征司郎は教授・佐伯清剛が国際シンポジウムに出席している間に、患者・飯沼達次の手術を行い、腹部からペアンを取り出そうとした。

しかし、それを知った教授・佐伯清剛がドクターヘリを駆使して戻ってきて、患者・飯沼達次の手術の中止を命じた。

高階権太・渡海征司郎は命令を無視しして、患者・飯沼達次の腹部からペアンを取り出すが、謎の大量出血が始まってしまい、出血が止められずにピンチに陥る。

すると、教授・佐伯清剛は、血管を縛って出血を止めることができないので、仕方なくペアンで止血したまま腹部を閉じたことを明かした。

つまり、教授・佐伯清剛は、ペアンを置き忘れたのではなく、患者・飯沼達次の命を助けるために仕方なく残してきたのである。

全てを明かした教授・佐伯清剛は、ブラックペアンを使って再び止血し、ブラックペアンを患者・飯沼達次の腹の中に残したまま腹部を閉じた。

ブラックペアンはカーボン製で、レントゲンで撮影しても写らず、火葬したときに灰になるので、後にも残らない。教授・佐伯清剛は、こうした事態を想定して、ブラックペアンを使っていたのだった。

■ブラックペアンの感想

原作小説「ブラックペアン1988」は面白かった。私は、教授・佐伯清剛が腹部にペアンを置き忘れてきたので、レントゲンに写らないようにブラックペアンを使っているのかと思ったのだが、真実はそうではなかった。

真実は、教授・佐伯清剛はペアンを置き忘れたのでは無く、患者・飯沼達次の命を救うためにペアンを残したまま腹部を閉じていた。

そして、患者側に説明したとしても到底理解されないと考えたので、患者側には教えなかったのである。

私は原作小説「ブラックペアン1988」を読んで、今回のテーマは告知問題ではないかと思った。

原作の舞台となる昭和63年(1988年)当時、癌は死の病気であり、癌告知は死刑宣告と同じで、家族には癌告知されていたが、本人に癌告知は行われていなかった。

このため、佐伯外科でも患者本人に対する癌告知はしていなかったが、佐伯清剛だけが例外的に患者本人に癌告知をしていた。

こうした癌告知に対する対立構造が、結末への伏線になっているのだと考えられる。

当時の時代背景を考えると、仕方が無いのかもしれないが、私は佐伯清剛が患者・飯沼達次の腹部にペアンを残してきたことを告知するべきだったと思う。

医師は患者の命を助けるという大義名分を持つが、命を救うために何をしても許されるという分けではない。

平成4年(1992年)に、輸血を禁じられた宗教団体「エホバの証人」の信者が輸血を拒否したにもかかわらず、医師が患者を救うため、手術中に輸血したという事件があった。

エホバの証人輸血事件は、裁判で医師の過失が争われた結果、最高裁で医師の過失が認められ、医療界でインフォームドコンセントが注目される切っ掛けとなった。

インフォームドコンセントとは、医師が患者に病名や症状を告知して十分に治療方針を説明し、患者が納得して治療を行うことである。

人間には命よりも大切な物があるので、ただ助かれば良いというわけではないと思う。命が助かったとしても、何も知らされない患者は幸せだとは思えない。

人間はただ生きていいればいいというわけではなく、自分の幸せを追求する権利があるはずだ。

だから、私は佐伯教授は患者・飯沼達次に、ペアンを腹部に残してきたことを告知するべきだと思った。

■司法解剖したらどなるのか?

教授・佐伯清剛は、カーボン製ならレントゲンにも写らないし、火葬したときに燃えて残らないということで、カーボン製の黒いペアン(ブラックペアン)を使用していた。

しかし、私は患者・飯沼達次が死んだ時に司法解剖されたら、カーボン製でも見つかってしまうのではないかと思った。

原作小説「ブラックペアン1988」から20年後の東城医大を描いた「チーム・バチスタシリーズ」は死亡自画像診断(AI)を舞台にしている。

CTはレントゲンと同じようにX線を使って撮影しているので、CTによる死亡自画像診断(AI)ならペアンは写らない。

死亡自画像診断(AI)でも、カーボン製のペアンは写らないのだだとすれば、死亡自画像診断(AI)の普及を推進する本当の目的は、腹部に残したブラックペアンを隠蔽するためではないのだろうか、と思った。

もちろん、私の妄想なので、真相は分からない。

■スナイプAZ1988の問題

高階権太は、食道自動吻合器「スナイプAZ1988」をひっさげて、佐伯外科にやってきた。

「スナイプAZ1988」は、食道を自動で吻合する手術機器で、高階権太は「スナイプAZ1988」が使えば、誰でも簡単に食道癌を手術することができると豪語する。

しかし、中堅医師の関川は、「スナイプAZ1988」を使った手術でミスを犯し、患者を死なせかけてしまう。

そこへ、高階権太が駆けつけて患者を救うのだが、高階権太が患者を救ったのは、「スナイプAZ1988」を使用しない旧来依然とした手技による吻合であった。

このため、教授・佐伯清剛は、高階権太に、外科医に必要なのは技術だと告げている。

私は、これは当然のことだと思う。例えば計算機があるから、足し算やかけ算を覚えなくてもいいかと言うと、そうではない。

計算機はあくまでも「道具」であり、足し算やかけ算は「技術」である。道具は人間の生活を便利するが、それ以上でも、それ以下でもない。道具は道具にしか過ぎず、新しい物は生み出さない。

だから、技術を得たしたうえで道具を使うのは良いが、技術を学ばずに道具だけに頼るのは危ない。道具はあくまでも技術を習得したうえで利用するべきだと思う。

■院内恋愛のネタバレ

世良雅志は看護婦1年目の花房美和に誘われて映画「となりのトトロ」を見に行っており、花房美和は世良雅志に好意を寄せているようだが、交際には発展していない。

一方、渡海征司郎は看護婦・猫田麻里のことが好きだが、猫田麻里は昼寝しか興味が無く、渡海征司郎には興味が無いようだ。

渡海征司郎は看護婦・猫田麻里のために手術準備室を提供しようとしたのだが、看護婦・猫田麻里はタバコ臭いと言って断っており、こちらも交際には発展していない。

花房美和や猫田麻里も、20年後のチーム・バチスタシリーズに登場するので、2人の恋愛遍歴にスポットを当てて、チーム・バチスタシリーズを読み返してみるのも面白いと思った。

スポンサードリンク