第2次越冬隊が越冬できなかった理由のネタバレ

樺太犬タロ・ジロ・リキを昭和基地に置き去りにした実話「南極物語」のあらすじとネタバレシリーズ「第2次越冬隊が越冬できなかった理由のネタバレ」編です。


このページは「第1次越冬隊が昭和基地に残留越冬しなかった理由のネタバレ」からの続きです。
■第2次越冬隊の残留
2月12日、第2次越冬隊の中村純二・丸山八郎・守田康太郎の3人が、ビーバー機「昭和号」の第1便で昭和基地へ飛ぶ。昭和号はその後3便が飛んで、食料を中心とした荷物を空輸した。
2月12日午後8時、宗谷から昭和基地に定時連絡の通信がくる。このとき、隊長の永田武は「これは命令である」とし、バートン・アイランド号から離岸勧告が来ていることを伝え、第2次越冬隊3人の収容を告知した。
昭和基地には十分な食料があり、不調になっていた通信機の真空管さえ交換すれば、十分に越冬隊6人が越冬することは可能だった。守田康太郎ら3名は話し合いの結果、越冬を希望した。
2月12日午後10時の定時連絡で、守田康太郎らは第2次越冬隊の隊長・村山雅美に状況を報告し、「1便が飛ぶのであれば、真空管と隊員3名を送って欲しい」と交渉した。
しかし、村山雅美は「既にバートン・アイランド号と約束しており、変更できない。3人を収容しないと、バートン・アイランド号もこの場を離れられない。子犬は連れて帰るように」と命じたのであった。
2月14日、昭和基地側の天候が回復する。昭和基地では、「悪天候」と虚偽の報告をして昭和基地に残留する案も出たが、天候を正確に報告。2月14日午後、宗谷側も天候が回復し始め、ビーバー機「昭和号」が発進する。
守田康太郎は樺太犬の小犬2匹を昭和号に載せようとするが、どうしても母犬シロ子から離れない。そこで、機転を利かせた操縦士・森松秀雄が昭和号からガソリンを抜き、母犬シロ子の回収をしたのであった。
昭和号は10分の滞在予定だったが、シロ子を回収するため1時間35分を要したうえ、天候は悪化しており、超低空飛行での帰還となった。バートンアイランド号は外洋へ脱出する作業に入っており、ギリギリの救出劇だった。
こうして、第2次南極観測隊は第2次越冬隊も収容し、第2次南極観測船「宗谷」はバートンアイランド号に付いて外洋へ向けて脱出するのであった。
■バートンアイランド号の謎
アメリカの砕氷艦「バートン・アイランド号」は、ヘリコプター2機を搭載していた。このヘリコプターは、「シコルスキーS51型」か「シコルスキーS55型」かは不明である。
このヘリコプターが空輸に協力していれば、第2次越冬隊が成立していた可能性があるが、空輸の量などから考えて、空輸には協力していないようだ。
バートンアイランド号のヘリコプターは周辺偵察に出ているので、ヘリコプターはバートンアイランド号側の任務があったのかもしれない。
南極観測隊は「日本単独で南極観測を行う」ことを基本方針にしているため、空輸については救援を要請しなかった可能性もあるが、この辺りの事情は不明である。
■バートンアイランド号の警告
援助にあたっていたバートン・アイランド号のブラッチンガム艦長は、南極観測隊の隊長・永田武に、再三に渡り、外洋への脱出を勧告し始めた。
予想以上に氷の状態が悪く、氷を割って進入してきた水路も氷で塞がり、2隻とも身動きが取れなくなる危険があったからである。
第2次南極観測船「宗谷」は単独で外洋へ脱出できない状態だったため、ブラッチンガム艦長からの勧告は事実上の命令だった。
会談の詳しい内容は不明だが、隊長の永田武は昭和基地に送り込んだ第2次越冬隊3名の収容を、ブラッチンガム艦長に約束したようである。
南極観測隊に死者が出れば、救助を引き受けたアメリカにも何か責任が生じるのだろうか。この辺りの詳しい事情は分からない。
外洋に脱出してからも、バートン・アイランド号のブラッチンガム艦長は、南極観測隊の隊長・永田武に、再三に渡り、越冬隊の断念を要求していた。
南極地域観測統合推進本部から「1958年2月24日に作業を打ち切れ」と指示が来ており、永田武はブラッチンガム艦長からの再三にわたる勧告に耐えながら、2月24日まで滞在を続け、2月24日正午に越冬隊の断念を決定した。
■幻の第2次越冬隊
1958年(昭和33年)2月17日、第2次南極観測船「宗谷」はアメリカの砕氷船「バートン・アイランド号」に続いて外洋に脱出する。
1958年2月20日に低気圧を避けるために北へ退避し、最後の空輸を試みるために2月23日に再び昭和基地へ近づいてきた。しかし、天候は回復せず、2月24日に越冬隊を断念した。
しかし、数年後に昭和基地の気象データを解析すると、警戒していた低気圧は発達せず、1958年2月22日は天候は良かったことが明らかとなっている。
結果論になるが、第2次南極観測隊が低気圧を避けるために北へ退避しなければ、第2次越冬隊は成立していたのである。
実話「南極物語」のあらすじとネタバレは『実話「南極物語」のあらすじとネタバレ』をご覧ください。

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