三島通庸の妻・三島和歌子の生涯

NHKの大河ドラマ「いだてん(韋駄天)」に登場する三島和歌子(白石加代子)の実在のモデルのあらすじとネタバレです。

■実話・三島和歌子の生涯

実話の三島和歌子(みしま・わかこ)は、弘化2年(1845年)6月16日に、鹿児島県鹿児島市高麗町で、薩摩藩士・柴山権助の次女として生まれた。母は有馬叶である。

柴山家の身分は下級藩士の仲でも低い身分の「御小姓組」だったが、父・柴山権助は兵学者として名高く、藩士からの人望を集めていた。

三島和歌子は14歳の時に、家督を継いだ兄・柴山龍五郎の命令により、不本意ながら、1人目の夫となる鹿児島藩士・森岡昌純に嫁いだ。

(注釈:1人目の夫・森岡昌純との結婚が不本意だったというのは、2人目の夫となる幼なじみの三島通庸に恋をしていたからではないかと言われている。)

その後、兄・柴山龍五郎ら「精忠組」が尊皇攘夷運動という大きな流れのなかで、文久2年(1862年)に京都で「寺小屋事件」を起こしており、兄・柴山龍五郎は自宅謹慎となった。

また、芝山家と家族ぐるみの付き合いをしていた三島家の三島通庸も兄・柴山龍五郎とともに「精忠組」に加わっており、「寺小屋事件」で自宅謹慎処分になるのだが、身寄りが無いため、芝山家に身を寄せた。

一方、三島和歌子は森岡家に嫁いでいたが、森岡家は夫・森岡昌純の不在中に三島和歌子を離縁して柴山家に返した。

これは、薩摩藩が「寺小屋事件」を起こした藩士に厳しい態度を取ったので、森岡家は災いが及ぶのを恐れ、三島和歌子を離婚させたと考えられている。

そして、詳しい経緯は不明ながら、三島和歌子は2番目の夫・三島通庸と結婚することになった。

さて、夫・三島通庸は謹慎を解かれると、結婚後は京都に在住し、戊辰戦争では人馬奉行や小荷駄方差引として輸送部門で活躍した。

その後、薩摩藩の知政所会計奉行や日向国の都之城地頭を務め、藩政改革が認められて、明治4年11月に東京府の権参事に就任し、明治5年5月に東京府の参事に出世した。

明治7年(1874年)に酒田県(山形県の一部)令を兼任して、明治15年(1882年)には福島県令の専任となり、明治16年(1883年)には栃木県令を兼任。主要道路の整備を断行して、「鬼県令」「土木県令」として恐れられた。

栃木県令時代には三島通庸暗殺未遂事件「加波山事件」が起ており、夫・三島通庸は明治18年(1885年)に警視総監に就任して以降も常に刺客に狙われていた。

三島和歌子は、剣術に覚えがあったので、夫・三島通庸が公務で無いときは、仕込み杖を持って同行してボディーガードを務め、愛する夫・三島通庸を献身的に支え続けたが、夫・三島通庸は明治21年(1888年)10月23日に死去してしまう。

夫・三島通庸は妾をもっており、三島和歌子は夫・三島通庸が夜中に足を忍ばせて妾の部屋に行くことに辛い思いをして耐え忍んでいたが、実子も妾の子も区別無く平等に愛した。

夫・三島通庸の死後、三島家の采配を振るった三島和歌子は、長男・三島弥太郎を大山巌の娘・大山信子と結婚させるが、結婚間もなく、大山信子が結核に感染し、実家の大山家に引き取られた。

その後、協議離婚により、島弥太郎と大山信子が正式に離婚すると、三島和歌子は長男・三島弥太郎を陸軍中将・四条隆謌の娘・四条加根子と再婚しさせた。

明治31年(1898年)、徳冨蘆花が結核で離婚させられた大山信子をモデルにした小説「不如帰(ほととぎす)」を発表すると、小説「不如帰」はベストセラーとなり、芝居にもなった。

小説「不如帰」には、三島和歌子をモデルとした「お慶夫人」が登場しており、川島未亡人は結核になった嫁を追い出した極悪非道な姑として描かれていた。

三島家の中では小説「不如帰」のことは禁句になっていたが、三島和歌子は周囲の反対を押し切って「不如帰」の芝居を見に行き、「そんなことは言っていない」と言って徳冨蘆花に激怒した。

小説「不如帰」は完全な実話ではないが、世間の人はそうは受け取らず、三島和歌子は小説「不如帰」に苦しめられた。

しかし、大正8年(1919年)に、徳冨蘆花は雑誌「婦女界」で、小説を盛り上げるために姑と継母を悪人に描いたことを明かし、姑・三島和歌子と継母・大山捨松に謝罪し、小説「不如帰」の問題は一応、決着が付いた。

大正元年(1912年)には、息子の三島弥彦が日本初のオリンピック選手として、金栗四三とともに、ストックホルムオリンピックに出場した。

そして、三島和歌子は大正13年(1924年)12月3日に死去した。79歳だった。

さて、次のページでは小説「不如帰」のあらすじとネタバレを紹介して、小説「不如帰」の実話やモデルのネタバレしていきます。

不如帰(ほととぎす)-あらすじと実話とモデルのネタバレ」へ続く。

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