原作小説「謎解きはディナーのあとで」の読書感想文
嵐の櫻井翔が主演するドラマ「謎解きはディナーのあとで」の原作となる、東川篤哉の原作小説「謎解きはディナーのあとで」の読書感想文です。
原作小説「謎解きはディナーのあとで」は面白かった。携帯電話で書いていないので、厳密に言えばケータイ小説ではないかもしれないが、原作小説「謎解きはディナーのあとで」はケータイ小説だった。
だから、ケータイ小説が好きな人にはお勧めできるが、ケータイ小説が苦手な人にはお勧めできない。本格ミステリー小説が読みたい人は、小説「謎解きはディナーのあとで」は買わない方が良い。
原作小説「謎解きはディナーのあとで」は簡単なトリックを使うことで、宝生麗子や風祭や秘書・影山のキャラクターを引き立たせている。ミステリー小説ではなく、キャラクター物の小説である。
簡単なことを「朝飯前(あさめしまえ)」と言う。本書は、朝飯前に解決できるような事件を解決するのだが、「謎解きはディナーのあとで」というタイトルを付けているところが面白い。執事景山の毒舌がタイトルに効いているところは面白い。
原作小説「謎解きはディナーのあとで」のトリックは簡単だが、難解な謎があった。それは、「犯人」と「真犯人」である。
原作小説「謎解きはディナーのあとで」は、事件現場での宝生麗子と刑事・風祭の2人が推理する部分と、宝生麗子が自宅に持ち帰った事件を毒舌執事の影山が推理する部分の2部構成である。
この推理部分で、事件の「犯人」と「真犯人」とを推理するのだが、読み終えても、誰が「犯人」で誰が「真犯人」が誰なのかが分からない。どう考えても、犯人と真犯人が同一人物のように思える。
それに、犯人らしき人物が浮上していない段階で、いきなり真犯人の推理を始めるシーンには面食らった。やはり、ケータイ小説はミステリーである。
さて、原作小説「謎解きはディナーのあとで」は、2011年の本屋大賞に選ばれた作品で、色々と事前情報を聞いていた。
事前情報から得たキャラクターのイメージと、小説に登場する人物のキャラクターが解離していたので残念だった。
執事の影山はドSの毒舌執事で、安楽椅子探偵だと聞いていたのだが、執事の影山はドSでもなければ、毒舌でもない。そのうえ、安楽椅子探偵ですらなかった。
まず、ドSについて。SMのSは「サディスト」「サディズム」の頭文字で、その由来はフランスの作家マルキ・ド・サドの攻撃的な文章である。そして、サディストの語源は、作家マルキ・ド・サドの名前である。
執事・影山のドSキャラクターに期待していたのだが、執事・影山の行動や台詞からは、全くサディストやサディズムを感じなかったので残念だった。
執事・影山はマルキ・ド・サドを彷彿とさせるようなドSキャラクターであって欲しかった。
次に、毒舌について。執事の影山は毒舌だと聞いていたので、毒舌の部分には非常に興味があったのだが、執事の影山は全く毒舌ではなかった。
以前にダスティン・ホフマンが主演する映画「レニー・ブルース」を観たことがある。これは、1950年代に活躍したアメリカの毒舌漫談家レニー・ブルースの生涯を描いた伝記映画である。
映画「レニー・ブルース」を観たとき、レニー・ブルースの毒舌に圧倒された。これが本当の毒舌か、と関心したことがる。しかし、執事の影山の毒舌は、とうてい毒舌とは思えなかった。
最後に、安楽椅子探偵について。執事の影山は安楽椅子探偵ということで、謎解きを期待していたのだが、執事の影山は安楽椅子探偵ではなかった。
安楽椅子探偵は事件現場に行かずに、安楽椅子に座ったまま、伝聞だけで事件を解決してしまうので、安楽椅子探偵なのである。
しかし、執事の影山は「事件現場が観たい」などと言いだした。執事の影山は、事件の起きた部屋には入れなかったものの、庭から事件が起きた部屋のベランダを確認して事件を解いた。もはや、安楽椅子探偵ではなく、ただの探偵である。
さて、原作小説「謎解きはディナーのあとで」は真面目に読むと、評価できないが、ケータイ小説と割り切って読むと面白い。
ケータイ小説と思って読めば、「!(感嘆符)」の連発にも爆笑できる。そのうち、文末に「www」とか出てくるのではないかと、ハラハラした。
小説「謎解きはディナーのあとで」は本屋大賞に選ばれた作品だが、本格的なトリックや人間描写や犯人の動機などを追求した小説ではない。
本格的なミステリーを期待して購入すると後悔すると思う。あくまでも、原作小説「謎解きはディナーのあとで」は、キャラクターものの軽いコメディー小説である。
総合的に評価すると、原作小説「謎解きはディナーのあとで」は販売戦略の勝利だと思った。本の帯に色々とコメントが掲載されている。帯のコメントを読むと、本屋が倒産していく理由が分かるような気がした。
小説「謎解きはディナーのあとで」は、嵐の櫻井翔の主演でドラマ化される。原作はケータイ小説だったので、ドラマには本格的な謎解きを期待したい。
嵐の櫻井翔の主演ドラマ「謎解きはディナーのあとで」の主題歌や原作については「『謎解きはディナーのあとで』の主題歌や原作」をご覧下さい。
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