半沢直樹-帝国航空再生タスクフォースのモデルとネタバレ

堺雅人が主演するTBSの倍返しドラマ「半沢直樹（銀翼のイカロス）」に登場する「帝国航空再生タスクフォース」の実在のモデルとネタバレです。

■帝国航空再生タスクフォースのモデルとネタバレ

進政党の国土交通大臣・白井亜希子（江口のりこ）が、帝国航空を再建するために立ち上げた私的機関「帝国航空再生タスクフォース」のモデルは2つあります。

1つ目は「JAL再生タスクフォース」で、2つ目は「企業再生支援機構」です。

今回も解説が難しいのですが、実話の流れが分るように、要点を紹介していきます。

帝国航空のモデルとなった日本航空（JAL）は、多発同時テロ「9.11事件」やサーズやイラク戦争などの影響により、経営が悪化していました。

経営再建に向けて動いていたのですが、労働組合が8団体あったり、OBの企業年金の負担が重かったりで、経営は悪化の一途をたどっていました。

このため、自民党政権下の国土交通省が有識者会議を設置し、JALのリストラをとりまとめました。

しかし、2009年に民主党が政権を取って政権交代が起き、民主党の前原誠司が国土交通大臣に就任しました。

すると、前原誠司は企業再生のプロを集め、JALを再建するための私的な諮問機関「JAL再生タスクフォース」を設置し、JALに送り込みました。

さて、「半沢直樹」に描かれているように、「JAL再生タスクフォース」は法的根拠が無いにも関わらず、銀行に追加融資を要請したり、債権放棄を要求したので、銀行は反発しました。

しかし、JALが倒産して債権が焦げ付くよりも、債権放棄の方がよい事は明らかなので、銀行の反発はプロレス的なガス抜きだったとも言われてします。

当然、このまま行けば、銀行は債権放棄に応じると思われたのですが、事情は一転、二転し、JAL再生タスクフォースは公的資金の投入が必要だという判断になり、JAL再建は企業再生支援機構へ委ねられました。

スポンサードリンク

半沢直樹の原作では、東京中央銀行の常務・紀本平八が、常務の座をかけて債権放棄を主張し、東京中央銀行は債権放棄を決議します。

ただ、半沢直樹の依頼で、部長・内藤寛が、債権放棄について「開発投資銀行が債権を放棄しなかった場合は東京中央銀行も債権を放棄しない」という但し書きを付けました。

開発投資銀行は民営化が絶望的だったのですが、民営化に反対していた田所大臣が病気で閣議決定を欠席したため、一転して民営化が決まり、開発投資銀行は債権放棄を拒否しました。

このため、東京中央銀行も「但し書き」が有効となり、債権放棄を拒否しています。

しかし、実話は正反対で、開発投資銀行のモデルとなった政策投資銀行は民営化していません。

政策投資銀行は、民営化が決定したのですが、リーマンショック後の不況の影響で、民営化が撤回されています。

政策投資銀行は、JALに繋ぎ融資を行うときに、政府保証を求めるのですが、副総理の菅直人は「政策投資銀行は100%政府出資なので、政府保証は2重保証になる」と一蹴しました。

このため、半沢直樹が「但し書き」で債権放棄を拒否するエピソードは、原作「半沢直樹（銀翼のイカロス）」の創作だと思われます。

JAL再生タスクフォースは公的資金の投入が必要だと判断したので、JAL再建は企業再生支援機構へとバトンタッチされることになりました。

当然、企業再生支援機構の主導により、JALの再建が行われる事になるのですが、企業再生支援機構は中小企業を対象としてたので、JALのような大型案件は不得意だと考えられました。

そこで、JAL再生タスクフォースのサブリーダー冨山和彦は、JAL再建計画を作り、企業再生支援機構下でも、JAL再建の実務を取り仕切り、再建の主導権を握ろうとしました。

しかし、企業再生支援機構の瀬戸英雄は、会社更生法の適用拡大を狙っており、JAL再生タスクフォースの介入を拒否し、副総理の菅直人にJAL再生タスクフォースの排除を訴えました。

そこで、菅直人が、国土交通大臣の前原誠司から、JAL再生の主導権を奪ったので、JAL再生タスクフォースは解散に追い込まれました。

その後、菅直人と企業再生支援機構の主導により、JAL再建計画が進められていき、JALはプレパッケージ型（事前調整型）の会社更生法の適用を申請することになりました。

三井住友銀行などのメガバンクは、怒って独自に私的整理によるJAL再建計画を作成するのですが、結局、JALは2010年1月19日に会社更生法の適用を申請しました。

怒ったメガバンクは再建計画に合意せず、JALの再建は出だしからつまずくのですが、メガバンクは最終的に約8割の債権を放棄しました。

スポンサードリンク