民王-あらすじと犯人・黒幕ネタバレ読書感想文

遠藤憲一が主演するテレビ朝日の2015年7月期ドラマ「民王」の原作となる池井戸潤の小説「民王」のあらすじと犯人・黒幕のネタバレを含む読書感想文です。

このページには池井戸潤の原作小説「民王」のあらすじと犯人・黒幕のネタバレが含まれています。あらすじや真犯人・黒幕のネタバレを知りたくない人は閲覧にご注意ください。

原作小説「民王」のあらすじと犯人ネタバレは「民王-原作のあらすじと犯人ネタバレ」をご覧ください。

■民王-あらすじと犯人ネタバレ読書感想文
池井戸潤の小説「民王(たみおう)」がテレビ朝日で連続ドラマ化されるということで、池井戸潤の小説「民王(たみおう)」を読んだ。

池井戸潤と言えば小説「半沢直樹シリーズ」を代表するように、企業物の小説が有名だが、原作小説「民王」は、内閣総理大臣を主人公とした、肉体と精神が入れ替わるタイプの小説である。

政治が舞台の小説なので、難しいと思われがちだが、原作小説「民王」は難しい小説では無い。原作小説「民王」は政治対する風刺が描かれているので、必要なのは政治の知識では無い。必要なのは政治の知識よりも、週刊誌などのゴシップ情報だろう。

たとえば、総理大臣になったバカ息子・武藤翔が「未曾有(みぞう)」を「ミゾーユ」と読んだり、「所存(しょぞん)」を「トコロアリ」と読んだりする点は、麻生太郎総理大臣を彷彿とさせる。

原作小説「民王」に登場する政治家には、ほとんど実在のモデルと思われる政治家がいるので、登場人物の実在のモデルを探すのも面白かった。

■民王-犯人と黒幕のネタバレ
総理大臣・武藤泰山とバカ息子・武藤翔の脳波(精神)を入れ替えた真犯人(黒幕)は、共和党の冬島議員とアメリカの新興製薬会社メディシスだった。

共和党の冬島議員は、議員とバカ息子を入れ替えて不祥事を起こさせ、日本の政権を握ろうとした。

一方、アメリカの新興製薬会社メディシスは、共和党に政権をとさせることで日本進出を狙っていた。

女子大生の南真衣も、共和党の冬島議員に協力していた共犯者だ。南真衣はバカ息子・武藤翔の友達ということで共和党の冬島議員に利用され、バカ息子・武藤翔の情報を共和党の冬島議員に流していた。

■南真衣の動機のネタバレ
南真衣の母親は癌だった。アメリカで新薬が開発されたが、日本では承認されておらず、アメリへ行かなければ、治療を受けられず、南真衣の母親は癌で死んだ。

これが切っ掛けで、南真衣は未承認薬を輸入代行する会社を作り、困っている人からは利益を上げず、健康食品などで利益を上げるビジネスモデルを構築していたが、輸入代行だけでは限界を感じていた。

そこで、南真衣も、共和党の冬島議員に利用されているかもしれないと思いながらも、未承認薬問題で困っている人を助けるため、共和党の冬島議員に協力していた。

■民王-あらすじとネタバレ読書感想文
真犯人や黒幕に荷担していた南真衣の動機からも分かるように、原作小説「民王」のテーマの1つは、医薬品の承認問題である。

原作小説「民王」の中では、日本は医薬品については鎖国状態で、「医薬品許認可の大幅緩和」をマニフェストに掲げる共和党と、日本進出を狙うアメリカの新興製薬会社メディシスが結託するというあらすじである。

医薬品の承認問題については、以前、何かの番組で取り上げてたので、海外で認可されている薬が日本ではなかなか認可されないというドラッグラグ問題があることは知っていた。

しかし、承認問題の詳しい事までは知らなかったので、小説「民王」を読んで非常に勉強になった。癌の人にアメリカの新薬を投与できるシステムが早く出来れば良いと思った。

また、南真衣は黒幕に荷担していた確信犯だが、困っている人からは儲けないというビジネスモデルを構築した点は非常に共感できたので、私も未承認医薬品の輸入代理業に興味を持った。

■民王-武藤泰山の変態バナナ事件の感想
さて、原作小説「民王」は政治家を風刺しており、総理大臣が漢字を読めなかったり、大臣が酒に酔って会見したりといった不祥事は、本物の議員ではなく、入れ替わっていたバカ息子が引き越した不祥事だった。

これは、こういったバカ息子がいずれは親の地盤を継いで2世議員になるという揶揄も含まれているのだろう。

ただ、週刊誌に愛人の「狩屋さんは、私の○○○にバナナを入れて・・・」という暴露記事を書かれて「バナナ幹事長」と呼ばれるようになった幹事長・狩屋孝司は、バカ息子と入れ替わっていたわけではなく、狩屋孝司本人による不祥事だった。

他の議員の不祥事は、入れ替わったバカ息子が原因なのに、狩屋孝司のバナナ事件だけは本人の不祥事なうえ、総理大臣・武藤泰山も更迭してくれなかったので、ことある事に週刊誌が「変態バナナかんじちょう」と書き立てるのだと思うと、可哀想になっていた。

結末をハッピーエンドにするのなら、狩屋孝司の変態バナナ事件も、どうにかして救済してあげて欲しかった。

■民王の意味
小説のタイトル「民王」は「民の王」という意味だった。おそらく、「民王」は「民の主」と書く「民主」を揶揄したものだろう。

民主党にも「民主」が含まれているし、自民党は正式に言えば「自由民主党」である。

■民王-感想は物足りない
原作小説「民王」はエンターテイメント性の強い小説なので仕方が無いが、原作小説「民王」を読んで物足りないと思った。

原作小説「民王」の結末は、総理大臣・武藤泰山が結末で新薬許認可法案を可決してハッピーエンドで終わっているのだが、民政党の新薬認証制度が製薬会社の利権を守るためにあるのだとしたら、新薬許認可法案を可決に対して製薬会社からの圧力があった方が盛り上がったと思う。

また、総理大臣・武藤泰山とバカ息子・武藤翔の考えが理想論なので、あまり、深みを感じなかった。

ただ、その理想論を口に出して言えるという所は、凄いと感じた。原作小説「民王」で一番大事なのは、「理想論を口に出す」と言うことなのかもしれない。

バカ息子・武藤翔を採用した有機野菜販売会社の面接官は「君みたいにさ、理想論ばかりを言っている若者はたちが悪いのさ」「だが、理想論すら語らない若者はもっと立ちが悪い」と言っている。

だから、原作者の池井戸潤が「民王」で言いたかったのは、「若者よ、もっと理想論を語れ」と言うことかもしれない。

さて、池井戸潤の小説に期待するのは、もう少し重厚な企業ものだったので、私には原作小説「民王」は物足りないと感じた。

しかし、ドラマ化すれば、登場人物の掛け合い部分は小説よりも面白くなると思うので、ドラマ「民王」に期待した。

■民王のドラマ化
池井戸潤の小説「民王(たみおう)」が、2015年7月期にテレビ朝日の金曜深夜ドラマ枠でドラマ化される。

テレビ朝日の金曜深夜ドラマ枠は、主人公の精神が入れ替わる東野圭吾の小説「秘密」を志田未来の主演でドラマ化して、深夜枠なのに最終回の視聴率11.2%、平均視聴率9.1%という高視聴率を記録している。

ドラマ「秘密」は秀逸なドラマだったので、小説「民王(たみおう)」のドラマ化にも期待したい。

ただし、主人公の精神が夫と入れ替わる垣谷美雨の小説「夫のカノジョ」をドラマ化した、川口春奈が主演したTBSのドラマ「夫のカノジョ」は、ゴールデンタイムなのに最終回の視聴率3.3%、平均視聴率3.8%を記録しているので、小説「民王(たみおう)」のドラマ化には若干の不安も残る。

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 すごくわかりやすっかったです。

  • 投稿者-
  • たっきぃー