大友義統は「朝鮮の卑怯者」
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の主人公となる黒田官兵衛の生涯を実話で描く実話「軍師・黒田官兵衛(黒田如水)」のあらすじとネタバレ朝鮮出兵編「大友義統は朝鮮の卑怯者のあらすじとネタバレ」です。
このページは「沈惟敬に騙された小西行長-李如松の襲来のあらすじとネタバレ」からの続きです。
実話「軍師・黒田官兵衛(黒田如水)」のあらすじとネタバレ目次は「実話-軍師・黒田官兵衛(黒田如水)-あらすじとネタバレ」をご覧ください。
■李如松の平壌攻撃
文禄2年(1593年)1月6日に李如松(り・じょしょう)の平壌城攻撃が始まり、平壌城のほとんどが李如松に制圧されるが、1番隊・小西行長は平壌城に立てこもって必死の抵抗をみせ、李如松の軍も大きな被害を受けた。
そこで、李如松は、一方の包囲を解いて逃げ道を作って小西行長を逃がし、平壌城から逃げ出した小西行長を追撃する作戦に出た。これは、兵法の常道手段であり、軍師・黒田官兵衛も使った作戦である。
元禄2年(1593年)1月7日夜、1番隊・小西行長は包囲が解けた隙を突き、闇夜に紛れて平壌城から逃げ出すことに成功した。
籠城したとき、1番隊・小西行長の軍勢は1万5000だったが、李如松との戦いで大きな被害を出し、逃げ出すときには5000人になっていたという。
翌朝、大将・李如松が平壌城を攻めると、既に小西行長は逃げていたので、追撃部隊を編成し、平壌城から逃げ出した1番隊・小西行長を追撃した。
1番隊・小西行長が沈惟敬に騙されて明軍(中国軍)に惨敗したのは、全て軍師・黒田官兵衛の戦略を受け入れず、盲進して平壌城を居城にしたためである。
■大友義統は朝鮮の卑怯者
軍師・黒田官兵衛(黒田如水)は漢城(ハンソン=現在のソウル)の周辺に枝城を築いて、明軍(中国軍)に対抗する事を提案したが、1番隊・小西行長は黒田官兵衛をあざ笑い、平壌城へと戻った。
これを心配した軍師・黒田官兵衛は、漢城と平壌城の間に「繋ぎの城」を作る事を日本軍の総大将・宇喜多秀家に提案した。
総大将・宇喜多秀家は軍師・黒田官兵衛の提案を受け入れ、漢城と平壌城の間に13城の「繋ぎの城」を作り、各城に武将を配置した。
緑国(黄海道)の征伐を担当した3番隊・黒田長政は緑国(黄海道)にある繋ぎの城「白川城」に入り、3番隊・大友義統は繋ぎ城「鳳山城」に入った。
さて、平壌城の小西行長が明(中国)の大軍に包囲されると、白川城の黒田長政は手勢を率いて小西行長を助けに行こうとしたが、漢城に居る日本軍総大将・宇喜多秀家や朝鮮軍事奉行の石田三成らの定評が決まらず、黒田長政は動けなかった。
文禄2年(1593年)1月8日、明(中国)の大軍に包囲されて平壌城を抜け出した小西行長は、鳳山城に到達したが、鳳山城はもぬけの殻だった。
鳳山城は、軍師・黒田官兵衛の策によって立てられた繋ぎの城の1つで、3番隊・大友義統が鳳山城を守っていたが、鳳山城に3番隊・大友義統の軍勢は居なかった。
3番隊・大友義統は、物見から「江南人(中国軍)は何10万と居る。平壌城の周り4~5里の間、野も山も敵で満ちている」「既に小西行長は討ち取られという噂です」と報告を受けると、平壌城に居る小西行長を助けることも思いもよらず、卑怯にも漢城(ハンソン)に退却するべく、鳳山城を捨てて逃げ出していたのである。
さて、鳳山城から南下すると、繋ぎの城の1つ竜泉城(リョンチョン城)がある。この竜泉城は、3番隊・黒田長政の家臣・小河伝右衛門が守っていた。
鳳山城を逃げ出した3番隊・大友義統は、竜泉城に立ち寄ると、小河伝右衛門に「もの凄い大軍だ。もう小西行長も討たれているだろう。こんな小城では防げない。一緒に退却しよう」と誘った。
すると、小河伝右衛門は「黒田長政の命令が無いうちに引くわけには行かない。命に代えても城は守る。この城は要害が良く、弾薬も豊富にある。ゆっくりと休んでいきたまえ」と答えた。
しかし、大友義統は明の軍を見る前に鳳山城から逃げ出した臆病者だったため、「こんな小さな城では防げない」と言い、小河伝右衛門を竜泉城に残して漢城を目指して逃げた。
後に、豊臣秀吉は、大友義統が敵前逃亡したという報告を聞き、「これは大友義統1人の恥辱にあらず。日本の瑕勤(かきん)なり」と大いに怒り、大友義統の首をはねようとした(注釈:瑕勤は「傷」という意味です)。
しかし、大友義統は源頼朝の時代から代々相続した名家だったので、豊臣秀吉は大友家を滅ぼすことを不憫に思い、死罪を許す代わりに領土の豊後(大分県)を没収し、大友義統を毛利輝元に預け、息子の大友義延を徳川家康に預けた。
このように大友義統は朝鮮出兵(唐入り)のとき、小西行長を助けずに敵前逃亡したため、大友義統は以降、「朝鮮の卑怯者」と呼ばれるようになったのである。
実話「軍師・黒田官兵衛(黒田如水)」のあらすじとネタバレ朝鮮出兵編「小河伝右衛門と竜泉城の戦いのあらすじとネタバレ」へ続く。