中年スーパーマン左江内氏-原作の最終回と結末ネタバレ感想文

堤真一が主演する日本テレビのドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」の原作漫画「中年スーパーマン左江内氏」の最終回と結末ネタバレ感想文です。

あらすじと最終回ネタバレは「スーパーサラリーマン左江内氏-原作のあらすじと最終回ネタバレ」をご覧ください。

■左江内氏は等身大のスーパーマン

一般的にスーパーマンはヒーローとして描かれるが、原作漫画「中年スーパーマン左江内氏」に登場するスーパーマンの左江内氏は極めて等身大で、適当なヒーローだ。

サングラスのスーパーマン(ハンコ屋)は「テキトーにやればいいのよ」「スーパーマンが1人くらい頑張っても、世の中の悪は根絶できっこない」「昼休みとかトイレのついでにチョコチョコっとやればよい」と言ってる。

左江内氏は、バイクの男に連れ去られた娘を助けるため、行きがかり上で、スーパーマンを引き受け、紆余曲折を経ながらも仕事の合間にスーパーマン業をこなしていく。

スーパーマンのスーツから記憶消失光線が出ているため、左江内氏の活躍は誰も覚えておらず、いくら人を助けても、誰からも尊敬されたないという「縁の下の力持ち」である。

左江内氏は、正義のために困っている人を助けるというよりも、助けを求めている人から出る波動を感じて悩まされ、その波動を消すために、渋々ながらスーパーマン業をしている点が面白かった。

スーパーマンの能力を通勤に利用したり、透視能力で少々の役得をえたり、後輩に先に出世された腹いせに力の加減を間違えて悪人をボコボコにしたりと、非常にユーモラスであり、哀愁に満ちている。

数あるエピソードの中で、私が最も好きだったのは、第7話「おれはこの家、出て行くぞ」である。

第7話「おれはこの家、出て行くぞ」は、中年スーパーマンの左江内氏が、ちょっとした切っ掛けで家出して、スーパーマンの力を使って遠くへ行き、死のうとしている女性と出会うという話である。

家族を養う父親としての小さな反抗とでも言おうか、なんとなく、サラリーマンの性を感じさせる作品だった。

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■最終回と結末ネタバレ

中年スーパーマン左江内氏は、最終回で、刺客に襲われた理想党の衆議院議員・佐城浪角を助けた。

佐城浪角は、「国会の爆弾男」と呼ばれ、国有地払い下げにからむ黒い霧事件を追っている国会議員である。

スーパーマン左江内氏は、佐城浪角の「社会正義のためならば、いつでもこの命を投げだす覚悟が出来ておるよ。ぼくはね、不正を見過ごすことが出来ない性分なんなのよ。だから昔から損ばかりしているがね。ま、世の中にひとりくらい、こんなバカがいてもいいんじゃなかろうかね」という言葉に感銘し、佐城浪角のボディーガードになる。

一方、佐城浪角に刺客を送ったのは、国有地払い下げ問題で対立している与党の肥腹幹事長だった。

佐城浪角は一見すると悪人だが、佐城浪角を黙らせるのは「国家百年の計」の為だ言い、全ては国のためであり、国民の為なのだという。

佐城浪角のボディーガードになった中年スーパーマン左江内氏は、肥腹幹事長を成敗しに行ったが、肥腹幹事長の口から語られる正義を聞いて混乱してしまう。

ところが、その後、敵対していた佐城浪角と肥腹幹事長は、「影の帝王」と呼ばれる老人の仲介によって裏で手を結んだ。

佐城浪角は国有地払い下げの問題を追及しない代わりに、追及していた文教法案を廃案にさせるという交換条件で、肥腹幹事長と手を結んだのである。

それを知った中年スーパーマン左江内氏は、「正義」について失望して苦悩し、全てが嫌になり、スーパーマンを止めようとしたとき、パーマン4号(パーやん)と出会った。

パーマン4号(パーやん)は、中年スーパーマン左江内氏がスーパーマンを止めようとしている事を知り、「百人居れば、百人の正義がある。あたり前のこっちゃがな。スーパーマンの力や責任を過大に考えるから気が重うなりまんのや」と教える。

そして、パーマン4号(パーやん)は、スーパーマンの力を使って内職で運送業をしていると言い、人手が足りないので中年スーパーマン左江内氏を運送業の共同経営者に誘ったのであった。

■最終回と結末のネタバレ感想文

原作漫画「中年スーパーマン左江内氏」の最終回を読んで、「正義」とは何だろうか、と思った。

最終回に登場したパーマン4号(パーやん)が「百人居れば、百人の正義がある」と言っているとおり、正義には色々な形があると思う。

原作漫画「中年スーパーマン左江内氏」には、様々な「正義」が登場しており、対立構造も「正義対悪」だけではなく、「正義対正義」「悪対悪」という対立構造も登場した。

私は、原作漫画「中年スーパーマン左江内氏」を読んで、「正義とは何か」という問題を突き詰めていくと、正義とは「自分に都合が良いこと」ではないかと思った。

人間の正義とは、人間にとって都合の良い事であり、国家にとっての正義とは、政府にとって都合の良いことである。そして、個人にとっての正義とは、その人にとって都合の良いことである。

だから、正義に正しいも間違っているも無いのではないかと思うし、正義の味方にも色々なタイプがあっても良いと思った。

そういう意味では、最終回に登場したパーマン4号(パーやん)は、非常に面白いヒーローだと思った。

スーパーマンだけでなく、人間も、パーマン4号(パーやん)のように、スーパーマンの能力を使って運送業の内職をする程度の要領の良さは必要だと思う。

私の知る限りでは、良い会社に入り、高い給料を貰っているのは、だいたい口が上手くて要領の良い人である。

私のように要領の悪い人間は、だいたい出世もできず、苦労する仕事ばかりを押しつけられ、損をしている。正直者は損をする、とはよく言ったものだと痛感する。

第1話に登場したサングラスの男(ハンコ屋)は、スーパーマンに身を入れすぎて本業のハンコ屋が傾いたため、左江内氏にスーパーマンを譲った。

サングラスの男(ハンコ屋)もスーパーマンの力を使って副業をする程度の要領の良さが無いから、本業のハンコ屋を傾けてしまったのだと思う。

だから、私は原作漫画「中年スーパーマン左江内氏」を読んで、あまり小さいことには拘らず、何事も要領よく生きるのが大切だと思った。

さて、最終回の結末は、パーマン4号(パーやん)が中年スーパーマン左江内氏を運送業の共同経営者に誘い、共同経営者の話をしながら、一緒に空を飛んでいくというシーンで終わっており、実際に共同経営者になるかまでは描かれていない。

中年スーパーマン左江内氏は、その後、どうなったのだろうか。それは、読者がそれぞれに想像するしかないが、私はパーマン4号(パーやん)と一緒に運送業の内職を始めたと思う。

そう思った明確な理由は無い。なんとなくである。なんとなく、中年スーパーマン左江内氏はパーマン4号(パーやん)の運送業を手伝いながら、ゆるーい感じのヒーローを続けているような気がした。

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