外交官・黒田康作の原作の犯人と黒幕のネタバレ

映画・ドラマ「外交官・黒田康作」の原作となる真保裕一の小説「天使の報酬」の感想と黒幕や真犯人のネタバレです。このページは黒幕や犯人をネタバレしているので、閲覧にはご注意ください。


このページは「天使の報酬のネタバレと感想」からの続きです。ネタバレ一覧は「天使の報酬のネタバレのまとめ」をご覧ください。
7年前にボリビアで起きたひき逃げ事件で死んだはずの霜村毅(しもむら・つよし)は生きており、マニラで自殺したはずの矢田部一郎(やだべ・いちろう)も生きていた。
2人とも、各父親と外交官・吉村進(よしむら・すすむ)との協力で、他人の遺体を自分の遺体だと偽装する「ボディー・ロンダリング」(死体の身元偽造)という方法で死亡したことにしていた。
吉村進はノンキャリア組だが、ボディー・ロンダリングに荷担して、異例の出世を遂げている。
前ページで犯人はロリコンだと書いた。そのロリコンの犯人とは霜村毅である。霜村毅はバンコクで幼女を買春したうえ、幼女の母親を殺害し、事件の黒幕となる斎藤修助課長に脅されていた。
霜村毅は医師免許を持っているが、人付き合いが苦手で、医者にはならずに中央医学研究センターで研修者として働いていた。人付き合いが苦手なのに、バンコクまで行って幼女を買うアクティブなところがあることに驚いた。
中央医学研究センターからウイルスを盗んだテロリストは霜村毅なのかと思っていたところに、バンコクで児童買春していたことが判明する。まさに、テロからエロへと変わった瞬間である。こういうところは緊張と緩和で面白い。
タイやオーストラリアは買春が合法で、タイ・バンコクは買春旅行の地として有名である。当然、児童売春や幼女買春も行われているだろうが、流石にタイでも児童売春が非合法なのだろう。
中央医学研究センターの玄関に軽トラックを突入させ、中央医学研究センターに侵入してウイルスを盗み出した犯人は霜村毅だった。黒幕の斎藤修助課長はエボラウイルスを盗むように命令していたが、霜村毅が盗んだのは単なるコロナウイルスだった。
そして、黒幕の斎藤修助課長に脅されていた参事官の吉村進が、外交特権の1つ「外交行嚢(がいこうこうのう)」を利用して、盗んだウイルスをアメリカへ持ち込むが、ウイスルを運ぶ不漏出型容器にはウイルスは入っていない。
吉村進は、ウイルスの入った不漏出型容器を警視庁へ送り付け、空の不漏出型容器を外交行嚢に入れ、黒幕をおびき出すためにアメリカへ向かったのである。
霜村毅も吉村参事官も、黒幕の斎藤課長を欺くのだが、霜村毅も吉村参事官も犯罪者なので、正義感のようなものが感じられなかった。
外交官の黒田康作は警察を支援する立場なので仕方が無いが、傍観者に終わっている点は残念だった。吉村参事官ではなく、黒田康作が不漏出型容器を運んで、スリリングな展開にして欲しかった。
ウイルスを使ったテロの噂は実際にある。直近でウイスルテロだと言われているのは、2010年に宮崎県で起きた口蹄疫(こうていえき)だ。国の対応も遅く、宮崎県に大きな打撃を与えたことは記憶に新しい。
ほかにも、2002年に発生したサーズもコロナウイスルを人為的に変異させたものではないかという噂がある。2009年に発生した新型豚インフルエンザはテロやバイオハザードだという噂がある。ウイルステロはわりと身近な問題なのである。
さて、黒幕の斎藤修助課長については、動機が不明瞭だった。斎藤修助課長の目的はアルフォンソ・ロペス元副大統領を殺害するためだった。動機は、アルフォンソ・ロペスが副大統領時代に多くの日系人を拷問して殺したためである。
黒幕の斎藤修助課長については、もっと明確な動機が欲しかった。それに、外務省領事局邦人安全課の課長からボリビアの元副大統領までは少し距離が遠すぎる。標的はアルフォンソ・ロペス元副大統領ではなく、ブライトン製薬だった方が分りやすかったと思う。
黒幕が判明してから読み返してみると、斎藤修助課長は黒田康作に余計な情報を与えて、ミスリードを誘っていることが分る。読み返して、なるほどと納得するシーンもあった。
一方、矢田部一郎が長谷川哲士弁護士を交通事故にみせかけて殺した理由が理解できなかった。長谷川哲は松原宏美の婚約者で、ブライトン製薬の薬害訴訟を担当する弁護士である。
長谷川哲士弁護士は、7年前にボリビアで死亡した霜村毅のひき逃げ事件に興味を持つ。だから、霜村毅に殺されるのであれば分るが、交通事故の黒幕が矢田部一郎だったので疑問が残った。
他方、武石忠実(たけいし・ただみ)と宇野義也(うの・よしや)の2人は、同じフリーライターなので混乱した。
武石忠実はアメリカでロベルト・パチェコとトラブルを起こし、日本に帰国後に殺害された人物で、宇野義也は7年前にボリビアで霜村毅に殺害され、ボディー・ロンダリングに使用された人物である。
フリーラーターも2人登場するし、ボディー・ロンダリングをしていた犯人も2人登場するので、小説を読んでいてかなり混乱した。ドラマや映画では時間の問題もあるので、もっとスッキリしたストリーになると思う。ドラマ・映画「外交官・黒田康作」に期待したい。「外交官・黒田康作の犯人」へ続く。

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