NHKの朝ドラ「おちょやん」の竹井千代(杉咲花)がカフェー「キネマ」の女給となるので、その実話を解説しておきます。
竹井千代(杉咲花)のモデルとなった浪花千栄子は、18歳の時の時に奉公先を逃げ出して京都へ行き、口入れ屋(私設の職業紹介所)で屋敷奉公の仕事を探したが、親の紹介状が無いので、屋敷奉公の仕事は見つからなかった。
口入れ屋が「アンタ、何歳ですか」と尋ねるので、「18歳です」と答えた。
口入れ屋が「どの18ですか。38歳ですか?」と尋ねるので、浪花千栄子は「ただの18歳です」と答えた。
すると、18歳ならということで、口入れ屋がカフェーを紹介してくれた。寝るところの無かった浪花千栄子は、紹介されたカフェーで働くことにした。
浪花千栄子の自伝「水のように」では、師団前にあるカフェー「オリエンタル」で働いている。
自伝によると、カフェー「オリエンタル」は、表はモルタルの西洋館で、「そのあたり切っての一流カフェーで、女給さんも約7、8人、えりすぐった美人がそろっているという定評のある家でした」という。
今の18歳といえば、ネイルをしたり、髪を染めたりしてお洒落をしているが、浪花千栄子はボロボロの着物を着て、38歳に間違われるような身なりをしていたのだから、一流のカフェーに採用されるはずがない。
実際に浪花千栄子が働いていたのは、カーフェ「オリエンタル」ではなく、京都の師団前で兵隊を相手にした場末のカフェー(現在のキャバクラ)で、「転ぶ」のある店だったようだ。
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「転ぶ」というのは、本業以外の女性がお金を受け取って、男性客とチョメチョメすることである。
遊郭の女郎はお金で取って男性とチョメチョメしていたが、芸者は客とは寝ないという建前になっていた。
しかし、実際は芸者も金を取って男性とチョメチョメをしており、芸者が金を取って男性とチョメチョメすることを「転ぶ」「転び」と呼んでいた。
客を選ばずに誰とでも寝るような芸者は「不見転芸者(みずてんげいしゃ)」などと呼ばれて嫌われていた。
女郎は商売なので、商売上の規則があるが、転ぶ芸者者は女郎の規則に縛られないので、何でもOKだったようだ。
これは大阪・道頓堀のカフェーの話しになるのだが、指名が2円、本番が1円、本番外が50銭で、店に罰金2円を払うと、カフェーの女給と外出する事ができた。
本番というのは、指名した女給が接客することらしい。本番外というのは、現在のキャバクラでいうヘルプの女性に相当するようだ。
京都と大阪で違いはあるかも知れないが、だいだい、似たようなシステムだろう。
この画像は当時のカフェーの女給の服装です。
カフェーについて知りたい人は、『幻の「カフェー」時代 夜の京都のモダニズム』をご覧ください。
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浪花千栄子は、女中の仕事だと思ってカフェーで働くことにしたが、女中は要らないので、女給として働いてくれと言われた。
それでも、行く当ての無い浪花千栄子は、強引に女中の仕事をしていたのだが、女給のユリちゃんに諭され、女給の仕事をするようになった。
この女給ユリちゃんは女優志望で、浪花千栄子は女優になどなりたくなかったのだが、女給ユリちゃんと一緒にカフェーを辞め、京都・嵯峨野にあった無名のプロダクションを受け、女優として採用されたのだった。
なお、朝ドラ「おちょやん」の実話や解説は「おちょやん-あらすじモデルのとネタバレ」をご覧ください。
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