大野木正のモデルは弁護士の大野正男
山崎豊子の小説・ドラマ「運命の人」に登場する大野木正(おおのぎ・ただし=柳葉敏郎)の実在するモデルを紹介するページです。
大野木正(柳葉敏郎)の実在のモデルは、弁護士の大野正男(おおの・まさお)です。
■大野木正(柳葉敏郎)のプロフィール
大野木正(柳葉敏郎)は小学1年生のとき、大蔵省特別銀行課長だった父親が帝国人絹の贈収賄事件で逮捕された。父親は冤罪で3年半もの間、未決勾留された末、容疑が晴れ、復職することができた。
大野木正(柳葉敏郎)は無実の罪で逮捕された父親に影響を受け、弁護士を目指し、法学部を卒業して弁護士になった。
■大野正男のプロフィール
大野正男は東京都出身。小学1年生のとき、大蔵省特別銀行課長である父・大野龍太が帝国人造絹絲に関する株式贈収賄事件「帝人事件」で逮捕される。父の大野龍太ら16名は3年半もの未決勾留の末、全員無罪となる。
大野正男は父親の冤罪を切っ掛けに弁護士を目刺し、東京大学法学部を卒業して、1954年に弁護士になり、砂川事件などを担当した。
大野正男は外務省機密漏洩事件(西山事件)で西山太吉の弁護を担当し、1審で西山太吉の無罪を勝ち取るが、高裁・最高裁で西山太吉は有罪判決を受けた。
大野正男は1993年に1997年まで最高裁判所の判事を務め、「沖縄米軍用地強制使用をめぐる代理署名訴訟」「愛媛玉ぐし料訴訟」などに関与した。
大野正男は、2006年10月28日に東京都稲城市の病院で、肺炎のため死亡している。死亡時は79歳だった。
■西山太吉は大野正男が嫌いだった?
西山太吉と大野正男弁護士の2人は、外務省機密漏洩事件(西山事件)で「報道の自由」や「知る権利」を掲げて戦った戦友であるが、現在は西山太吉は大野正男を嫌いらしい。
2000年5月、琉球大学の教授・我部政明がアメリカで公文書類の中から、西山太吉らが追求していた沖縄密約を裏付ける公文書を発見し、西山太吉の主張が正しいことが証明された。
この報道を受けた西山太吉は、大野正男に手紙で訴訟について相談したところ、「除斥期間(時効のようなもの)があるので、やるべきではないと思います」などと、提訴に反対する答えが返ってきた。
このため、西山太吉は、大野正男が1993年に1997年まで最高裁判所の判事を務めたことを理由に「あっちの人(権力側の人間)になってしまった」と思い、大野正男を嫌いになったらしい。
大野正男から協力を得られなかった西山太吉は、シンポジウムで知り合った静岡県の弁護士・藤森克美の協力を得て、2005年に国を相手取り、国家賠償請求訴訟を起こした。
しかし、西山太吉の提訴は大野正男の指摘通り、除斥期間を理由に請求権は無しとして棄却された。西山太吉の提訴は高裁・最高裁でも棄却され、大野正男のアドバイスが正しいことが証明された。
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