半沢直樹(銀翼のイカロス)-その後と実話のネタバレ

堺雅人が主演するTBSの土下座ドラマ「半沢直樹(銀翼のイカロス)」のその後と実話のネタバレです。

■半沢直樹(銀翼のイカロス)のその後と実話のネタバレ

日本を代表する航空会社には「JAL(日本航空)」と「ANA(全日本空輸)」があるのですが、「半沢直樹(銀翼のイカロス)」のモデルとなるのは「JAL(日本航空)」の方です。

ただ、「半沢直樹(銀翼のイカロス)」の原作では、JALの倒産までは描かれていないので、JALが倒産するまでの経緯を簡単に紹介します。

さて、JALは、アメリカで起きた「9.11」や「リーマンショック」、イラク戦争やサーズが流行した影響で業績が急激に悪化して、赤字に陥っていました。格安航空会社LCCも台頭しており、非常に厳しい状況でした。

JALでは人事的クーデターも起きていたし、JALには労働組合が8団体もあるうえ、OBへの企業年金問題もあり、混沌としていました。

このため、JALは銀行団に2000億円の融資を要請していたのですが、メーンバンクの政策投資銀行の完全民営化が頓挫したため、JALへの融資は1000億円にとどまりました。

そして、政策投資銀行の完全民営化が頓挫したと言うことは、JALへの融資は政策投資銀行を監督する財務省の責任問題にもなってくるため、財務省は国土交通省にJALを再建するように圧力をかけました。

圧力を受けた自民党政権下の国土交通省は、2009年8月に「日本航空の経営改善のための有識者会議」を設置します。

既に政権交代が確実視されており、政府不在だったのですが、国土交通省は官僚主導でJALの再建に向けて動き始めました。

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■JAL再生タスクフォースのネタバレ

そのようななか、2009年7月の総選挙で政権を取った民主党が、自民党時代の「官僚主導」政策を否定し、「脱官僚」政策を掲げます。

国土交通大臣に就任した民主党の前原誠司も、自民党時代の「日本航空の経営改善のための有識者会議」を否定し、私設諮問機関「JAL再生タスクフォース」を設置しました。

既に有識者会議がJALのリストラ案などをまとめていたのですが、「JAL再生タスクフォース」は有識者会議の案を否定し、ゼロからJALの調査を開始します。

さて、「JAL再生タスクフォース」はJALの資産を査定していくと、JALの実態が明らかになっていきます。

なんと、JALの資金繰りは、中小企業でもあり得ないほどのどんぶり勘定だったのです。どこからお金が入ってきて、どこに出て行くのか、全く管理できていませんでした。

そこで、「JAL再生タスクフォース」が資金繰りを調べると、JALは1兆円の債務超過に陥っており、このままいけば資金ショートを起こすことが判明します。

銀行団に債権放棄を要請したとしても、多額の融資が必要だったのですが、民間からの融資は目処が立ちません。財務省も産業再生法の活用を拒否していました。

産業再生法が活用できないのであれば、公的資金を投入する方法は、企業再生支援機構の活用しか残されていません。

しかし、企業再生支援機構を活用すれば、JALの再建は企業再生支援機構の手に委ねることになります。

ただ、企業再生支援機構は中小企業を対象としており、JALのような巨大企業は実績がないうえ、JALには資金ショートというタイムリミットがありました。

このため、「JAL再生タスクフォース」のサブリーダー冨山和彦は、JAL再建の基本方針を確立して、そのまま企業再生支援機構下でもJAL再建の実務を取り仕切り、再建の主導権を握ろうと考えました。

そこで、冨山和彦は銀行団に対して債権放棄を要求するのですが、当然、銀行団から反発を食らいます。

「半沢直樹(銀翼のイカロス)」で銀行に債権放棄を要求するエピソードは、この辺がモデルとなっています。

■「JAL再生タスクフォース」の解散

「JAL再生タスクフォース」は、三田工業を再建した京セラの会長・稲盛和夫を担ぎ出し、JALの最高経営責任者への就任を依頼します。

さらに、「JAL再生タスクフォース」のサブリーダー冨山和彦は、企業再生支援機構下でも、JAL再建の主導権を握るため、根回しを行い、国土交通大臣の前原誠司に最終提案書を提出しました。

こうして、正式に企業再生支援機構へ支援を要請したのですが、企業再生支援機構の瀬戸英雄は、冨山和彦の案を拒絶し、副総理の菅直人に「JAL再生タスクフォース」の排除を要請しました。

こうして、菅直人が重い腰を上げ、国土交通大臣の前原誠司はJAL再建問題から外れ、「JAL再生タスクフォース」も解散に追い込まれました。

「JAL再生タスクフォース」は、2009年7月から10月までという、わずか3ヶ月の短命に終わりました。

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■政府保証

企業再生支援機構によってJALが再建されることになるのですが、企業再生支援機構の瀬戸英雄はJALの査定に2ヶ月は必要だと言います。

この査定が終わらなければ、企業再生支援機構としては何も出来ません。

しかし、このままではJALが資金ショートを起こすので、繋ぎ融資が行われることになりました。

政策投資銀行はリスクを負いたくないので、繋ぎ融資に対して政府保証を要求したのですが、菅直人は「政策投資銀行は政府が100%出資しているので、政府保証は2重保証になるので必要ない」として、政府保証を拒否します。

一方、財務省は公的資金をJALの企業年金に使用されることを強く懸念し、特別立法で対応しようとするのですが、菅直人に一蹴されてしまいました。

しかし、繋ぎ融資を行わなければ、JALが倒産し、飛行機が止まります。

そこで、菅直人らは5閣僚会議を開き、政府保証を検討するという覚え書きを作り、5閣僚で合意します。

とにもかくにも、先に繋ぎ融資をさせておき、後で政府保証を「検討する」という作戦に出たのです。

こうして、政策投資銀行は1000億円の融資枠を設定し、JALに融資を開始したのですが、結局、政府は債務保証を付けませんでした。

■半沢直樹(銀翼のイカロス)の実話の結末

JALを監督する国土交通省、政策投資銀行を監督する財務省、存在感を示したい経済産業省が、JAL再建問題で勢力争いを続けます。

一方、JALの年金削減問題に対して、年金を監督する厚生労働省(社会庁)が待ったをかけます。

他方、民主党は「脱官僚」方針なので、菅直人は官僚主導によるJAL再建を拒否しており、泥沼状態が続きます。

そのようななか、企業再生支援機構の瀬戸英雄は、事前調整型の会社更生法の適用を決めます。

倒産といえば、民事再生法の適用が主流だったのですが、瀬戸英雄は会社更生法を担当する東京地裁の民事第8部と親しく、会社更生法の適用拡大を狙ったと言われています。

そのようななか、JALの社長・西松遙は、法的整理を避けるため、残された時間で、OBに年金の削減を頼んで回ります。

しかし、JALが倒産するという報道により、西松遙はOBからの信用を失い、交渉能力を失ってしまいます。

企業年金問題は最後まで難航するのですが、最終的に政府と企業再生支援機構が「減額に同意しなければ、企業年金を解散する。解散したら、年金は6割減だ」という切り札を出し、なんとかOBからの同意を得て、企業年金の削減への道筋を付けました。

一方、「三菱東京UFJ銀行」「みずほコーポレート銀行」「三井住友銀行」の3行は、会社更生法の適用を拒否し、私的整理による再建案の作成に取りかかります。

そのようななか、JALが倒産するという報道の影響で、JALは急激に資金繰りが悪化していき、2010年1月19日に会社更生法の適用を申請して倒産しました。

企業再生支援機構は事前調整型でJALを再建していく予定だったのですが、怒った三菱東京UFJ銀行らメガバンクが、同意を拒否したので、JALの再建は出だしからつまづいてしまうのでした。

その後、紆余曲折を得てJALは2011年3月28日に会社更生手続きを終えて再建を果たし、2012年9月19日に東証1部へ再上場しました。

一方、頭取・中野渡謙(北大路欣也)のモデルとなった三井住友銀行の頭取・西川善文は、2005年に金融庁の目黒謙一の検査を受け、過去に行っていた問題融資が摘発され、不良債権の処理を余儀なくされた。

その結果、三井住友銀行は赤字に転落したため、頭取・西川善文は引責辞任した。

その後、頭取・西川善文は民営化した日本郵政の初代社長を務めた。

なお、原作のあらすじとネタバレは「半沢直樹-原作「銀翼のイカロス」のあらすじとネタバレ」をご覧ください。

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