わたし、定時で帰ります-原作の最終回と結末ネタバレ感想文

朱野帰子の原作小説「わたし、定時で帰ります」の最終回と結末を含むネタバレ感想文です。

このページは「わたし、定時で帰ります-原作のあらすじとネタバレ」からの続きです。

この感想文には最終回や結末のネタバレが含まれているので、ネタバレを知りたくない方は閲覧にご注意ください。

■わたし、定時で帰ります-ネタバレ感想文

朱野帰子の原作小説「わたし、定時で帰ります」を読んだ。何が何でも定時に帰っていた主人公・東山結衣が、ブラック上司・福永清次のせいで、残業を余儀なくされるが、定時に帰る会社にするため、奔走するというストーリーである。

主人公・東山結衣は、どうして定時に帰るのかというと、小学生の時に、企業戦士だった父親が過労死したからた。

それなら、何が何でも定時に帰ろうとするのも理解できると思ったのだが、父親が死んだという話は嘘だった。

東山結衣が定時に帰る本当の理由は、ビールを半額で飲むためである。なんと、中華料理屋「上海飯店」は18時半までに注文すると、ビールが半額になるのだ。

スポンサードリンク

■インパール作戦

さて、何が何でも定時に帰っていた東山結衣だったが、ブラック上司・福永清次のせいで、残業ありきの無謀な仕事を引き受ける羽目になり、残業を余儀なくされていくようになっていく。その無謀さは「インパール作戦」に、なぞらえられている。

朝ドラ「ひよっこ」を観ていた人は、聞き覚えがあるだろう。ビートルズ好きの小祝宗男(峯田和伸)が独白した壮絶な戦争経験が「インパール作戦」だった。

第二次世界大戦のとき、日本は中国へと侵攻し、中国を追い詰めていたが、イギリスが中国を支援していたため、中国を支配できなかった。

そこで、日本はイギリスから中国への支援経路を絶つため、イギリスの拠点(インド北東部のインパール)へと侵攻した。これが「インパール作戦」である。

しかし、インパールへの経路は山や大河に阻まれた難所で、日本軍はインパールへ到達することなく、大敗した。

日本軍の死傷者3万人と言われ、その大半が餓死や病死であり、「インパール作戦」は、日本陸軍史上で最も無謀な作戦とも呼ばれている。

■わたし、定時で帰ります-最終回と結末ネタバレ

この「インパール作戦」になぞられるほどの無謀な仕事のチーフになった東山結衣は、このままでは仕事中毒の元婚約者・種田晃太郎が危ないと考え、ブラック上司・福永清次を排除するため、ある計画を実行した。

その結果、ブラック上司・福永清次は長期休暇を取り、東山結衣はブラック上司・福永清次の排除に成功した。

ブラック上司・福永清次の排除に成功した東山結衣は、社長とのゴルフ勝負で獲得した人事権で石黒良久を応援に読んでおり、みんなと協力して仕事の仕上げに入る。

しかし、東山結衣の計画は、それだけで終わらなかった。東山結衣の目的は定時で帰れる職場を作ることであり、同僚にも残業を辞めさせるため、残業中に倒れたフリをして同僚を驚かせようとしたのだ。

ところが、東山結衣は残業を続けているウチに残業中毒に冒されており、本当に残業中に倒れてしまったのである。

東山結衣は気付くと病院だったので、驚いたが、仕事は出社してきた同僚が無事に完成させて納品を済ませた。しかも、社長が出陣して、無事に保守の契約も取り付けた。

しかも、東山結衣が倒れたので、石黒良久が社長にプレッシャーをかけると、社長は月の残業時間を20時間に制限することを約束した。

ところで、東山結衣は婚約者・諏訪巧の両親と顔合わせをする日だったので、無理に退院をして結婚指輪を取りに帰るが、諏訪巧が部屋に女を連れ込んでおり、元婚約者・種田晃太郎と一緒に諏訪巧の浮気の現場を目的してしまう。

東山結衣は元婚約者・種田晃太郎が黙っていてくれれば、そのまま諏訪巧と結婚すると言ったが、種田晃太郎は観てしまったのだから仕方が無いと言い、東山結衣を飲みに誘う。東山結衣は諏訪巧との結婚を諦め、種田晃太郎と共に飲み明かしたのだった。

スポンサードリンク

■テーマは働き方改革

朱野帰子の原作小説「わたし、定時で帰ります」は、平成31年(2019年)4月に施行される「働き方改革」をテーマにした小説だ。

「働き方改革」を簡単に言うと、残業時間の上限を月45時間、年間360時間にするという政策だ。生産性を向上させ、長時間労働を減らしたり、正規社員と非正規社員の格差を無したりすることを目的としている。

しかし、私は「働き方改革」は無意味だと思う。「働き方改革」が守られるのは大企業だけで、しわ寄せを食らうのは下請け企業だろう。そもそも法律で残業時間を制限しても、ブラック企業は法律など守る気は無いと思う。

原作小説「わたし、定時で帰ります」の中でも、タイムカードを押さずに働いたり、仕事を家に持ち帰るというシーンが登場するのだが、そういう問題は必ず現実でも起きるだろう。

また、原作小説「わたし、定時で帰ります」では、東山結衣が同僚も定時に帰るように促すのだが、定時帰宅を押しつけるのは「定時で帰れハラスメント」ではないかと思った。

残業は「悪」として描かれることが多いが、現実問題として、残業が無くなれば、残業代が無くなり、収入が減る。残業が無くなれば、困る人も多い。

それに、あんな嫁が居る家には帰りたくないので、会社で残業をしていたいと思う人も居るだろうし、妻の方も毎日、毎日、夫に早く帰ってこられては迷惑だと思うかもしれない。

だから、残業をしたい人は残業が出来て、定時に帰りたい人は定時に帰る事ができるようにするのが、一番良いのではないと思う。

■結末の感想

元婚約者・種田晃太郎は、東山結衣よりも仕事を選んだため、東山結衣は種田晃太郎との結婚を辞めて別れた。

しかし、結末では、東山結衣は婚約者・諏訪巧よりも仕事を選んだため、諏訪巧は女を連れ込んで浮気をしていた。

東山結衣は婚約者・諏訪巧との結婚を破談にするのだが、東山結衣が残業せずに帰っていれば、婚約者・諏訪巧と上手くいったのだろうか。

私は、東山結衣が仕事を選んでいたとしても、上手くいくとは思わない。諏訪巧と結婚していたとしても、諏訪巧はいずれ、浮気していただろう。結局、浮気する人は浮気するものだ。だから、結婚前に分かって良かったと思えばいいと思う。

あんがい、東山結衣は「向こう側」を観たので、元婚約者・種田晃太郎の事が理解できるようになっただろうし、種田晃太郎と復縁して結婚すれば、幸せになれるのではないかと思った。

わたし、定時で帰ります(楽天)

スポンサードリンク

コメントを投稿する

コメントは正常に投稿されていますが、反映に時間がかかります。




コメント欄

あなたはブラック企業を経験した事ないんですね。
本当のブラック企業ではまず残業代でません。
あと、残業も定時で帰れる事も選べるようにしていった結果、帰りづらい雰囲気が蔓延ってるから、とりあえず皆早く帰るようにしてるんじゃないでしょうか?
働き方改革が無駄だと言いますが、否定するのは簡単です。代替え案も考えてください。

  • 投稿者-
  • ブラック上司

コメントありがとございます。ブラック企業は、残業代も出ないし、働き方改革も守らないと思います。ブラック企業の従業員は、今以上に厳しくなるのではないかと思います。

代替案については、具体的な案はありませんが、政府は規制するのでは無く、規制を緩和して、会社が従業員に給料を払った方が得するような政策をとるべきだと思います。

  • 投稿者-
  • 管理人