黒田如水と黒田長政-そのとき、左手は何をしていた
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の主人公となる黒田官兵衛の生涯を実話で描く実話「軍師・黒田官兵衛(黒田如水)」のあらすじとネタバレの九州の関ヶ原の戦い編「黒田如水と黒田長政の『そのとき、左手は何をしていた』のあらすじとネタバレ」です。
このページは「鍋島直茂と立花宗茂(立花左近)-江上・八院の戦いのあらすじとネタバレ」からの続きです。
実話「軍師・黒田官兵衛(黒田如水)」のあらすじとネタバレ目次は「実話-軍師・黒田官兵衛(黒田如水)-あらすじとネタバレ」をご覧ください。
■黒田如水(黒田官兵衛)と黒田長政の左手
慶長5年(1600年)、黒田長政は関ヶ原の合戦において、石田三成の陣営を撃破しただけでなく、西軍・小早川秀秋を東軍に寝返らせ、徳川家康の後方に陣取っていた西軍・吉川広家を口説いて戦いに参加させなかった。
また、黒田長政は関ヶ原の合戦の前において、福島正則を東軍に口説き入れ、福島正則の居城・清洲城を徳川家康に提供させ、豊臣家から預かっていた兵糧を提供させるなどして、東軍・徳川家康の勝利に悉く貢献していた。
黒田長政の活躍は、関ヶ原の合戦で東軍が勝利すると、徳川家康は戦場から黒田長政に親書を送り、黒田長政の活躍を絶賛し、子々孫々まで特別の恩典を与えることを約束した程であった。
一方、父・黒田如水(黒田官兵衛)は関ヶ原の合戦のとき、「この度の乱は長引くだろう」と思い、中津城の金庫を開き、これまで貯めていた金銀を放出して、9000の兵士を集め、豊後討伐へと乗り出した。
このとき、黒田如水(黒田官兵衛)は「九州を平定して、中国へと押し渡り、毛利家領分の国々を退治し、広島を焼き払い、その後、兵船を播磨の室の港に集め、姫路へと押し寄せる。姫路は我が旧領地なれば、豪族は私の実力を知っているので、ことごとく我に味方する。そこから、都へと攻め上る」と考えていたと伝わる。
黒田如水(黒田官兵衛)は九州を平定して第3勢力として天下を狙おうとしたとも、九州を平定しつつ、天下の情勢を見て有利な方に付こうとしていたとも言われる。
しかし、黒田如水(黒田官兵衛)は、豊後にある富来城(大分県国東市国東町富来浦)を包囲していたとき、黒田長政からの手紙で、長引くと考えていた天下分け目の決戦「関ヶ原の戦い」がわずか1日で決着した事を知る。
黒田長政は手紙で自分の活躍を披瀝し、徳川家康から大変感謝されたことを自慢げに書いていたので、黒田如水(黒田官兵衛)は黒田長政の手紙を読んで、「なんと浅はかな知恵なのだ」と黒田長政の知恵のなさを嘆いたという。
黒田長政の活躍により、黒田如水(黒田官兵衛)の野望は途絶えたが、黒田如水は徳川家康の藤堂高虎・井伊直政に手紙で「黒田長政は別家を立て、備前・備中・備後(共に岡山県)を賜りたい」「私は切り取った国を賜りたい」などと恩賞の斡旋を頼んでおり、引き続き九州平定に当った。
しかし、黒田如水(黒田官兵衛)は薩摩(鹿児島県)へ侵攻する前に、島津龍伯(島津義久)と徳川家康の和睦が成立したので、黒田如水(黒田官兵衛)は慶長5年(1600年)11月12日に徳川家康からの停戦命令を受け、九州での軍事行動を終了し、中津へと引き上げた。
さて、関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康は大阪城に凱旋すると、慶長5年(1600年)10月15日に論功行賞を行い、黒田長政に筑前(福岡県)52万5000石を与えた。
黒田長政は大喜びで中津に凱旋し、黒田如水(黒田官兵衛)に自慢げに「関ヶ原において、私は陣頭に立って激闘し、石田三成を初め大阪方の諸軍を撃破しました。また、小早川秀秋を東軍に寝返らせ、勝敗は1日で決着させたので、徳川家康の感激は浅からず、徳川家康は『この度の勝利は、ひとえに貴殿のおかげである』と言って、我が手を取って3度も押し戴きました」と話した。
(注釈:「押し戴く」とは、「物を恭しく顔の前面の上方にささげ持つ」という意味です。)
すると、黒田如水(黒田官兵衛)は黒田長政の話を冷ややかに聞き流し、「徳川家康が戴いた手は、右手か、左手か」と尋ねた。
黒田長政が「右手です」と答えると、黒田如水は「そのとき、左手は何をしていた」と問うた。
黒田長政は答えられずに沈黙していたが、黒田如水(黒田官兵衛)が再び問い直すことは無かった。
(注釈:黒田如水の左手という話は、黒田如水が「なぜ、左手で徳川家康を殺さなかったのか?」と問うたが、黒田長政は父・黒田如水の野望を理解していなかったので、問われた意味が分らず、何も答えなかったという逸話である。)
(注釈:黒田如水の「そのとき、左手は何をしていた」という逸話は、黒田如水の野望を代表する逸話であるが、実話ではなく、江戸時代の創作とされている。)
実話「軍師・黒田官兵衛(黒田如水)」のあらすじとネタバレの九州の関ヶ原の戦い編「黒田如水(黒田官兵衛)は漢の英雄・張良のごとしのあらすじとネタバレ」へ続く。