秘密の感想とネタバレの最終回
東野圭吾(ひがしの・けいご)の原作小説「秘密」のあらすじとネタバレの杉田直子と杉田藻奈美のネタバレと感想です。このページは「杉田直子と杉田藻奈美の秘密とネタバレと感想」からの続きです。
感想のトップページは「秘密の感想」」です。
杉田藻奈美が根岸文也と結婚したのは謎です。杉田藻奈美は、根岸文也の父親が事故を起こしたスキーバス運転手・梶川幸広だと知っているのでしょうか。
杉田直子を失い、結婚して杉田藻奈美までも失った杉田平介には何が残ったのでしょうか。そう考えたとき、杉田平介とスキーバスを運転していた梶川幸広とが重なりました。
梶川幸広は血の繋がっていない息子・根岸文也のために仕送りをして、父親としての役割を果たそうとしていました。杉田平介が結婚式の前に根岸文也を2発殴ろうとしたことは、妻・杉田直子の父親になろうという決意表明だと思いました。
杉田直子は娘の杉田藻奈美として生きることで、夫の杉田平介を開放したかったのだと思います。杉田直子は夫の盗聴に怒るとともに、盗聴するまで夫の杉田平介を追い込んだ自分に悩んだのだと思います。
そして、「藻奈美」と呼ばれたことで、杉田平介の苦悩を確信し、悩んで答えを出したのだと思います。その答えが、娘の杉田藻奈美として生きることなのでしょう。
だから、話が続きを書くのなら、杉田平介は小学校の教師・橋本多恵子と結婚して欲しいと思いました。
東野圭吾の小説「秘密」を読み終えてせつなくなりました。後半部分は読むのが止められないほど引きつけられました。3度読み直したのですが、3度とも読み入ってしまいました。さすが、東野圭吾だと感服しました。
結末は読者任せなところもあるので、読者によって感想はかなり変わると思います。1度目と2度目とは感想が変わりました。男性か女性か、父親か母親か、読み手によって変わると思います。小説「秘密」は、何度も読み返したくなる本でした。
コメント欄
わたしがTVドラマで「秘密」を観た時した推理は以下の様なものでした。
”直子は確かに死んでいて、娘である藻奈美は
自分の所為で母が死んだのだと思わずにはいられなくなってしまい、
その罪悪感から逃れる為に自分を母だと思い込んだ”
幼ければ幼い程よく見られる現象なのですが、
自分として生きる事が辛いと感じ
それから逃れる為に自分の事を別の誰かだと思い込んでしまった人々が
世の中にはたくさん存在します。
小学5年だった藻奈美も
母が死んで自分は無傷で生き残ってしまった事に
逃げ出したくなる程のストレスを感じ、
母の死を少しでも無かった事にしようと
自分は母の直子であると思い込んだのだと思います。
子供はよく親を観察しているものなので、
本気になれば母親の癖まで演じる事は充分可能でしょう。
逆に、親は子供が学校等の親の見ていない所で
どのように過ごしているかをよく知らないものです。
事故後の藻奈美の学校への馴染み方は、
本当に中身が直子であるなら不自然としか言えません。
親しい友人達に別人と気付かれずに過ごせるなんておかしいのです。
藻奈美はずっと藻奈美本人でしかなかったからこそ
気付かれなかったのだと思います。
成長して直子と藻奈美の人格が度々入れ替わる様になったのも、
自分を直子だと思い込んでいる藻奈美が
お母さんならこうするに違いないと思ったからそうしたのです。
藻奈美がよりによって根岸文也と結婚したのも
根岸文也は藻奈美にとっての運命の人だったからで、
藻奈美は自分を直子だと思い込んでいるだけで
本当は直子ではない事を暗に示しているのだと思います。