掟上今日子の備忘録-原作のあらすじと結末ネタバレ感想文
ガッキーこと新垣結衣が主演する日本テレビの探偵ドラマ「掟上今日子の備忘録」の原作となる西尾維新の小説「掟上今日子の備忘録」のあらすじとネタバレを含む読書感想文の感想文編です。
このページには、原作小説「掟上今日子の備忘録」のあらすじや犯人のネタバレが含まれています。原作小説「掟上今日子の備忘録」のあらすじや犯人のネタバレを知りたくない方は閲覧にご注意ください。
小説「掟上今日子の備忘録」のあらすじとネタバレ編は「掟上今日子の備忘録-原作のあらすじとネタバレ」をご覧ください。
■掟上今日子の備忘録の感想文
2015年10月期に西尾維新の小説「掟上今日子の備忘録」が、日本テレビでドラマ化されるため、西尾維新の小説「掟上今日子の備忘録」を読んだ。
ドラマ「掟上今日子の備忘録」の主人公は掟上今日子(新垣結衣)だが、小説「掟上今日子の備忘録」の主人公(語り部)は、隠館厄介(かくしだて・やくすけ)である。
隠館厄介は、何かにつけて事件に巻き込まれ、疑われる不幸体質の人間で、探偵・掟上今日子の助手的な人物である。
一方、置手紙探偵事務所の所長で探偵の掟上今日子は、事件についてのメモを取らなくても全てを記憶しているという記憶力の持ち主だが、一瞬でも寝れば全てを忘れるという忘却探偵である。
掟上今日子は寝ると全てを忘れるため、事件解決までのタイムリミットは寝るまで。日をまたぐような難事件は引き受けないので、超一流の探偵には名を連ねないが、その日のうちに依頼を解決する「最速の探偵」である。
小説「掟上今日子の備忘録」は主人公・隠館厄介が探偵・掟上今日子に依頼するという形で物語りは進行していく。
小説「掟上今日子の備忘録」は、いわゆる記憶リセット系の小説である。記憶リセット系の物語は「博士の愛した数式」「メメント」「パコと魔法の絵本」など、多数があり、目新しいテーマではない。
特に、体にメモを残すのは設定は映画「メメント」で使われていたし、記憶は残っていなくても体は覚えているという設定は映画「パコと魔法の絵本」でも使われていたので、設定には新鮮みは無かった。
私は第1話のSDカード紛失事件を読んで、途中で読むのを止めようと思ったのだが、第2話の「100万円を人質に、1億円を要求する事件」を読んで一気に引き込まれた。
「100万円を返して欲しければ、1億円を銀行口座に振り込め」などと脅されて、1億円を払う人間が居るはずが無い。
ところが、人気漫画家の里井有次(女性)は、100万円の為に1億円でも2億円でも払おうというのである。漫画というのは、人気が出れば、かなり儲かるらしい。
この事件のネタバレになるが、人気漫画家の里井有次は、お金の通し番号をログイン・パスワードにつかっていた。パスワードがなければ、パソコンで漫画も書けないし、クラウドの漫画のネタ帳にもアクセス出来ないし、他のサービスにもログインできない。
つまり、人気漫画家の里井有次にとって、盗まれた100万円には1億円、2億円以上の価値があったのである。
したがって、犯人は、100万円の通し番号がパスワードに使われる事を知っており、パスワードに1億円以上の価値がある事を知っている人物である。
掟上今日子は人気漫画家の里井有次のアシスタントが犯人と推理し、編集長・紺藤の調査によってアシスタントの1人が犯人だったと判明する。
読み終えた後では、たいしたトリックでは無いと思うが、読んでいる時は「100万円を返して欲しければ、1億円を銀行口座に振り込め」という事件はかなり興味を引かれた事件である。
こんな事件が今後も続くのかな、という期待が、小説「掟上今日子の備忘録」を読み続けるモチベーションになった。
読み終えてみると、全体的にトリック自体はそれほど、凄いとは思わなかったが、忘却探偵・掟上今日子と真っ先に疑われる隠館厄介の関係が甘酸っぱくも心地よく、続きが気になった。途中で読むのを断念せずによかったと思う。
■掟上今日子の備忘録のトリック
原作小説「掟上今日子の備忘録」に登場するトリックはIT系が多かった。SDメモリやクラウドやパスワードなどがトリックに登場した。
音楽を記録するカセットテープにデータを記録できることは知らなかった。元々、カセットテープはSDカードやUSBメモリのように、データーを保存するためのもので、120分のカセットテープに、約500KBのデジタルデーターが保存できるそうだ。
私はIT系にほとんど知識が無いので、トリックの凄さは分からなかったが、IT系の人が読めば、また違った感想を持つだろうと思った。
■ミステリー作家・須永昼兵衛
連続小説を主にするミステリー作家・須永昼兵衛は、作家生活45年の間に、遺作小説「とうもろこしの軸」を含めて単作を7作書いていた。
しかし、その単作7作には、共通して、名も無い脇役として、桃田朝美という女性が登場したいた。
小説やゲームには、イースター・エッグが隠されていることがある。イースター・エッグとは、作者しか分からないような秘密のメッセージのことだ。
テレビゲームでは、制作者が遊び心でイースター・エッグを仕込む事があるが、特殊な操作をしなければ、イースター・エッグにたどり着けず、普通にゲームをしていてはイースター・エッグに気づくことは無い。
ミステリー作家・須永昼兵衛の単作7作に共通して登場する桃田朝美は、いわゆる、イースター・エッグで、掟上今日子はミステリー作家・須永昼兵衛のイースター・エッグを見つけたのだ。
掟上今日子の調査によると、桃田朝美は実在しており、ミステリー作家・須永昼兵衛が17歳の時に近所に住んでいた女性だった。ミステリー作家・須永昼兵衛は桃田朝美と結婚を約束していたのだが、桃田朝美は自殺していた。自殺した理由は分からない。
シリーズ物を手がけていたミステリー作家・須永昼兵衛にとって、単作は筆休めかと思われていたが、ミステリー作家・須永昼兵衛にとって単作は筆休めなどではなく、桃田朝美が登場する単作ことそが本当に書きたかった作品らしい。
単作と思われていた小説7作が実は桃田朝美の成長を描いた連続小説で、桃田朝美の生涯が完結していないので、ミステリー作家・須永昼兵衛は自殺していないという結論だった。
単作7作品が実は連続小説だったというトリックは面白かったし、なにより、ミステリー作家・須永昼兵衛の単作小説に対する思いを感じられたので良かった。
原作小説「掟上今日子の備忘録」にも、作者しか分からないような秘密のメッセージが込められているのだろうか?
■掟上今日子の正体
小説「掟上今日子の備忘録」を読んでいて、掟上今日子は本名なのなのだろうか、という疑問が生まれた。
掟上今日子は、寝ると記憶がリセットされる忘却探偵だが、記憶の全てが消失するわけではないようだ。
掟上今日子は、小説「掟上今日子の備忘録」の第3話で、ミステリー作家・須永の小説について、「ある本以降の新刊は一切覚えてないんですから、それを教えたら、その本の出版年月日から、私がいつから記憶を失っているのか、少なくともどこまで覚えているのか、あたりがついちゃうじゃないですか」と言っている。
したがって、厳密に言えば、掟上今日子は寝ると記憶をリセットされるようになってからの記憶は無いが、寝ると記憶をリセットされるようになる前の記憶は、記憶がリセットされても覚えているということになる。
掟上今日子が、何歳の時に寝ると記憶をリセットするようになったのかは掟上今日子の企業秘密という理由で分からないが、掟上今日子は自分の誕生日や名前は覚えているはずだ。
にも関わらず、掟上今日子は体にマジックで「私は掟上今日子。25歳。置手紙探偵事務所所長。白髪、眼鏡。記憶が1日ごとにリセットされる」と書いている。
このため、掟上今日子という名前は本名では無いと考えられる。
実は、掟上今日子が本名では無いという証拠が、掟上今日子の部屋にある。
掟上今日子の部屋の天井には、「お前は今日から掟上今日子。探偵として生きていく」と書かれているのだ。
「お前は今日から掟上今日子」ということは、昨日までは掟上今日子ではなかった事を意味する。昨日も掟上今日子だった人に対して、「お前は今日から掟上今日子」という表現はしないからである。
したがって、掟上今日子という名前は本名ではない。掟上今日子という名前は、天井にメッセージを書いた犯人(黒幕)に与えられた名前だろう。
また、掟上今日子が記憶をリセットするようになった年齢については、少し絞り込めたので、「掟上今日子に関する備忘録」に記録しておく。
■掟上今日子に関する備忘録
掟上今日子は、企業秘密とか言いながらも、重要な手がかりを漏らしている。
掟上今日子がミステリー作家・須永の小説を最初に読んだのは、小説「のたりく神」である。
掟上今日子は小説「のたりく神」の記憶を保持しているので、掟上今日子が寝たら記憶をリセットするようになったのは、小説「のたりく神」の発売以降となる。
小説「のたりく神」は、ミステリー作家・須永の75作品目で、デビュー33年目の11月9日に発売している。
ミステリー作家・須永は作家生活45年で死んだことから逆算すると、小説「のたりく神」の発売は約13年前である。
掟上今日子が腕に書いていた「私は掟上今日子。25歳。置手紙探偵事務所所長。白髪、眼鏡。記憶が1日ごとにリセットされる」という情報の25歳という年齢が正しいと仮定すると、掟上今日子が寝ると記憶をリセットするようになったのは、12歳以降となる。
12歳なら当然、自分の名前を記憶しているので、わざわざ体にマジックで「私は掟上今日子」などと書かなくても良いはずだ。
■掟上今日子の正体の備忘録
さて、掟上今日子の正体を考えるに当たって、ヒントになるのは、編集長・紺藤の話だ。
編集長・紺藤は掟上今日子とよく似た女性を知っている。編集長・紺藤が海外支部で働いていたとき、その女性と知り合ったようだ。
その女性は掟上今日子と同じく、ミステリー作家・須永の愛読者で、今の編集長・紺藤があるのは、その女性のお陰だという。
ただ、その女性は、年齢が掟上今日子と一致しないようだし、掟上今日子のように倒れるまで無茶をするような性格ではないし、そもそも、寝たら記憶をリセットするという人間ではなかったらしい。
結局、編集長・紺藤はその女性と掟上今日子が同一人物という確証は得られなかったようである。
その女性が、記憶をリセットされるようになる前の掟上今日子という可能性は十分にあるので、編集長・紺藤の台詞には注目する必要があるだろう。
■掟上今日子の備忘録の犯人(黒幕)
さて、掟上今日子の部屋の天井には「お前は今日から掟上今日子。探偵として生きていく」と書かれている。
掟上今日子は、このメッセージにより、探偵をしている。メッセージに従って、探偵をしながら、メッセージを書いた犯人(黒幕)を捜しているようだ。
つまり、掟上今日子は、この犯人(黒幕)によって探偵をさせられているのである。
この犯人(黒幕)の正体は小説「掟上今日子の備忘録」の第1巻の時点では分からない。
少なくとも、小説「掟上今日子の備忘録」の第1巻に、犯人(黒幕)だと思えるような人物は登場しなかった。
黒幕が誰であるにせよ、「お前は今日から掟上今日子」と書いている以上、犯人(黒幕)は掟上今日子が寝ると記憶をリセットするようになった時期や原因に関わっている可能性が大きい。
だから、天井にメッセージを書いた犯人(黒幕)を探るには、掟上今日子が記憶をリセットするようになった時期や原因が重要になってくると思う。
■掟上今日子の備忘録の結末
小説「掟上今日子の備忘録」の結末は、ミステリー作家・須永昼兵衛の事件で掟上今日子に嘘をついたり、隠蔽工作をしたりして、自責の念に駆られていた隠館厄介が謝罪すると、掟上今日子は許す代わりに、裸になれという条件を出すというものだった。
残念ながら、小説「掟上今日子の備忘録」はそこで終わっているので、その後、どうなったのかは分からないが、おそらく、隠館厄介は裸になっただろう。
隠館厄介は、シャワーを浴びながら寝ている掟上今日子を介抱したときに全裸を見ているので、掟上今日子が隠館厄介を全裸にしても条件としてはイーブンだ。
掟上今日子は大事なことはマジックで体に書くので、隠館厄介の体に何かメッセージを書いたのかのだろうか、と私は想像したが、残念ながら、結末は分からない。続編が出るようなので、結末の結果は第2巻の発売を待ちたい。
■ドラマ化に対する期待
小説「掟上今日子の備忘録」は2015年10月に日本テレビでドラマ化される。主役の掟上今日子を演じるのはガッキーこと新垣結衣だ。新垣結衣が主演なら、「掟上今日子の備忘録」ではなく、「掟上今日子の美貌録」でも成立しそうだ。
さて、原作小説「掟上今日子の備忘録」を読む限りでは、原作小説「掟上今日子の備忘録」は事件のトリックよりも、掟上今日子と隠館厄介の微妙な距離感の方が大切だと思う。
その点でいえば、新垣結衣は2013年4月期のTBSの自衛隊ドラマ「空飛ぶ広報室」に主演して、空井大祐(綾野剛)との微妙な距離感を上手く演じていた。
ドラマ「空飛ぶ広報室」も面白かったので、ドラマ「掟上今日子の備忘録」にも大いに期待したい。
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コメント欄
ときかく掟上今日子役の黒髪ガッキーがかわいすぎてやばいです。