原作小説「家族ゲーム」のあらすじとネタバレ感想文
ドラマ「家族ゲーム」の原作となる本間洋平の原作小説「家族ゲーム」のあらすじと結末ネタバレを含んだネタバレ読書感想文の後編です。
このページは『原作小説「家族ゲーム」のあらすじと結末ネタバレ』からの続きです。
このページには本間洋平の原作小説「家族ゲーム」のあらすじやネタバレが含まれてします。小説「家族ゲーム」のあらすじやネタバレを知りたくない人は閲覧にご注意ください。
■小説「家族ゲーム」の感想
20123年4月にジャニーズグループ「嵐」の櫻井翔が主演するドラマ「家族ゲーム」が始まるため、ドラマの原作となる本間洋平の小説「家族ゲーム」を読んだ。
ドラマ「家族ゲーム」を読むと、体罰を受けても薄笑いを浮かべる弟・沼田茂之が気持ち悪かった。おそらく、弟・沼田茂之にとっては、何事も抵抗せずに薄ら笑いでやり過ごすことが処世術なのだろう。
虐められる方にも問題ある、と指摘する人も居る。もし、顔を見れだけで、虐めたくなるような人が存在するのであれば、弟・沼田茂之のような人物ではないだろうか。
家庭教師・吉本が弟・沼田茂之に体罰を加えたのは、家庭教師・吉本の教育方針だったのだろうか。弟・沼田茂之から発する何かが、家庭教師・吉本に体罰を振るわせたようにも思える。
ところで、弟・沼田茂之は、どうしてヘラヘラと薄ら笑いするようになったのだろうか。小学生の時から虐められているからなのだろうか。それとも親の教育が悪かったのだろうか。
弟・沼田茂之が虐められるようになった原因は、弟・沼田茂之が小学生の頃に学校の教室でウンコを漏らしたからだった。小学3年生の時、授業中にウンコを漏らしたため、同じ団地に住む土屋に虐められるようになった。
小学生にとっては、学校のトイレでウンコをする事ですら恥ずかしい行為である。ましてや、教室での脱糞は死刑宣告に値するのだ。
このことを知った家庭教師・吉本は、弟・沼田茂之に「いじめっ子を殴ってこい」と命じるが、弟・沼田茂之はいじめっ子・土屋を殴りに行かなかった。弟・沼田茂之が殴ることを望まなかったのか、殴りたかったが殴れなかったのか、それは分からない。
C高校への進学を希望していた弟・沼田茂之は、両親の希望を押しつけられてB高校へ進学したが、登校拒否となり、浪人してA高校を受験することになる。
弟・沼田茂之はB高校への進学を嫌がったのは、いじめっ子の土屋がB高校へ進学するからだった。
両親は弟・沼田茂之の事を心配して家庭教師を付けたが、弟・沼田茂之の事を心配していたのではない。両親が心配していたのは、弟・沼田茂之のテストの点数である。
両親は学校の成績だけで弟・沼田茂之の進路を判断し、弟・沼田茂之の意志を無視した。もちろん、B高校へ行きたくない理由を説明為ない弟・沼田茂之にも非はあるが。
結局、弟・沼田茂之は学校へ進路変更を届け出ないため、母親は家庭教師・吉本に進路のことを相談。母親から進路変更を頼まれた家庭教師・吉本は、中学校へ乗り込んで弟・沼田茂之の進路変更を手続きした。
進路変更を終えた後、家庭教師・吉本は、弟・沼田茂之の事を「あいつは糞だ。徹底的に出られなくなったんだ」と言っている。
家庭教師・吉本が「あいつは糞だ。徹底的に出られなくなったんだ」と吐き捨てる台詞は、弟・沼田茂之が学校でウンコを漏らした事が伏線になっているのだろう。
さて、家庭教師・吉本は弟・沼田茂之の成績を上げたが、弟・沼田茂之を理解できていたのだろうか。私は、家庭教師・吉本は弟・沼田茂之の事を何も理解できていなかったと思う。
両親からすれば、弟・沼田茂之の成績を上げてくれた家庭教師・吉本は良い教師に見えるだろう。弟・沼田茂之の成績が上がれば、親としての責務を果たした気になれるからだ。
しかし、弟・沼田茂之にしてみれば、家庭教師・吉本は悪い教師だっただろう。家庭教師・吉本は、母親から頼まれて強引にB高校へ進路変更をしており、弟・沼田茂之の事を理解できていなかったからだ。
いじめっ子と同じB高校へ進学した弟・沼田茂之は、直ぐに登校拒否になった。弟・沼田茂之は希望通り、いじめっ子の居ないC高校へ進学していれば、登校拒否にはならなかっただろう。
どんなに生徒の事を考えてくれる担任や家庭教師が居たとしても、所詮は他人だ。先生が生徒の事を真剣に考えたとしても、その生徒を担当している1年間だけのことである。担当が終われば、その生徒が不登校になろうが、虐められようが、自殺しようが関係無い。
母親は最後に家庭教師・吉本に頼るが、吉本は「一時的に強制しても、同じ事なんだよな」と言い、相談を断っている。
担任や家庭教師は相談されても断る事が出来るが、両親は子供の問題から逃れることは出来ない。だから、両親は担任や家庭教師に子供の事を任せるのではなく、両親自身が子供に向き合う必要があると思った。
■兄・沼田慎一の感想
兄・沼田慎一は無機質だった。公園で虐められている弟・沼田茂之を助けもせず、ただ眺めているだけの傍観者だった。
万引きをする。暴力を振るう。解剖したカエルを潰す。兄・沼田慎一は、優等生を演じていたが、精神が屈折している。
兄・沼田慎一が公園の砂場をスコップで掘り出し、コンクリートの底に当たる場面は考え深かった。
■家族ゲームの結末
事前知識の無い状態で小説「家族ゲーム」を読んでいると、家庭教師・吉本の登場によって沼田家が再生される、という家族小説的な結末を予想したが、小説「家族ゲーム」の結末は意外だった。
優等生を演じていた兄・沼田慎一は学校へ行かなくなり、いじめっ子と同じB高校へ進学した弟・沼田茂之も直ぐに登校拒否してしまうが、浪人をしてA高校を受けることになった。
優等生を演じていた兄・沼田慎一は、成績が良くなった弟・沼田茂之の台頭により、優等生の座を降りていたが、母親に泣きつかれ、再び色々な物を背負い込み、優等生を演じることになるのだろう、と思った。
■家族ゲームの感想
本間洋平の原作説「家族ゲーム」は1982年(昭和57年)に発表された小説だ。今から31年前の小説である。小説に年代の設定は無いが、舞台は1980年前後と考えて良いだろう。いわゆるバブル景気に入る少し前だ。
1980年代は校内暴力や家庭問題が問題となっていた。不良少女になった娘の実話を元にした穂積隆信の小説「積木くずし」も、1982年(昭和57年)に発表された小説だ。
原作小説「家族ゲーム」には1980年代当時の問題がちりばめられている。2013年の現代と状況は多少異なるが、問題の本質は同じだと思う。
本間洋平の原作小説「家族ゲーム」に登場する沼田家は、異色の家族だ。仲が良いとか、仲が悪いという問題ではなく、血が通っていない、無機質な感じがした。
しかし、登場人物のそれぞれに共感できる部分がある。進路を押しつけられる弟・沼田茂之。優等生を演じる兄・沼田慎一。怒鳴るだけで父親としての責任を果たしていると思う父親。ただ泣くだけの母親。沼田家は異常だが、ある意味では標準的な一家かもしれない。
そうすると、沼田家にやってきた家庭教師・吉本は、沼田家にとってどのような存在で、沼田家にどのような影響を与えたのだろうか、と疑問に思う。
家庭教師・吉本が沼田家にやってきた意味。そして、去って行った意味について、もう1度考えてみる必要がありそうだ。
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コメント欄
家族ゲーム面白すぎ!!へーーと思いました~~
結末がかなり意外でした。
でも今回の家族ゲームは少し違う形に終わりそうだな・・・とみてて思いました。
今後の展開がすごく楽しみです!!!