ヒューマン・ロンダリングの意味
ドラマ「外交官・黒田康作」の第8話「最後のターゲット」の感想-最終回です。トップページは「外交官・黒田康作-第8話の感想」です。
ヒューマン・ロンダリングとは、マネーロンダリングのように人間を生まれ変わらせることである。原作「天使の報酬」ではボディ・ロンダリングとなっている。
他人の死体の身元を偽装して、自分の死体と偽り、戸籍上、自分は死んだことにして、浮浪者などから戸籍を買い取り、他人に成り代わる行為である。
ヒューマン・ロンダリングには色々な方法があるが、水死体や損傷の激しい死体が必要で、検視医や身元確認者の協力が必要となる。
さて、ヒューマン・ロンダリングの意味を説明したのは、ドラマ「外交官・黒田康作」の最終回や結末を予想するのに必要だからである。
ドラマ「外交官・黒田康作」のキモとなるのは、ヒューマン・ロンダリングだが、これまではヒューマン・ロンダリングが全く生かされていない。なぜなら、最終回で重要な意味をなすからである。
観上祥子(草刈民代)の秘書・悠木圭一(萩原聖人)の正体は、倒産した日和製薬(ひより製薬)の社長の息子だった。
悠木圭一(萩原聖人)は養子で、社長夫婦が自殺した後、籍を抜いて悠木圭一を名乗っている。
ドラマ「外交官・黒田康作」には、ヒューマン・ロンダリングが存在するにもかかわらず、なぜ「養子」なのか。非常に不自然である。そこで、私は考えた。日和製薬の社長は死んでいないのではないか。
日和製薬の社長夫婦は自殺したことになっているが、自殺の動機があいまいだ。職を失った従業員が自殺することがあっても、会社が倒産したくらいで社長は死ぬことは希だ。
日和製薬はおそらく、株式会社なので、倒産したとしても、個人資産には影響はない。社長が会社の債務保証をしていたとしても、数十億円の債務があるのだから、弁済できなければ自己破産すれば良い。
ブライトン製薬が日和製薬の人材を引き抜いているのだから、リストラする手間も省けている。民事再生法を申請したくらいで、社長が自殺していたら、世の中は自殺者だらけになってしまう。
ではなぜ、日和製薬(ひより製薬)の社長夫婦が自殺したのか。この自殺こそ、社長夫婦が生きているキーワードなのである。
なぜなら、社長夫婦は、ヒューマン・ロンダリングによって、他人に成り代わり、今も生きているのである。
そして、社長は息子(養子)の悠木圭一(萩原聖人)と連携し、ブライトン製薬に復讐を遂げようとしているのだ。
では、社長夫婦は誰に成り代わったのか。それは外務大臣の斉藤修助(近藤正臣)にほかならない。斉藤修助こそが、悠木圭一(萩原聖人)の父親であり、日和製薬の代表取締役社長なのである。
第1話で開催した「WTO農業交渉会議」で起きたテロは自作自演によるものだった。
最終回の舞台となるCIEM会議で起きるテロは、全て斉藤修助(近藤正臣)が、元総理の矢田部誠一郎(平泉成)を陥れるために計画した自作自演のテロなのである。
斉藤修助(近藤正臣)はブライトン製薬のCEOイーサン・ゴールドマン(イアン・ムーア)と食事しているではないか、という指摘があるかもしれない。
しかし、ブライトン製薬のCEOイーサン・ゴールドマンは3年前に、ブライトン製薬にきた人物で、以前は保険会社に在籍していたため、倒産させた日和製薬の社長の顔など知らないのだ。
斉藤修助(近藤正臣)と矢田部誠一郎(平泉成)とイーサン・ゴールドマン(イアン・ムーア)の3人は、一蓮托生の黒幕に思えるかもしれないが、11年前の日本人大使館立てこもり事件やアトロン薬害訴訟はイーサン・ゴールドマンがブライトン製薬にくる前の出来事なのである。
ドラマ「外交官・黒田康作」の結末を予想するヒントは、下原作のタイトルにあると思う。なぜ、原作は「天使の報酬」というタイトルなのか考えれば、結末は導き出される。「天使の報酬」とはどういう意味なのか。天使は何を指し、報酬は何を意味しているのかを。
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