ルパンの娘-原作の犯人と黒幕のネタバレ感想文

深田恭子が主演するフジテレビのドラマ「ルパンの娘」の原作の犯人と黒幕のネタバレ感想文です。

原作のあらすじとネタバレは「ルパンの娘-原作のあらすじと犯人ネタバレ」をご覧ください。

■ルパンの娘-原作の犯人と黒幕のネタバレ感想文

横関大の原作小説「ルパンの娘」を読んだ。泥棒一家に生まれた娘・三雲華が、警察官一家に産まれた桜庭和馬と交際するという話である。

「ルパンの娘」というタイトルなので、次元や五右衛門や峰不二子や銭形平次らが登場するのかと思って読んでいたのだが、次元らが登場しなかったので、残念だった。

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■ルパンの意味のネタバレ

三雲家は代々、泥棒の一族で、警察の間で「L(エル)の一族」と呼ばれていた。この「L」は「ルパン」の「L」である。

「ルパンの娘」というタイトルで、三雲華が「ルパン三世」の着メロを使っていたことから、てっきり「Lの一族」は「ルパン三世」から来ているのかと思っていた。

しかし、この「ルパン」はモーリス・ルブランの小説に登場する怪盗アルセーヌ・ルパンのことだった。

私は「ルパン三世」をイメージしていたので、単純な快活小説なのかと思って読んでいたのだが、複雑で分かりにくい話だったので、分からなかった人のために、できるだけ簡単に犯人と黒幕を紹介する。

■ルパンの娘-犯人と真犯人と黒幕のネタバレ

事件の発端となる50年前に、祖母・桜庭伸枝を襲った犯人は、刑事・巻栄一の祖父・巻英輔だった。

祖父・三雲巌は、スリ師となって祖母・桜庭伸枝を襲った犯人を探し続け、50年後に犯人は祖父・巻英輔だったと突き止める。調べてみると、祖父・巻英輔は元警察官だった。

そこで、祖父・三雲巌は、ホームレスの立嶋雅夫を使って、祖父・巻英輔に謝罪を求めると、祖父・巻英輔は孫の刑事・巻栄一に対応を任せた。

刑事・巻栄一は金で解決しようとしたところ、立嶋雅夫が勝手に刑事・巻栄一に会い、金を受け取ったうえに金銭を要求した。

このとき、立嶋雅夫が、刑事・巻栄一の弟の話を持ち出したので、弟にコンプレックスを持っていた刑事・巻栄一は逆上して立嶋雅夫を殺害した。

河川敷の下流で死んでいたホームレスが立嶋雅夫を殺害した犯人とされたが、刑事・巻栄一がホームレスに罪をかぶせるために凶器をホームレスの小屋に隠しただけで、下流のホームレスは事件とは関係が無い。

これが事件の真相である。刑事・巻栄一は逆上して立嶋雅夫を殺害しただけで、祖父・三雲巌は殺害を命じたわけではないので、黒幕ではない。

さて、こだけなら、誰でも分かるストーリーなのだが、この事件に、データベース書き換えが絡んでくるので、ストーリーが複雑になっている。

そこで、このデーターベース書き換えについても、簡単に解説したい。

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■データベース書き換えの解説

警察が指紋を照合した結果、顔の無い死体はホームレスの立嶋雅夫と判明したので、警察側の視点では「顔の無い死体は立嶋雅夫」という視点で進む。

しかし、兄・三雲渉が祖父・三雲巌に頼まれて、警察のデータベースを書き換えていたことから、三雲家では「顔の無い死体の正体は祖父・三雲巌」という視点で進む。

当然、読者は神視点なので、「顔の無い死体の正体は祖父・三雲巌」と言うことを知ったうえで、読み進めていく。

しかし、結末のどんでん返しで、祖父・三雲巌が生きていた事が判明し、顔の無い死体の正体は立嶋雅夫だったということが判明する。

では、何故こんなことが起きるのだろうか?それは、データベースの書き換えが2度、行われていたからである。

このデーターベースの書き換えトリックも、分かりにくかったので、簡単に解説したい。

■データーベースの書き換えトリック

祖父・三雲巌は、50年前に桜庭家の祖母・桜庭伸枝を襲った犯人を見つけた。調べると、その犯人は元警察官・巻英輔だと判明する。

そこで、祖父・三雲巌は祖父・桜庭和一からIDとパスワードを教えてもらい、孫の三雲渉に頼んで警察のデーターベースに侵入し、立嶋雅夫のデータを祖父・三雲巌のデータに書き換えた。これが1度目の書き換えである。

そして、祖父・三雲巌は、ホームレスの立嶋雅夫を使い、元警察官・巻英輔に接触して謝罪を要求した。

しかし、立嶋雅夫は勝手に、元警察官・巻英輔の孫である刑事・巻栄一に会い、刑事・巻栄一に殺されてしまう。

すると、祖父・三雲巌は、立嶋雅夫の死を孫同士の結婚に利用しようと考え、祖父・桜庭和一に連絡した。

そして、祖父・桜庭和一は、警察OBで防犯協会の理事をしていたので、堂々と警察署でデータベースにアクセスし、兄・三雲渉が書き換えた立嶋雅夫のデータの指紋データだけを元に戻した。これが2度目の書き換えである。

さて、私はデータベースのトリックが理解できなかったのだが、読み返して、ようやく理解できた。

私は、データベースを書き換えたというので、名前まで書き換えたのかと思い込んでいたが、名前は書き換えておらず、指紋や顔写真などのデータだけを書き換えていたのである。

表にすると、簡単に理解出来るので、表にしてみると次のようになる。

ルパンの娘-ネタバレ

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■祖母・桜庭伸枝を襲った理由

50年前に、祖母・桜庭伸枝を襲った犯人は、同じ大学の祖父・巻英輔だった。

しかし、祖父・巻英輔が祖母・桜庭伸枝を襲った理由は分からなかった。

50年前の事件なので時効が成立しており、祖父・巻英輔を逮捕できないにしても、事件の発端なのだから、ちゃんと50年前の事件について祖父・巻英輔に独白させるべきだと思った。

それに、祖父・三雲巌は、祖父・巻英輔に謝罪させようとしていたのだから、祖父・巻英輔に謝罪させないと、50年前の事件に決着が付かないのではないかと思った。

■本当の被害者は橋元エミリ

桜庭香は、桜庭和馬の結婚相手・橋元エミリを腹黒いと言っていたが、本当の被害者は橋元エミリではないだろうか。

橋元エミリは何も悪いことをしていないのに、腹黒いと言われ、結婚も破談になって、身内から犯罪者も出た。

警察官は、身内に犯罪者が居る人間とは結婚できないという伏線があったので、エミリは警察官と結婚することを夢見ていたが、今回の一件で、もう警察官とは結婚できなくなるだろう。

そう考えると、「ルパンの娘」の一番の被害者は橋元エミリだと思えた。

■Mのハンカチのトリック

事件解決の糸口になったのは「M」の刺繍が入ったハンカチだった。このハンカチは、祖父・三雲巌の遺品ではなく、祖父・三雲巌が刑事・巻栄一から盗んだ物だった。

刑事・桜庭和馬は、「M」の刺繍が入ったハンカチから、犯人の刑事・巻栄一にたどり着くのだが、私はハンカチのトリックが理解できなかった。

ハンカチは今年の春に発売しており、事件が起きたのは1年前なので、「ハンカチは死んだ祖父・三雲巌の物では無い」という点は分かる。

しかし、それだと、1年前の事件が起きたときに、犯人の刑事・巻栄一もハンカチを所持していないはずである。

また、三雲華が桜庭家に別れの挨拶に行ったとき、祖父・桜庭和一が祖父・三雲巌の遺品だと言い、三雲華にハンカチを渡すのだが、この時点でもハンカチは販売されていはずだ。

だから、私は、ハンカチのトリックが理解できなかった。私が時系列を勘違いしているだけなのだろうか?

■ルパンの娘-感想

「ルパン三世」「ロミオとジュリエット」「キャッツアイ」などを混ぜ合わせたストリーリーを想像して、原作小説「ルパンの娘」を読み始めたのだが、全然、想像とは違うストーリーだった。

それでも、設定は良かったし、途中までは面白かったのだが、トリック部分がよく分からなかったので、終盤は面白くなかった。

やはり、ハンカチの発売時期を考えると、つじつまが合わないような気がするし、「M」の刺繍が入ったハンカチから、犯人の刑事・巻栄一にたどり着く経緯が理解できなかった。

刑事・巻栄一が行った公衆便所が壊れていたから、刑事・巻栄一が犯人だと追求するシーンがあるが、トイレなんて行ってみないと、壊れているか、どうかまで分からないと思う。

全体的に、刑事・桜庭和馬の推理が飛躍している気がして、私には理解できなかった。

また、私は「地の文に嘘を書いてはいけない」と思って読んでいたので、読者をミスリードする目的とはいえ、「地の文」に「三雲巌が殺されたのは1年前だ」と書かれると、なんとなく違和を感じた。

原作小説「ルパンの娘」では「地の文」に三人称一元視点という手法が使われているので、三人称一元視点なら「地の文」に「三雲巌が殺されたのは1年前だ」と書いても嘘にはならないのだろうか。

仮に三人称一元視点なら嘘にはならないとしても、読んだ後にスッキリとせず、モヤモヤが残ったので、読者を騙すのであれば、他の手法を使って騙して欲しかった。

原作小説「ルパンの娘」は、分かりにくいトリックや推理部分を排除して、女版「ルパン三世」のような感じのラブコメにした方が良かったと思う。途中まで面白かったので、もったいないと思った。

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