とと姉ちゃん-アカバネ電器製造と赤羽根憲宗(古田新太)のモデル

朝ドラ「とと姉ちゃん」に登場する電化製品メーカー「アカバネ電器製造」と社長・赤羽根憲宗(古田新太)の実在のモデルにつて。

■アカバネ電器製造と社長・赤羽根憲宗

アカバネ電器製造は、電化製品を製造する会社で、赤羽根憲宗(古田新太)はアカバネ電器製造の社長である。

アカバネ電器製造は、雑誌「あなたの暮し」の商品試験でアイロンが酷評されて経営が悪化。今度は、電気釜が商品試験されることになったため、雑誌「あなたの暮し」に泣きついたり、お金を積んで買収したようとしたが、小橋常子(高畑充希)や花山伊佐次(唐沢寿明)に一蹴されてしまう。

そこで、アカバネ電器製造の社長・赤羽根憲宗(古田新太)は、小橋常子(高畑充希)や花山伊佐次(唐沢寿明)の自宅に石を投げ込み、嫌がらせを開始する。

スポンサードリンク

■アカバネ電器製造と赤羽根憲宗(古田新太)のモデル

今でこそメイド・イン・ジャパンは高品質とされているが、戦後の日本製品は粗悪品の代表で、花森安治は闇市で買ったミシンが動かなかったことから、「消費者がこういう物を買っては困る」と考えた。

そして、花森安治は、商品テストを掲載するにはある程度の影響力が必要だと考え、発行部数が増えるのを待ち、昭和29年発売の雑誌「暮しの手帖」第26号から「商品テスト」を開始した。

暮しの手帖の商品テストは、商品の単なるレビューではなく、企業が作った商品を実際に使い、消費者の観点からテストする企画だった。

たとえば、コンセントのテストだと、企業は機械を使ってコンセントを5000回抜き差して耐久力をテストするが、花森安治は実際に人の手でコンセントを5000回抜き差しして耐久力をテストした。

花森安治は、実際に商品を使用してテストを行い、その商品テストにパフォーマンス性を加え、読み物として成立させた。

さらに、視覚的にテスト結果を見せるため、様々な工夫を行い、反響を呼んでいった。

雑誌「暮しの手帖」は商品テストで社名を公表していたので、商品テストで酷評された商品は売れなくなり、会社が倒産しそうになる企業もあり、「何とかして欲しい」と泣きつかれる事もあった。

実際、ポッカレモンは、雑誌「暮しの手帖」にビタミンC偽装問題を告発され、倒産寸前に追い込まれるという騒動もあった。

その一方で、倒産寸前の会社が、雑誌「暮しの手帖」で高評価を受け、息を吹き返したという事もあった。

さて、朝ドラ「とと姉ちゃん」に登場するアカバネ電器製造と赤羽根憲宗(古田新太)の実在のモデルは、特定の会社や社長ではなく、朝ドラ「とと姉ちゃん」のオリジナルだが、そのネタ元はストーブの商品テストだと考えられる。

■ストーブの商品テスト

花森安治と大橋鎮子(大橋鎭子)は、昭和35年(1960年)の第57号でストーブの商品テストを行った。対象となったのは、国産ストーブ6社のストーブとイギリスのアラジン社のストーブ「ブルーフレーム」だった。

このとき、国産ストーブのなかに、一酸化炭素を発生させるストーブがあった。

大橋鎮子(大橋鎭子)らは、雑誌で公表するまで、テスト結果は秘匿していたが、一酸化炭素は人の命に関わるため、ルールを破り、雑誌発売前にストーブを製造したメーカーの人間を呼び、メーカー立ち会いの下で再テストを行った。

しかし、それでも、一酸化炭素が出たため、テスト結果を雑誌「暮しの手帖」で公表した。

ストーブのメーカーは、これに激怒し、大橋鎮子(大橋鎭子)に罵詈雑言を浴びせかけ、嫌がらせもした。

このエピソードがアカバネ電器製造のネタ元になっているものと考えられる。

スポンサードリンク

■商品テストにのめり込む花森安治

花森安治は「企業が命がけで作った商品を批評するのだから、命がけでテストしなければならない」「商品テストが失敗すれば倒産する」と言い、命がけで商品テストに臨んだ。

現在の雑誌は企業から商品を借りたり、提供されて記事を書いている宣伝記事が多いが、花森安治は企業との馴れ合いを嫌い、全て商品を購入した。

しかも、企業から「たまたま悪いを買っただけだ」とクレームを言われてもいいように、同じ商品を2つ買い、テスト結果の良い方を採用するという念の入れようで、いつも真剣勝負だった。

また、企業と親しくなると、ペン先が鈍るため、企業との馴れ合いを防ぐため、企業へ行っても、お茶以外の提供を受ける事を禁じるなど徹底した。

さらに、花森安治は昔の知人から頼まれてはいけないので、同窓会などにも出席せず、私的な交際も排除していった。

雑誌「暮しの手帖」の商品テストは、酷評されが企業から罵倒されることもあったが、企業の努力により、次第次第に商品の性能は上がっていき、メイド・イン・ジャパンが高品質の代名詞となる礎を築いた。

■おまけ

企業に商品のクレームを付けたら、アメリカ人は訴訟対策のために注意書きをし、イギリス人は「伝統だ」と言って何もせず、日本人はクレームの付いた商品を改良する。

スポンサードリンク

コメントを投稿する

コメントは正常に投稿されていますが、反映に時間がかかります。




コメント欄

誤字のご指摘ありがとうございました。訂正しました。

  • 投稿者-
  • 管理人

アカバネのモデルはナショナルだと思います。
いま、実際に図書館で暮しの手帖を手にアイロン、トースターの商品試験を確認しましたが、いずれもナショナルが酷評されていました。
それから、とと姉ちゃんでは描かれていませんが、試験された商品のメーカーからのコメントがあるのですが、そこでもナショナルは「安くしたいのでツマミがないのは仕方がありません」と述べています。これはアカバネの(社長の)スタンスと変わらないのではないでしょうか。

  • 投稿者-
  • 匿名

情報提供をありがとうございます。

確かに、そう言われてみると、アカバネ電器製造のモデルはナショナルかもしれませんね。

ただ、暮しの手帖に嫌がらせをしたのは、欠陥を指摘されたストーブの製造会社で、公開試験は東京消防庁が行ったストーブの消火テストがモデルになっています。

だから、アカバネのモデルはナショナルだけではなく、複数のエピソードを組み合わせていると思います。

  • 投稿者-
  • 管理人