「未解決の女」の原作「永久囚人」の犯人ネタバレ感想文

ドラマ「未解決の女」の原作となる麻見和史の小説「永久囚人・警視庁文書捜査官」の犯人ネタバレを含む読書感想文です。

「永久囚人・警視庁文書捜査官」のあらすじとネタバレは「永久囚人・警視庁文書捜査官-原作のあらすじとネタバレ」をご覧ください。

■永久囚人-犯人のネタバレ感想文

文書解読班シリーズの2作目となる麻見和史の小説「永久囚人 警視庁文書捜査官」を読んだ。

小説「永久囚人 警視庁文書捜査官」は、作中に登場する自費出版(というよりも同人誌)の小説「永久囚人」を巡る連続殺人事件を解決するというストーリーだった。

作中に登場する小説「永久囚人」は、「僕」と「私」が登場するファンタジー小説で、青空書房から全部で99巻発売されているが、1章から18章までは同じで、最終回の19章だけが違うという形式である。

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■小説「永久囚人」のあらすじとネタバレ

作中に登場する小説「永久囚人」の主人公「僕」は「オーリ」「テラシ」「ヨウ」の3人にイジメられていた。

ある日、「僕」の前に、自分とうりふたつの「私」が現れた。そして、「私」は「何でも願いを叶えてあげるから、私と一つになってくれないか」と言い、「僕」を吸収してしまう。

「僕」は必死に抵抗しようとしたが、全く歯が立たず、「私」の中に取り込まれて生きていくことになる。

「私」の体はもの凄いパワーを持っており、「僕」はイジメに来た「オーリ」「テラシ」「ヨウ」を撃退し、犯罪者を見つけては金を巻き上げたり、犯罪者をそそのかして警察に復讐させたりしていたが、そのせいで犯罪者や警察に恨まれていた。

10年後、「僕」は吸収されるときに「何でも願いを叶えてあげる」という約束をしていたことを思い出し、「私」を忘れさせて欲しいと願った。

これが1章から18章までのあらすじで、ここまでは全巻共通のストリーなのだが、その後の19章は巻ごとに違い、それぞれのラストを迎えている。つまり、全巻で99巻なので、小説「永久囚人」には99通りのラストが存在するのだ。

■永久囚人の意味

永久囚人というタイトルは、作者の有村誠が大けがをしたことで寝たきりになり、心は元気なのに体は動かないという状況を意味していると考えられる。動かない体に閉じ込められた心を、永久に牢獄から出られない囚人に例えたのだろう。

では、「永久囚人」の中に登場する「僕」と「私」は何を表しているのだろうか。

私は、「僕」は作者・有村誠の現実であり、「私」は作者・有村誠の夢や理想を表しているのだと思った。

つまり、「僕」が「私」に吸収されるということは、現実の自分が理想の自分に吸収されたということである。

だから、「私」に吸収された「僕」は凄いパワーを得て、イジメに来た「オーリ」「テラシ」「ヨウ」をやっつけたり、犯罪者を見つけてはお金を取ったりしている。

その後、「僕」は「何でも願いを叶えてあげる」という「私」との約束を思い出し、「私」を消し去ることを願い、「私」を消し去ることになる。

これは、現実の自分が理想の自分を消し去り、現実の自分に戻ったことを意味していると思う。

つまり、小説「永久囚人」の最終回である第19章は、作者・有村誠の現実を表しているのだと思う。そして、バッドエンドという結末は、動けない体に閉じ込められた作者・有村誠の心境を表しているのだと思う。

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■永久囚人の本当の結末ネタバレ

小説「永久囚人」は普通の小説とは違い、全部で99巻まで販売されており、全ての巻で1章から18章までは同じだが、最終回の19章だけが違うという構成になっており、99通りの結末がある。

しかし、小説「永久囚人」には幻の第100巻が存在しており、この第100巻が真の最終回であり、本当の結末なのである。

そして、第100巻の最終回は、「僕」に生まれて初めて「影」ができ、「僕」は「アリー」と名乗り、「影」を「トク」と名付け、太陽に向かって歩いて行くという結末で終わる。

この「アリ」は作者・有村誠で、「トク」が館長・徳永隆一のことなのだろう。

つまり、第100巻の最終回でハッピーエンドに近い結末を迎えたということは、作者・有村誠は、寝たきりという逆境の中でも、館長・徳永隆一という支えを得て、未来に希望をもったということだろう。

■青空書房の正体ネタバレ

小説「永久囚人」を販売していた青空書房の正体は、私立図書館の館長・徳永隆一だった。そして、館長・徳永隆一は作者・有村誠の本当の父親だった。

館長・徳永隆一は作者・有村誠の母親と交際していたが、母親にDVを働いていたので、結婚はしなかった。しかし、既に母親は作者・有村誠を妊娠していたのだ。

そして、館長・徳永隆一は、有村誠の母親が死んだ後、寝たきりの有村誠を引き取り、面倒を見みて、パソコンと特殊な入力装置を買い与えた。

そして、有村誠が「オーリ」「テラシ」「ヨウ」のことを告白すると、館長・徳永隆一は幸田孝行・折笠健人・寺橋慶一郎に復讐して殺害したのである。

一般的に死刑のボーダーラインは3人と言われている。館長・徳永隆一は3人を殺害したので、死刑判決が下るだろう。

死刑囚は死ぬまで拘置所からでることのできない、永久の囚人である。つまり、小説のタイトル「永久囚人」の本当の意味は、死刑囚となる館長・徳永隆一のことなのかもしれない。

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■永久囚人の読書感想文

キリスト教では労働は罰とされる。エデンの園で暮らしていたアダムとエバは、食べてはいけないと命じられていた「禁断の果実(善悪の知識の実)」を食べたため、エデンの園から追放された。そして、アダムは神から労働の罪を与えられ、エバは出産の苦痛を与えられたとされるのだ。

つまり、西洋史観では、人間は生まれながらに労働の罪を背負った罪人であり、死ぬまで労働の罪から逃れられない永遠の囚人なのである。

しかも、昨今は日本の企業がブラック企業化しているうえ、日本国自体がブラック企業化しており、日本人に課せられた労働という非常に罪は重く、日本国民は疲弊している。

しかし、それでも私は、「永久囚人」を読んで希望を捨ててはいけないと思った。

作者・有村誠は寝たきりという最悪の状況でも、小説「永久囚人」を書き続け、第100巻でハッピーエンドという結末を迎えることが出来た。つまり、作者・有村誠は未来に希望を持てたのである。

人はトラウマなどと言い、過去の出来事に囚われがちだが、過去に囚われても過去を変えることはできない。

しかし、未来は変えることが出来る。未来を変えるには、今を変えれば良いのである。
作者・有村誠もきっと、過去に囚われることを止め、今を変えることが出来たので、小説「永久囚人」の第100巻でハッピーエンドという結末(未来)を描くことが出来たのだと思う。

だから、過去に囚われて生きている人こそ、永久の囚人なのではないかと思う。

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