ドラマ「運命の人」の最終回の視聴率と感想

本木雅弘が出演するTBSの外務省機密漏洩事件(西山事件)ドラマ「運命の人」の最終回(第10話)の視聴率と感想です。

ドラマ「運命の人」の最終回のあらすじは「運命の人-最終回のあらすじとネタバレ」をご覧ください。

■最終回の視聴率と平均視聴率
ドラマ「運命の人」の最終回の視聴率は14.1%で、平均視聴率は12.0%でした。

■運命の人の感想
ドラマ「運命の人」は、毎日新聞の記者・西山太吉が1971年に起こした外務省機密漏洩事件(西山事件)を元にしたフィクションドラマである。

毎地に新聞の西山太吉は、肉体関係を持った外務省の女性事務官・蓮見喜久子から外務省の極秘電信文を入手しており、起訴状で「情を通じ」と指摘されたことから、外務省機密漏洩事件は「情通事件」とも呼ばれている。

原作となる山崎豊子の小説「運命の人」は日米間の沖縄返還に関する密約をメーンとした小説だったが、ドラマ「運命の人」は、弓成亮太(本木雅弘)と三木昭子(真木よう子)の肉体関係がメーンとなっていたので残念だった。

ドラマ「運命の人」は、沖縄密約を結ぶ時のアメリカ側の背景(ニクソンショックやベトナム戦争での疲弊)が描かれていなかったし、アメリカで起きた国家機密漏洩事件「ペンタゴン・ペーパーズ事件」も登場しなかった。

弓成亮太(本木雅弘)と三木昭子(真木よう子)とが、どのような理由で不倫をしようが、興味は無い。沖縄密約にストーリーの重心を置いて欲しかった。

ただ、どちらが先にパンツを脱いだのか、だけは気なった。弁護士の坂元勲(吹越満)は、「裁判で重要になるのはどちらが先にパンツを脱いだかだ」と言っていた。結局、どちらが先にパンツを脱いだのだろうか。

是非とも、社進党の横溝宏(市川亀治郎)に「貴方がパンツを先に脱いだんですか、それとも後に脱いだんですか」と、国会で弓成亮太(本木雅弘)を追求してもらい。

■国民の知る権利
最終的に政策を決定するのは国会議員だが、国会議員は国民の代表に過ぎない。ゆえに、国民には政策に関する情報を知る権利がある。民主主義国家において政治は、国民の監視を受ける義務がある。

しかし、国民1人1人が政治を監視することは不可能であり、報道機関が国民を代表して政治の監視する役割を担う。このため、報道機関には報道の自由が認められている。

「知る権利」や「報道の自由」は保障された権利であるが、無尽蔵に認められるものではない。女子高生のスカート内部までは、国民の知る権利は及ばないのだ。

「知る権利」や「報道の自由」を際限なく認めれば、「報道の自由」の名の下に、女子高生のスカート内部を無断で撮影することも可能になってしまう。

したがって、「知る権利」や「報道の自由」は一定の範囲内で認められる権利である。その報道の自由の範囲の線引きが問題となったのが、外務省機密漏洩事件(西山事件)であった。

■そそのかし罪
外務省機密漏洩事件で、三木昭子(真木よう子)は国家公務員法(機密漏洩の罪)で逮捕され、弓成亮太(本木雅弘)は国会公務員法(そそのかし罪)で逮捕された。

新聞記者が公務員から情報を得た場合、全てが「そそのかし罪」に当たるかというと、そうではない。そんなことをすれば、報道機関は公務員から何も取材することはできない。

「そそのかし罪」に当たるのは、国家機密の漏洩をそそのかした場合である。つまり、弓成亮太(本木雅弘)が入手した外務省機密電信文が「国家機密」に当たるか、否かということが重要になる。

■国家機密とは
公務員に守秘義務が発生する国家機密とは、国家公務員法で定める「職務上で知り得た秘密」である。

国家公務員法が定める「秘密」には「実質秘」と「形式秘」という2つに分類される。このうち「実質秘」には守秘義務が発生する。この「実質秘」が、漏らしてはいけない「国家機密」である。

■実質秘と形式秘
実質秘と形式秘とを説明するのは難しいので、簡単にたとえると、実質秘とは陰部であり、形式秘とは禿げ頭である。

暖かくなってくると、女子高生に向かって下半身を露出する男性が増えてくる。しかし、陰部を露出することは法律で禁止されているため、男性は逮捕される。

社会通念上、陰部は隠すべきものであり、秘密に相当するものである。だから、路上で陰部を露出してはならない。

つまり、実質秘とは、明かしてはいけない国家の陰部であり、実質秘を漏らした公務員は逮捕される。当然、公務員をそそのかして「国家の陰部を露出させた」記者も逮捕される。

一方、形式秘とは禿げ頭である。禿げ頭は露出しても逮捕されないが、カツラや帽子で禿げ頭を隠す人も居る。禿げ頭を隠すのは、その人の都合である。

つまり、形式秘とは政府や行政の都合で指定された秘密であある。形式秘は実質的な秘密では無く、公務員に守秘義務は発生しない。当然、形式秘の漏洩をそそのかしても、記者に「そそのかし罪」は適用されない。

「極秘」という印がある書類は全て形式秘に該当する。形式秘の漏洩を処罰の対象にすると、政府や役所は都合の悪いことは、国家機密の名の下に、全て合法的に隠蔽できることになる。

それでは、憲法で保障する「知る権利」や「報道の自由」に反するため、公務員に守秘義務が発生する秘密(国家機密)は「実質秘」と解釈されている。

外務省機密漏洩事件の裁判では、弓成亮太(本木雅弘)が入手した極秘電信文が「実質秘」に当たるのか、「形式秘」に当たるのかが争点となるべきである。

しかし、弁護士の坂元勲(吹越満)は「そそのかし罪を成立させるためには、どちらが先にパンツを脱いだかが重要になる」と言っていた。どうしてパンツを脱いだ順番が重要になるのだろうか。私には理解できなかった。

ちなみに、最高裁は、「実質秘」か「形式秘」かを判断するのは司法である、と判断している。

ドラマ「運命の人」の最終回の視聴率と感想の後編』へ続く。

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