フリーター、家を買う。の感想

有川浩の原作小説「フリーター、家を買う。」を読んだ感想です。感想にはネタバレを含んでいるので、結末を知りたくない人は閲覧に注意してください。

あらすじは「フリーター家を買うのあらすじ」をご覧下さい。

登場人物は、それぞれ個性があって良かったです。「経理の鬼」と呼ばれている父親の武誠一は、母親・武寿美子(たけすみこ)のうつ病を精神論にすり替えて理解を示しません。

それが原因で、主人公の武誠治(たけ・せいじ)の姉・亜矢子(あやこ)は父親を「クソおやじ」と呼ぶようになります。

酷い父親だと思って読み進むと、武誠治のバイト先の土方のおちゃっちゃんが、「心の病気に縁がなかったから理解できない。理解できないことを認めることができない。エリートだから人に聞くこともできない」と父親の心理状態を解説します。

土方のおっちゃんの解説で、父親の武誠治も悪い人ではないと思うようになりましたが、最後の最後まで父親が引っ越しを渋った理由が今ひとつ理解できませんでした。

母親・武寿美子(たけすみこ)が町内で虐められるようになった原因は、酒癖の悪い父親・武誠一の失態でした。妻が自殺未遂を起こしたにもかかわらず、社宅で家賃が安いという理由だけで引っ越しを頑なに拒むのは動機としては弱い気がします。

自分なりに父親が引っ越したくなり理由を考えたのですが、納得がいくような理由は思いつきませんでした。

姉の亜矢子は、名古屋にある個人病院へ嫁いでいったかなり強気な女性でした。父親・武誠一を理詰めで追い込み、さらに逃げ道まで塞ぐ。父親・武誠一が手を挙げても、逃げることなく顔で受け止め、顔に出来た傷を父親・武誠一に見せつけるという恐ろしい女性で、私が最も嫌いとするタイプの人間でした。

一方で、亜矢子は、「返さなくても良い。お母さんのために使って」と100万円を武誠治に預ける気前の良さもみせました。フリーターの武誠治は、この100万円に触発されて、「100万円貯める」という目標を立てます。

姉の亜矢子は、名古屋の病院へ嫁いで実家を出ているのですが、存在感があります。飴と鞭が利いていて、上手いと思いました。「感想の後編」へつづく。

スポンサードリンク

コメントを投稿する

コメントは正常に投稿されていますが、反映に時間がかかります。