NHK大河ドラマ「江-姫たちの戦国」の原作の感想

NHK大河ドラマの原作となる小説「江-姫たちの戦国」の感想です。あらすじは「江-姫たちの戦国のあらすじ」をご覧ください。

HK大河ドラマ「江-姫たちの戦国」の原作となる田渕久美子の小説「江-姫たちの戦国」(上下巻)を読んだ。「江-姫たちの戦国」は、NHK大河ドラマ用に書き下ろした小説である。

私は「江-姫たちの戦国」を読んだが、面白くないと思った。私がつまらないと感じた点は、次の3つである。

1つ目は、嫌いなジャンルの小説という点である。私がフィクションの歴史小説が嫌いだ。事実に基づいた歴史小説は良いのだが、フィクションの歴史小説を読むと間違った情報で歴史を認識してしまう恐れるからである。

2つ目は、話が綺麗過ぎる点である。登場する女同士が仲が良すぎて不自然だった。豊臣秀吉の側室・淀が正室の北政所(ねね)と仲が良かったり、徳川秀忠の正室・江(ごう)が乳母・春日局(お福)と対立していなかったりしている。

女同士の権力争いが無く、浅井三姉妹の姉妹愛だけを取り上げているので、面白みが無かった。織田信長が善人として描かれている点もいまひとつだった。

3つ目は、文章が非常に読みにくい点である。主語を省略しているので理解しにくい文章が何カ所があるるほか、誰の台詞なのかが分りにくかった。

何度も読み返さなければならないので、読むリズムを維持できずに、ストリーに集中できなかった。「江-姫たちの戦国」は小説ではなく、脚本なのだと思う。

また、疑問点も1つある。下巻のP130では、江が秀吉と初めて会った時期を、北圧城で母親のお市が自害した直後としているが、江はそれ以前の安土城で秀吉と会っているのではないかと疑問に思った。

(追記:安土城では、江は秀吉と話していない。江が秀吉と初めて話したのは、お市が自害した後だった。)

一方、小説「江-姫たちの戦国」が面白いと感じた点もある。それは、浅井三姉妹の3女・「お江(ごう)」を主人公に取り上げた点である。

戦っていたのは男だけではない。政治の道具として利用されながらも、女は女の戦いを繰り広げていた。「江-姫たちの戦国」はまさに、女たちの戦国絵巻なのである。

浅井三姉妹の母・お市は死ぬ前に、長女の茶々に浅井の血を残すように命じ、三女の江に織田の血を残すように命じる。そして、姉と娘を持つ次女には、姉と妹とを結び付ける役割を命じる。

このお市の遺言が、「江-姫たちの戦国」を良く現わしている。読み終わると、なるほど、よく考えられた遺言だと感心する。

また、女性の目から観た織田信長という着眼点は面白いし、京極高次を女性の視点から観て、ダメ男に描いた点も面白い。

主人公のお江は、豊臣秀吉に両親を殺されたうえ、政治の道具として3度も政略結婚しにもかからず、恨み辛みがあまり感じられない点は斬新だった。

ただ、悪者を作っていないので、登場人物が偽善者にみえ、あまり人間味を感じないため、感情移入はできなかった。

細川ガラシャもまた、歴史を動かした女性である。細川ガラシャもアッサリとした味付けだった。もう少し独創的な解釈があっても良かったと思う。

当時は18歳未満の女子が結婚したり、出産したりしているが、現在では淫行になる。NHK大河ドラマは、色々と配慮しなければらならいので、原作・脚本を書いた田渕久美子は大変だったと思う。

江は12歳で佐治一成と結婚するが、夫婦が初夜でセックスをしないのは、NHK大河ドラマの原作だからなのだろうか。

江の娘・徳川和子(まさこ)は16歳(17歳?)で興子(後の明正天皇)を出産しているので、NHK大河ドラマでは年齢が変更されるのかに注目したい。

浅井三姉妹の長女・茶々は、お市と織田信長の間に出来た子供だという説もある。徳川家光は徳川家康と春日局との間に出来た子供だという説もあるし、徳川忠長は江が不倫をして出来た子だという説もある。

私はこういった陰謀に満ちたストリーの方が好きなのだが、NHK大河ドラマという枠の中に納めなければならないとすると、陰謀説は難しいのかもしれない。

だから、「江-姫たちの戦国」は小説としては面白みに欠けるが、「江-姫たちの戦国」の評価はNHK大河ドラマとして面白いか、面白くないかで判断しなければならないと思う。

嫌いなジャンルの小説だったから、私は面白く無いと感じたが、浅井三姉妹の生涯を上下巻で上手くまとめている。NHK大河ドラマが好きな人が読めば面白いのではないかと思う。この原作がどのような仕上がりになるのか、NHK大河ドラマが楽しみである。

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コメント欄

実際の史実とドラマがえらく違うってことがよくわかった

  • 投稿者-
  • ロンブー

あまりにでたらめが多すぎて、歴史ドラマではない。
当時の女性は、戦略会議に入ることなどないし、天下人だった秀吉をいつまでも
サル などと呼び続けたら、すぐ殺されちゃう世界でしょう。(まず教育的に人をサルなどと呼ぶのもまずい)。呆れて最近はもう見ないけど。
家康役の欣也さんなんか、内心怒っていると思うな。
視聴料金使ってこんなバカみたいなドラマ作らないでください。

  • 投稿者-
  • 呆れてるおばさん

ドラマをみる限り、千利休とその妻たち、三浦綾子著の盗作気味と思える箇所がいくつかある。ドラマの原作は読まないけれど、非常に不出来な代物だろうことは想像に難くない。NHKももう少し知的になりなさい。

  • 投稿者-
  • kobahep