白河口の戦い-白河城の奪還作戦

山本八重(新島八重)の生涯をあらすじで紹介する実話「山本八重の桜」のあらすじとネタバレシリーズ「白河口の戦い-白河城の奪還作戦」編です。

このページは「会津藩の平松武兵衛」からの続きです。

実話「山本八重の桜」の目次は『実話「山本八重の桜」のあらすじとネタバレ』をご覧ください。

■白河城を攻撃
1868年(慶応4年)6月10日、仙台藩士・姉歯武之進(あねは・たけのしん)らが、福島藩の城下町にある宿屋「金沢屋」に宿泊している奥羽鎮撫総督府の参謀・世良修蔵を襲撃して暗殺する。

同日、会津藩が奥州街道の要となる白河城(別名「小峰城」)へと兵を進める。

白河城は白河藩(福島県白河市)阿部家が治めていたが、このとき、白河城は城主不在のまま、二本松藩と仙台藩の兵が駐留していた。

白河藩の藩主・阿部正外(あべ・まさとう)は1866年に神戸開港問題で江戸幕府老中を罷免となり、阿部正静が家督を受け継いだが、阿部正静は棚倉城(福島県東白川郡)への国替えを命じられたため、白河城は江戸幕府直轄となっていた。

このため、白河藩は城主がおらず、幕府の命令で二本松藩が白河城に駐留していた。

その後、新政府成立後は奥羽鎮撫総督府から会津藩討伐命令を受けた仙台藩と二本松藩の兵が白河城に駐留していた。

■白河城を占領
会津藩が白河城を攻めると、白河城に駐留していた仙台藩と二本松藩は、示し合わせたかのように撤退する。

白河城には奥羽鎮撫総督府の兵も駐留していたが、ごく少数だったため、仙台藩らの兵が撤退すると、奥羽鎮撫総督府の兵は撤退を余儀なくされた。

こうして会津藩は白河城を無傷で手に入れると、新政府軍を迎え撃つために守りを固めた。

白河城は東北地方の入り口となる重要な場所で、白河城を押さえていれば会津のみならず、東北諸藩の本土が安全になるため、白河城の墨守は戦略上の最重要課題だった。

さらに、白河城を押さえていれば、恭順派の三春藩(福島県)の裏切りを監視できるため、白河城を守ることには大きな意味があった。

1868年6月12日、斉藤一が率いる新撰組130名が白河城に入城する。6月19日には家老に復帰した西郷頼母(さいごう・たのも)や若年寄・横山主税らも入城する。

奥羽越列藩同盟が成立すると、二本松藩などの援軍も加わり、東北の防衛拠点となる白河城の兵力は2500人に膨れあがった。

会津軍を指揮する総大将は、会津藩の家老・西郷頼母である。非戦派で実戦経験の無い西郷頼母が、東北の運命を背負う一戦で総大将を務める理由は分らない。

■白河口の戦い
一方、宇都宮城(栃木県)を攻撃していた新政府軍の参謀・伊地知正治(いぢち・まさはる=薩摩藩)は、白河藩が会津藩の手に落ちたことを知ると、兵を北へと進め、会津藩が守る白河城へと迫った。

会津軍勢2500人に対して、新政府軍の伊地知正治の手勢は、わずか700人余りだったが、伊地知正治の軍は精鋭揃いだった。

1868年6月20日、新政府軍の伊地知正治が白河城に攻撃を開始する。伊地知正治は軍を3つに分け、正面の本隊が敵の注意を引きつけると、左右に回った2部隊が側面から攻撃をかけた。

兵力の差では勝っていた会津藩であったが、洋式銃を有する新政府軍の前に惨敗し、白河城はあっさりと新政府軍の手に落ちてしまった。

白河城は奥州街道の要所であり、東北への入り口となる。白河城を新政府軍に押さえられると、会津本国が危険にさらされる。会津藩は奥羽越列藩同盟の援軍を得て体制を立て直すと、白河城を奪還するため新政府軍を攻め立てた。

一方、白河城の新政府軍にも新政府軍の参謀・板垣退助らが援軍に駆け付けており、士気は益々盛んになっており、会津軍を寄せ付けなかった。

このようななか、援軍に駆け付けていた新政府軍の参謀・板垣退助が、手薄となった棚倉藩(福島県)を攻撃するため、白河城から棚倉藩へと兵を進めた。

これを好機とみた会津藩は、棚倉藩へ援軍を向けず、白河城を奪い返す作戦に出た。しかし、会津藩は7度も白河城を攻めたものの、洋式銃を有する新政府軍に歯が立たたなかった。

激戦に次ぐ激戦の末、1868年8月31日、会津軍は最後の攻撃に出るが、白河城を落とすことは出来ず、白河城を諦めた。

1868年9月14日には周辺での小競り合いも無くなり、100日間にわたる「白河口の戦い」が終結する。同盟軍の死者は927人、新政府軍の死者は113人だったとされている。

会津藩は「白河口の戦い」で、横山主税など優秀な指揮官を失い、大きな損失を出した。

そして、戦略上で重要な白河城を失ったことで、奥羽越列藩同盟には崩壊の序曲が流れ始める。

実話「新島八重の桜」の会津編「三春藩の裏切り・二本松少年隊の悲劇のあらすじとネタバレ」へ続く。

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