原作小説「家族狩り」の犯人ネタバレ読書感想文
TBSのドラマ「家族狩り」の原作となる天童荒太の小説「家族狩り」(文庫版)を読んだ夏休みネタバレ読書感想文の犯人ネタバレ感想文編です。
このページには原作小説「家族狩り」の犯人や結末のネタバレが含まれています。原作小説「家族狩り」の犯人や結末のネタバレを知りたくない方は閲覧にご注意下さい。
このページは「原作小説「家族狩り」のあらすじと犯人と結末のネタバレ」からの続きです。
■原作小説「家族狩り」の感想
2014年7月にTBSでドラマ「家族狩り」が始まるので、ドラマ「家族狩り」の原作となる天童荒太の小説「家族狩り」(文庫版5冊)を読んだ。
原作小説「家族狩り」は、私が普段は読むのを避けているジャンルの小説だったので、途中でつまらなくなった。途中で読むのを止めようかとも思ったのだが、動物を殺して住宅の玄関に放置する事件の犯人が気になったので、最後まで読むことにした。
しかし、残念なことに、動物を殺して住宅の玄関に放置する事件の犯人は、ストーリーに一切、登場しない42歳の男性という結果であった。しかも、動物殺しの犯人は名前すら出てこない人物であった。
また、実森家一家死亡事件や麻生一家死亡事件についても、2転3転することなく、犯人は普通に害虫駆除業者の大野甲太郎と元妻・山賀葉子だったので残念だった。
芳沢亜衣は、山賀葉子の「思春期心の悩み相談室」に電話をかけ、実森家一家死亡事件の犯人を名乗っていたが、芳沢亜衣は頭がおかしいだけで、事件には関与していなかったので残念だった。
私は夏になると、ホラー映画のDVDをレンタルして観る。ただ、人気ランキングの上位にあるホラー映画を適当に選んで借りるため、ストーリーは全く怖くなく、血を出したり、肉を切ったりするだけの、ただ気持ち悪だけのグロテスクな映画を借りる事が多い。
私はグロテスクな映画が嫌いなので、グロテスクな映画を借りてしまうと、いつも「グロテスクな映画は、ホラー映画というジャンルには入れないで欲しい」と思う。
原作小説「家族狩り」を読み終えて、グロテスクなDVDを借りてしまった時のような嫌悪感を覚えた。
■児童相談所には相談するな
さて、原作小説「家族狩り」を読んで、児童相談所や民間の電話相談所に相談などしない方が良いと思った。児童相談所に相談するくらいなら、Yahoo!知恵袋で相談した方が、遙かにマシだと思った。
確かに、アルコール依存症の駒田幸一は娘・駒田玲子に怪我をさせた。しかし、児童相談所の心理カウンセラー氷崎游子が警察に駒田幸一を逮捕させ、駒田幸一と娘・駒田玲子を引き離したのはやり過ぎだと思う。
また、駒田幸一が施設に来たときも、刑事・馬見原光毅が居る事を利用して、氷崎游子は駒田幸一に暴力を振るわさせ、刑事・馬見原光毅に駒田幸一を逮捕させた。だから、氷崎游子は計算高くて、ずる賢い、嫌な女だと思った。
どんな家庭でも、多かれ少なかれ問題がある。100の家庭があれば、100の家庭のあり方が存在するはずなのに、マニュアル的に親子を引き離す氷崎游子のやり方に疑問を感じた。
結局、氷崎游子が駒田幸一と娘・駒田玲子を引き離したため、駒田幸一は暴走して氷崎游子を刺し、終いには害虫駆除業者で犯人の大野甲太郎に殺されてしまった。
氷崎游子が居なければ、駒田親子は多少の問題はあったとしても、親子で楽しく暮らせたのでは無いかと思う。それに、山賀葉子の電話相談所に相談しなければ、駒田幸一は大野甲太郎に殺されることも無かったはずだ。
また、犯人になった大野甲太郎も、かつては教育相談所の職員だった。大野甲太郎は息子が虐められている事にも気づかず、他人の相談に乗っていたので、他人の問題を解決するよりも、自分の家族の問題を解決しろ、と思った。
誰の言葉が忘れたが、誰かが「自分の家族を守れない人間に、国が守れるか」と言っていた。
私は、原作小説「家族狩り」を読んで、自分の家庭の問題を解決できない人間に、他人の家庭を解決することはできるのだろうか、と思った。
■シロアリ駆除は自分で
さて、原作小説「家族狩り」には、シロアリが1つのテーマだった。家を蝕むシロアリは、あらゆるものの外敵の象徴として描かれた。家の敵であり、家族の敵であり、社会の敵であり、国の敵である。
家の敵はシロアリだが、家族の敵は何だろうか。不倫相手だろうか。それとも夫の仕事だろうか。家族の敵は色々とあるかもしれないが、本当の家族の敵は家族なのかも知れない。
さて、社会の敵は犯罪者で、その敵から社会を守るのが警察である。しかし、原作小説「家族狩り」では、社会を守るはずの刑事・馬見原光毅が、暴力団と癒着していた。
これは、シロアリから家を守る害虫駆除業者の大野甲太郎が犯人(社会の害虫)だったという構造に重ねているのだろう。
私は原作小説「家族狩り」を読んで、自宅や家族が大切なのであれば、他人に任せずに自分で守るべきだと思った。シロアリ駆除も業者に頼まず、自分でやるべきだと思った。
現在、日本は日米安保条約によってアメリカに守られているが、アメリカが犯人・大野甲太郎のような悪人だったら、どうなるのだろうか、と思った。
ただから、自分の家族は自分で守らなければいけないし、シロアリ駆除も自分でしなければならないと思った。
■犯人・大野甲太郎と金八先生
原作小説「家族狩り」の犯人・大野甲太郎と山賀葉子は、シロアリと同じように、世の中の害悪となる家族を駆除し、その害が周辺に広がるのを防ごうとしていた。
私は、犯人・大野甲太郎らの犯行の動機を知り、TBSのドラマ「3年B組-金八先生」(主演は武田鉄矢)で有名な「腐ったミカン」という話を思い出した。
ドラマ「3年B組-金八先生」に登場する荒谷二中は「腐ったミカンが1個あると、箱の中のミカンがみんな腐ってしまう。他のミカンを救うためには、腐ったミカンを放り出すしかない」と言い、不良・加藤を桜中に転校させ、荒谷二中から不良・加藤の排除した。
(注釈:荒谷二中の米倉先生が加藤を転校させたと表記していましたが、米倉先生は加藤のの理解者だったので、米倉先生の名前を削除しました。)
しかし、不良・加藤を受け入れた桜中の教師・金八先生(武田鉄矢)は、「腐ったミカンが1個あると、箱の中のミカンがみんな腐ってしまう。だから、腐ったミカンは早めに放り出す。これが荒谷二中の論理です。しかし、人間、辛い目に遭って、あちこちぶつけていたら、どこか腐ってきますよ。でも、人間の精神が腐りきるなんて事は絶対にないんです」「俺は機械やミカンを作ってるんじゃねー。俺は人間を作ってるんだ」と言い、不良・加藤の更生に尽力した。
だから、原作小説「家族狩り」の犯人・大野甲太郎と山賀葉子は、ドラマ「3年B組-金八先生」に登場する荒谷二中と同じだと思った。
問題を排除しても、問題を解決する事にはならない。結局、問題を解決できないから、問題を排除するのだ。
犯人・大野甲太郎と山賀葉子の2人は、息子・香一郎が虐められている事にも気づかなかったし、息子・香一郎の問題を解決することが出来なかった。
また、犯人・大野甲太郎と山賀葉子の2人は、出所後に家族狩りを始めたが、犯人・大野甲太郎と山賀葉子の2人が相談者の問題を解決していれば、家族狩りをする必要も無かった。
つまり、根本的に問題なのは、犯人・大野甲太郎と山賀葉子の2人の指導力不足・能力不足であり、教育者として親としての資質の問題ではないか。
金八先生(武田鉄矢)なら、犯人・大野甲太郎よりも真剣に家族の問題にぶち当たっていただろうし、たとえ問題が解決できなくても、問題のある家族を殺そうとはしなかっただろう。
そう考えると、犯人・大野甲太郎と山賀葉子の2人こそが、社会の害(シロアリ)だったのではないだろうか。
■家族愛
原作小説「家族狩り」のテーマは「愛」「家族愛」だった。原作小説「家族狩り」には沢山の家族が出てきて、それぞれの愛の形があった。
私は原作小説「家族狩り」を読んで「愛ってなんだろう」と思った。「愛」という言葉はよく使うが、「愛って何だ」と言われると、答えられない。
クレーマーが「誠意を見せろ」という言葉を使う事があるが、「誠意」と言われても困るように、「愛」という言葉にもピント来ない。
簡単には答えは出ないだろうが、原作小説「家族狩り」が、2014年7月期にTBSでドラマ化されるので、ドラマ「家族狩り」を観ながら、ゆっくりと、愛について考えたいと思う。
■追記
「氷崎游子が父・駒田幸一を逮捕させて娘・駒田玲子を引き離した」という原因により、「駒田幸一が氷崎游子を刺した」という結果を招きました。
悪い結果を招いたのは、原因に問題があるからではないかと思うのは当然なので、私は氷崎游子の対応に疑問を感じました。
これは小説「家族狩り」に対する感想で、現実の児童保護には言及していません。
私の書き方が悪かったため、誤解を招いている方もいらっしゃるようなので、お詫びして補足します。
コメント欄
大野甲太郎 山賀葉子はアホですね。この家族狩りを読んだらフィクションなんて思えないくらい現実のような感じですね。私にも17歳の子がいますその子には刺激が強すぎるからドラマは見させない方がいいかも。。。
最近mozuを観たばかりで、もう殺人や残虐シーンはうんざりと思っていました。 あらすじ読ませていただいて、やっぱり、家族狩りも残酷シーン多そうですね。
金八先生、久しぶりに観たくなりました。腐ったミカンの話、懐かしいしほっとします。 刺激強いばかりのドラマや映画って、そこばかり印象強くてメッセージが薄くなってしまう気がします。
このドラマは、原作を読んだ人が一層楽しめるように作っているように思える。ドラマ中の所々に出てくるヒント的な映像が、演出家の遊びとしか思えず、普通に見ている者にとってはウザくてしょうがない。ネタバレ本文中の腐ったミカンまで出ている。それと、グロ的な映像演出は、アメリカドラマの「デクスター(警察官は殺人鬼)」にそっくりだ。絶対パクっていると思う。
原作を読もうと思いませんが、このドラマを観るとどうなるんだろうって?!魅かれるところがあります。
>どんな家庭でも、多かれ少なかれ問題がある。100の家庭があれば、100の家庭のあり方が存在するはずなのに、マニュアル的に親子を引き離す氷崎游子のやり方に疑問を感じた。
こんな考え方の人がいるから、日本は虐待死が後を絶たないんですね。
びっくりしました。
たぶん、現在の児童相談所は踏み込んだ措置がとれず、そこに虐待の現実が見え隠れしても手をこまねいていて、結局子供が被害を受け続けるという現実があるんだろうと思います。この物語で、かなりずるいやり方で虐待をしたと思われる父親を逮捕させるという行為は、こうした日本の現状の中で想定される一つの形を創作したんでしょう。現実にはそんな職員はまず考えられないので、日本の子供の虐待死がなかなか減らないという現実がありますよ。
多くの場合、児童相談所の利用は有用でしょう。もっとも相談したからと言って丸く収まると期待するのは無理、という現実もあるでしょう。ただ、相談しないで自分で解決とか思っていると、もっと泥沼にはまる。というのが現実ではないかな。
たぶんこの小説の作者はこうした現実を知っていて、そこに対するアンチテーゼとしてこれを作ったのかも。
オリジナルを読んでから感想文した方がいいかもです。
…文庫版は改正が多いの知らないのかな?
酒を呑んで、暴力を振るう人間に
構成はありえません
引き離すは当然です
皆、世間の病み人を舐めてます
子供と引き離した事の何が悪いのか
こんな大人ばかりだから子供達が死んでいくのではないか。
あなたには子供を育てる資格はない
荒谷二中の米倉先生は確か不良たちのために戦った人だったような気がします。
「くさったミカン」の方程式を掲げる荒谷二中の校長・教頭に立ち向かう側だったような・・・。
不良たちが病に倒れた米倉先生を慕う言葉や、最終回では亡くなってしまった米倉先生に、少なからず尊敬の念を抱いていた金八先生が何か誓いの言葉を言って終わるような・・・。
すみません、金八先生好きなもので。
■しずさんへ
ご指摘ありがとうございます。私の記憶違いをしていました。米倉先生は加藤の理解者だったので、訂正します。
・児童相談所に相談せずにYahoo知恵袋
・シロアリ駆除は自分で
(笑)考え方幼稚で安直すぎですね。
思いついたら深く考えずに直ぐ行動するでしょう?