家族狩り-感想
井上真樹夫が出演するTBSの家族狩りドラマ「家族狩り」の第1話「天童荒太原作の不朽の名作を大石静脚本、骨太なキャストで完全映像化」の感想です。
ドラマ「家族狩り」のあらすじとネタバレは「家族狩り-あらすじとネタバレ」をご覧下さい・。
原作小説「家族狩り」のあらすじと犯人と結末のネタバレは「原作小説「家族狩り」のあらすじと犯人と結末のネタバレ」をご覧下さい。
■氷崎游子(松雪泰子)はクレームババア
氷崎游子(松雪泰子)の父・氷崎清太郎(井上真樹夫)は、痴呆症で町内を徘徊するようになっていた。
電話で氷崎游子(松雪泰子)に父・氷崎清太郎(井上真樹夫)の徘徊を知らせている人は、おそらく町内の人だろう。今は少なくなった近所付き合いを表現しいたのだと思う。
さて、氷崎游子(松雪泰子)の母・氷崎民子(浅田美代子)は、痴呆症の氷崎清太郎(井上真樹夫)の朝食に睡眠薬を混入して、パチンコへ出かけたり、寝る時に徘徊しないようにベッドに縛り付けたりしていた。
介護疲れは大変だと思うが、母・氷崎民子(浅田美代子)の行為は、高齢者に対する虐待であり、介護施設などでは原則で禁止となっている。
氷崎游子(松雪泰子)自身は積極的に父親への虐待に加担していないのかもしれないが、子供を虐待する親を警察に逮捕させ、警察にクレームを言っているのに、母・氷崎民子(浅田美代子)の虐待を止めないのは理不尽だと思った。
また、刑事・馬見原光毅(遠藤憲一)が補導された娘・真弓(篠田麻里子)を張り倒したとき、氷崎游子(松雪泰子)は「止めなさい。自分の娘に暴力を振るうなんて最低」刑事・馬見原光毅(遠藤憲一)を引っぱたいた。
だから、氷崎游子(松雪泰子)は自分勝手な女性だったと思った。おそらく、氷崎游子(松雪泰子)のベクトルは子供にだけ向いており、他の人間は保護する対象にないのだろう。警察がクレームババアと呼ぶのも仕方が無いのだと思った。
■生きる
母・氷崎民子(浅田美代子)が氷崎游子(松雪泰子)に「生きれば生きるだけ、人生は辛くなるんだ。アンタも覚悟しときな」と言っていた。
確かに、人間は老いていき、体の自由も利かなくなっていくし、人間関係や仕事など、辛い事も多くなっていく。社会の状況なども含め、老人が生きにくい世の中になっている。
生きれば生きるほど辛くなるのであれば、人は何故、生きるのだろうか。人は何のために生きているのだろうか。
私は以前、黒澤明の映画「生きる」を観て、生きるという意味について考えた事がある。
その時は、生きる事は、何かを作る事だと思った。それは、家族なのか、子供なのか、友達なのか、公園なのかは分らないが、自分の生きた証しを作る事だと思った。
そういえば、黒澤明の映画「生きる」は、癌になった市役所の課長が最後に命を賭けて公園を作る話だった。
父・氷崎清太郎(井上真樹夫)が公園を作って町民に感謝されているエピソードは、黒澤明の映画「生きる」のオマージュだったのだろうか。
■ドラマ「家族狩り」第1話の感想
ドラマ「家族狩り」の脚本を手がける大石静は、同期放送のテレビ朝日ドラマ「ゼロの真実?監察医-松本真央」の脚本も手がけており、脚本の掛け持ちなので、あまり期待していなかった。
しかし、ドラマ「家族狩り」の第1話は面白かった。画も綺麗だし、演出も良かった。グロテスクな描写が抑えられていたのも良かった。
ただ、グロテスクな描写が抑えられていたので、お笑いパートが不必要だと思った。もっとシリアスなドラマにしても良かったと思う。
それに第1話のサブタイトル「天童荒太原作の不朽の名作を大石静脚本、骨太なキャストで完全映像化」というのは、やっつけ仕事過ぎて、やる気が感じられないので、もう少し真面目に考えた方が良いと思う。
最近のTBSの金曜10時枠は、序盤でポンポンと殺人事件が起きてスピーティーな展開で面白いのだが、後半はグダグダになる展開が多いので、ドラマ「家族狩り」も後半で失速しそうな感じもするが、今後の展開に期待したい。