原作「アリアドネの弾丸」のネタバレ感想文の最終回

高橋克典が出演するフジテレビ系のミステリードラマ「チーム・バチスタ3-アリアドネの弾丸」の原作となる海堂尊の小説「アリアドネの弾丸」の結末や黒幕のネタバレを含んだ感想文の最終回です。


このネタバレ感想文には、原作小説「アリアドネの弾丸」のあらすじや犯人や結末のネタバレが含まれているので、犯人や結末のネタバレを知りたくない人は閲覧にご注意下さい。
感想文の1ページ目は「アリアドネの弾丸のあらすじ」で、このページは「アリアドネの弾丸の犯人のネタバレ」からの津付きです
友野優一を殺した犯人のネタバレしておくと、友野優一を殺した犯人もキラー・ラビットこと宇佐見壮一だった。宇佐見壮一は2人を殺したのだが、黒幕の駒にしか過ぎない。
結末では黒幕の1人・斑鳩芳正(いかるが・よしまさ)にまで迫って欲しかったが、斑鳩芳正までは迫っていなかったので、斑鳩芳正は黒幕の1人として、シリーズを通しての敵となるのかもしれない。
(本当の黒幕は、噂として伝わる警視庁の非合法特命組織なのだろうが、「アリアドネの弾丸」の黒幕はとりあえず、警視庁から出向してきた斑鳩芳正と解釈しておく。)
友野優一殺人事件の犯人・宇佐見壮一を追い詰めるのに役立ったのは、AI(死亡時画像診断)だった。
AI(死亡時画像診断)の利点の1つは、全員をAIをしておけば、遺体の焼却後に事件が発覚したとしても、遺体のデータが引き出せるという点である。
しかし、友野優一殺人事件は、AI(死亡時画像診断)をしたとしても、死因がが分かるわけではないし、事件が発覚しないことがあることも意味していた。
それと同時に、白鳥圭輔がAI(死亡時画像診断)のデータを改ざんして証拠として使用していたので、AIの信頼性も揺らいだ。
原作小説「アリアドネの弾丸」では、「高階院長は収賄や人殺しをしない」という客観性の無い根拠から、「高階院長が犯人ではないから、真犯人は宇佐見壮一である」という結論を導きだし、白鳥圭輔はロジックの組み立てを始める。
最初に結論ありきで始まるロジックの組み立て方は、現実社会でも問題となっている、ねつ造事件が発生するプロセスと同じである。結論に合わすために証拠を改ざんするから、ねつ造事件が発生する。
だから、ロジックモンスター白鳥圭輔が最後に、犯人の宇佐見壮一を追い詰めるために、ねつ造した証拠を使った点は非常に残念だった
白鳥圭輔が改ざんしたのは、AI(死亡自画像診断)を解析したデータで、AIのデータ自体を改ざんできるのかは不明だが、AI導入派の白鳥圭輔がデータを改ざんしてはいけないと思った。
ただ、小説の中には、DNA鑑定のミスによって起きた冤罪事件「山崎事件」が登場していることから考えると、白鳥圭輔が証拠をねつ造したことは、AI(死亡自画像診断)を使ったねつ造事件への警鐘なのかもしれないとも思った。
原作小説「アリアドネの弾丸」は小説としては面白かったが、AI(死亡自画像診断)問題については、私の考えは「少し賛成」から「少し反対」へ傾いた。
100人の犯人を見過ごすよりも、1件の冤罪を産む方が怖い(真犯人の宇佐見壮一は冤罪ではない)。
さて、原作小説「アリアドネの弾丸」は、チーム・バチスタ・シリーズのメーンとなるテーマにAI(死亡自画像診断)に回帰しており、バチスタ色が出ていたので面白かった。
前半部分はエーアイセンター(AI問題)を取り上げており、後半は殺人事件という構成になっていた。
前半のエーアイセンターの話しはAI問題や主人公の田口公平に興味が無ければつまらないが、後半の殺人事件は72時間というタイムリミットもあったので、テンポもよく、一気に読み切ることができた。
前作「チーム・バチスタ2」の原作小説「ジェネラル・ルージュの凱旋」は速水晃一の収賄事件だったので謎解きがつまらなかったが、原作小説「アリアドネの弾丸」は医療知識を要するトリックを使った殺人事件なので面白かった。
原作小説「アリアドネの弾丸」はトリックも明快で面白いのだが、やはり見所は、ロジックモンスター白鳥圭輔が展開するロジックである。証拠をねつ造した点は残念だが、白鳥圭輔が強制捜査に来た犯人・宇佐見壮一を、理詰めでやり込めるシーンは痛快だった。
小説では白鳥圭輔は小太りの中年なのだが、私はフジテレビ系のドラマ「チーム・バチスタ」シリーズを観ているので、白鳥圭輔が登場すると、頭の中に仲村トオルが蘇る。やはり、白鳥圭輔は小太りの中年よりも、仲村トオルがお似合いだ。
さて、犯人や結末を知ってから原作小説「アリアドネの弾丸」をもう一度読み直すと、「これも伏線だったのか」とニヤリとしていまう場面も多い。実によく出来ている。チーム・バチスタ・シリーズでも1位・2位を争う面白さだ。
ドラマ「チーム・バチスタ」シリーズは脚本家も良いので、2011年7月期の夏ドラマ「チーム・バチスタ3」にも期待したい。

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コメント欄

はじまして
テレビドラマのチームバチスタシリーズで本作に入ったクチではありますが
今回ドラマでのトリックも良くできていて、犯人は誰のか
いや、うすうす解ってるが
どうしたらこうなるのか?
とか、視聴者や読み手に考えさせるところが非常に面白いです。
ドラマの方は、別チャンネルでやってる
ブルドクターと合わせてみると、また別の視点で観れて楽しい

  • 投稿者-
  • さつき

チーム.バチスタシリーズはずっと見ていますが、今回のアリアドネの弾丸の中で一つ気になったことがあります。それはアリアドネはギリシャ神話に登場する女神ということになっておりますが、女神ではなくクレタ島の王ミノス王の娘だと認識しております。

  • 投稿者-
  • 匿名

ご指摘の通りです。私も女神として扱うかを迷ったのですが、原作に下記の通り女神として扱っていたので、原作に沿って女神としました。
「古代ギリシャ神話、クレタ島の迷宮に住まう怪物、ミノタウルスを退治するために勇者テセウスを助けた女神、アリアドネ」(原作P253)

  • 投稿者-
  • 管理人

ドラマ3も新たな展開をむかえました。
原作を読んでいないため楽しめていますが、皆さんのコメントを読むうちに原作に目を通したくなりました!!!
今から本屋へ行ってきます

  • 投稿者-
  • 匿名

ん??
俺は弁護団の男が犯人だと思ってたけど違うの??
小説はよんでないからTVのはなしなんだけどね

  • 投稿者-
  • potiko

ドラマで初めてみました。DNAの型が一致する可能性が高く、指紋付きマッチを取得できて、注射ができる医療関係者。つまり島津では?松崎が家に入れるのも納得できますし、罪をかぶったまま納得の上で注射されるのもありですね。
松崎が釈放されないと引き続き犯行を繰り返せないので弁護団の人とも考えましたが、その間犯行を繰り返していたということで、弁護する意味が消えましたね。医療関係者じゃないし。

  • 投稿者-
  • たんぽぽ

はじめまして
私の松崎事件の真犯人予想は警察嘱託医・矢神先生ではないかなーと思います
内科医であること、現場で「心不全」の一言でごまかせること、そして松崎が釈放された後の最初の女子高生殺害事件の時に矢神先生が検死してるのですが、その時に体の調子が悪そうな描写があったことが原因です
前日の夜、屋外で犯行に及んでいたため風邪をひいた・・・という繋がりかなーと
結構他の条件にも当てはまる人だと思うのですが、どうでしょう?

  • 投稿者-

コメントありがとうございます。管理人です。最終的に私は、松崎事件(女子高生連続殺人事件)の真犯人を斑鳩芳正(高橋克典)と予想し、松崎行雄殺人事件の真犯人を井野悦郎(甲本雅裕)と予想しました。
島津吾郎(安田顕)も非常に怪しいです。外国で働いていたので、島津吾郎が犯人だと「時効の停止」が使えるので、犯人にしたいのですが、島津吾郎が逮捕されたらAIセンターが潰れてしまうと思ったので、犯人の予想から外しました。
嘱託医・矢神先生は残念ながら、犯人ではありまん。公式HPが犯人を当てるプレゼントクイズを実地しているのですが、その犯人候補に矢神先生の名前が無いのです。

  • 投稿者-
  • 管理人

井野悦郎が、犯人だと思います
松崎さんの写ってる写真を燃やす描写がありましたが
これができるのは、島津先生か井野だと考え(直接的な考えでないが)
松崎さん支援会がどのようにできたのか分かりませんが
無罪なら早くむしょから出てきてもらい事件をおこし
松崎さん罪を被せて松崎が犯人に再びしたてあげたいでしょうしね
島津先生がもし殺していたら笹井先生に解剖は頼まないと思います
あと全体の流れ的にここで斑鳩が犯人ではないと思います
毎回最後にまるで犯人かのように描かれている人は犯人ではないですし
総合的に見て井野悦郎ですね

  • 投稿者-
  • Q

 
(・α・)天才的~♪

  • 投稿者-
  • 非常ロさん