実話-山本八重と水島粂の夜襲
NHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公となる山本八重(新島八重)の生涯をあらすじで紹介する実話「山本八重の桜」のあらすじとネタバレの会津編「実話-山本八重と水島粂の夜襲」編です。
このページは「実話-幕末のジャンヌダルクの山本八重のあらすじとネタバレ」からの続きです。
実話「山本八重の桜」の目次は『実話「山本八重の桜」のあらすじとネタバレ』をご覧ください。
■実話-山本八重-禁じられた夜襲
1868年10月9日(籠城2日目)の夜、山本八重が1人で夜襲に出ようとすると、水島粂ら子供10人が短い槍を持って駆け寄ってきた。水島粂らは山本八重に「一緒に夜襲へ行きたい」と訴えた。
山本八重は水島粂らの心意気に感心したが、さすがに子供達を勝手に城の外へ連れ出すわけにはいかないため、山本八重は藩主・松平容保に許可を求めた。
しかし、藩主・松平容保は「素晴らしい心意気だが、女子供を出撃させては、会津藩に兵無しと思われ、城内の士気が下がる」と言い、山本八重に夜襲の中止を命じた。
夜襲の許可を求めた山本八重は、松平容保の命により、子供達の夜襲だけでなく、山本八重自身も夜襲を禁じられてしまった。不本意だとしても、什の教えに「年長者の言うことに背いてはなりませぬ」とあるので仕方ない。
水島粂らの元へ戻った山本八重は、「今日は戦には行かない。出撃する時は教えてあげるから」と言い、子供達を解散させ、山本八重自身の出撃も中止した。
会津には「女子供を戦わせることは恥じ」という考えがあり、若松城に籠城する者たちは、山本八重が戦場に出ることも恥だと考えていた。
このため、山本八重を松平容保の義姉・照姫の警護に就かせ、戦いに出られなくしてしまおうという計画が持ち上がり、側女中見習いだった山本八重は側女中に昇格した。
しかし、そのような裏工作で山本八重が大人しくなるはずはなく、山本八重はその後も新政府軍を銃で狙撃し、新政府軍に大砲も打ち込んだのである。
■実話-山本八重のヘルメット
籠城中の女性の仕事は「飯炊き」「負傷兵の救護」「弾薬作り」の3つが主であった。出撃を禁じられた山本八重は、他の女中と同じように女性の仕事に就いた。
飯炊きは、籠城中の兵士のために、大量の握り飯を作るらなくてはならないため、炊きあがったご飯を冷やす間もなく、熱いまま握るので、手の皮は剥がれ、手は焼けただれるという大変な仕事だった。
ある日、飯炊きを担当していた山本八重が病気で寝ている加藤南平に弁当を届けに行く時のことである。
山本八重は7連発式スペンサー銃を背負って、加藤南平に弁当を届けるため、若松城の三の丸の穀物庫へ向かっていると、門番の兵が「三郎さん、何処へ行くの?」と声をかけてきた。
山本八重は断髪し、死んだ弟・山本三郎の着物を着て、弟・山本三郎の刀をさしていたため、みんな山本八重のことを「三郎」と呼んでおり、山本八重の事を「八重」と呼ぶ物は居なかった。
山本八重は門番の兵に「加藤さんが病気だから、弁当を持って行くところ」と答えると、門番の兵は「その格好じゃ、おかしいね。これを貸してあげる。頭を出したら狙撃されるので、頭を出したらダメだよ」と忠告して、帽子(ヘルメット)を貸してくれた。
その後、ヘルメットを被った山本八重が加藤南平に弁当を届けるため、三の丸の穀物庫へ向かっていると、お堀の脇で死にそうになっている馬を発見した。
山本八重は可愛そうな馬だと思い、馬を観ていると、いきなり、ヘルメットが宙に舞って、お堀に落ちた。山本八重は誰かのイタズラかと思って振り返ったが、誰も居ない。
山本八重は門番の兵に「頭を出したら狙撃される」と忠告されたことを忘れ、塀から頭を出していたため、新政府軍に狙撃されたのだ。山本八重はヘルメットを被っていなければ、頭を撃たれて死んでいたのである。
実話「新島八重の桜」の会津編「会津藩を裏切った極楽寺-武田宗三郎の報復のあらすじとネタバレ」へ続く。