なつぞら-「神をつかんだ少年クリフ」のモデルのネタバレ
広瀬すずが主演するNHKの朝ドラ「なつぞら」で制作されるアニメ「神をつかんだ少年クリフ」のモデルのネタバレです。
■なつぞら-「神をつかんだ少年クリフ」のモデル
朝ドラ「なつぞら」のなかで、奥原なつ(広瀬すず)らが制作する長編アニメ「神をつかんだ少年クリフ」のモデルは、長編アニメ「太陽の王子・ホルスの大冒険」です。
昭和38年に日本初の国産TVアニメ番組(30分)「鉄腕アトム」の放送が始まったことを切っ掛けに、TVアニメブームが起きた。
東映動画は、「狼少年ケン」でTVアニメに進出し、「狼少年ケン」で成功したので、TVアニメを強化するため、長編アニメの制作を中断する。
その後、TVアニメ班の体制が固まってきたので、長編アニメが再開されることになり、東映動画の大塚康生が長編アニメの作画監督に抜擢された。
そこで、大塚康生は、会社の方針にそぐわない新人の演出家・高畑勲を演出に抜擢した。
こうして、東映動画の労働組合の中核だった大塚康生・高畑勲・宮崎駿らが、長編アニメ「太陽の王子・ホルスの大冒険」を手がけることになった。
大塚康生・高畑勲・宮崎駿の3人は、最後の長編アニメになるかもしれないという危機を感じており、「良い物を作ろう」と誓い合った。
しかし、高畑勲が面倒くさいことばかり言い、まともに応戦できるのは宮崎駿だけだったうえ、制作陣の意見は会社側に受け入れられなかった。
結局、制作費と制作時間が大幅にオーバーしていき、会社側は「会社はきみたちにプレハブを作ってくれといっているのに、きみたちがやろうとしているのは頑丈な鉄筋コンクリートだ」と言い、制作中断を命じた。
しかし、労働組合の運動などを通じて、大塚康生らは、なんとか「太陽の王子・ホルスの大冒険」の制作を再開させることができた。
その後、会社から頭を押さえつけられながらアニメを制作し、中断期間もあったので、完成に3年もかかってしまった。
とにもかくにも、完成したので、「太陽の王子・ホルスの大冒険」は昭和43年7月に公開されたのだが、東映動画の長編アニメで最低を記録してしまう。
当時は、アニメは子供のためのもので、明るくて楽しいアニメが常識だったが、「太陽の王子・ホルスの大冒険」はベトナム戦争の影響などを受け、ユーモアの無い、暗いアニメで全く面白くなかったのだ。
その結果、企画部長・関政次郎や制作担当・原徹が会社を去り、スタッフ全員が減給処分となった。高畑勲も降格処分となり、仕事を干された。
「太陽の王子・ホルスの大冒険」は、ソ連のタシケント国際映画祭で演出賞に選ばれたが、東映動画は渡航費用を出さなかったので、高畑勲は労働組合のカンパでタシケント国際映画祭に出席したという。
「太陽の王子・ホルスの大冒険」は評価されなかったが、森康二が手がけたヒロイン「ヒルダ」は、日本初の美少女アニメとも言われ、高い評価を受けている。
さて、「太陽の王子・ホルスの大冒険」は暗い映画だったので、スタッフも思い気分になっており、次は気分転換に楽しいアニメを作ろうと言うことで、高畑勲に代わって矢吹公郎が演出に起用され、長編アニメ「長靴を履いた猫」が制作され、大ヒットした。
なお、「太陽の王子・ホルスの大冒険」の制作期間中に、宮崎駿が同僚アニメーター大田朱美と結婚して長男が誕生している。
また、大塚康生は、虫プロダクションのアニメーター中村和子の新車「ベレッタ」を壁にぶつけて廃車にしてしまい、虫プロダクションでTVアニメ「W3」のオープニングを手がけている。
「なつぞら-キアラのモデルのネタバレはヒルダ」へ続く。
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