半沢直樹-黒崎駿一(片岡愛之助)のモデル目黒謙一の経歴

堺雅人が主演するTBSのドラマ「半沢直樹」に登場する金融庁の検査官・黒崎駿一(片岡愛之助)の実在のモデルは、金融庁の切り込み隊長・目黒謙一です。

ただし、黒崎駿一(片岡愛之助)がオネエ系の部分は、別に実在のモデルがいます。

■黒崎駿一のモデル目黒謙一の経歴

目黒謙一は昭和22年(1947年)5月17日生まれ。昭和41年に高卒で大蔵省に入省し、金融・保険行政に従事。1980年に大蔵省の銀行局検査部金融検査官となりました。

1998年、大蔵省接待汚職事件を切っ掛けに、大蔵省から独立する形で、金融監督庁が発足したことにともない、目黒謙一は金融監督庁に出向しました。

そして、目黒謙一は、高卒からのたたき上げで、1999年にノンキャリア組の検査官のトップである金融監督庁の検査部検査総括課統括検査官へと上り詰めました。

この金融監督庁が2000年に「金融庁」と解消したので、目黒謙一も金融庁の検査官となります。

目黒検査官は、大蔵省接待汚職事件の教訓から、銀行からは何も受け取らず、食事もお茶も持ち込みで検査に望みました。

また、通常の検査官は銀行からヒアリングをしながら検査を進めるのですが、目黒検査官は資料を持って部屋に閉じこもり、資料と格闘した後、いきなり担当者を呼んで格下げを通告するというスタイルで、行く先々の銀行を震え上がらせました。

そのようななか、2002年に金融担当大臣・竹中平蔵が金融再生プログラム(竹中プラン)を発表し、銀行の不良債権の半減を目指しました。

目黒検査官は、銀行の国有化を目指す竹中平蔵の急先鋒として、2002年にみずほ銀行に乗り込み、みずほ銀行に2兆円の損失を突きつけました。

このため、みずほ銀行は1兆円の資本不足の陥り、国有化のピンチを迎えます。

しかし、みずほ銀行は、メガバンクというメンツを捨てて、融資先3400社に頼み込み、1兆円を増資するというなりふり構わない奇策で、国有化のピンチを気に抜けました。

その後、りそな銀行は、会計基準の厳格化の余波を受け、自己資本比率が基準値を下回り、2003年に公的資金の注入を受けて国有化されました。

一方、金融庁の目黒謙一は、UFJ銀行の検査を行うことになります。

このUFJ銀行の検査が、ドラマ「半沢直樹」の伊勢島ホテル事件のモデルとなります。

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■半沢直樹-伊勢島ホテル事件のモデル

1998年、大蔵省接待汚職事件を切っ掛けに、大蔵省から独立する形で、金融監督庁(金融庁)が発足しました。

この大蔵省接待汚職事件で、大蔵省の職員が処分され、数人の幹部が有罪判決を受け、そのうち数人が自殺しました。

このため、目黒謙一はもちろん、大蔵省(金融庁)は、大蔵省接待汚職事件に関わっていたUFJ銀行を強く怨んでいたと言われてします。

その金融庁の目黒謙一が、2003年にUFJ銀行の検査を行います。

すると、内部告発の電話があり、目黒謙一は、UFJ銀行のダイエーに関する機密資料(2重帳簿)を発見し、一気にUFJ銀行を追い詰めます。

しかし、経営再建中のダイエーは経済産業省の管轄下にあったので、UFJ銀行とダイエーは、経済産業省に助けを求めて、ピンチを乗り切りました。

こうして、UFJ銀行と金融庁は全面戦争へと突入し、金融庁はUFJ銀行の計4回の特別検査を実施して、業務改善命令を出します。

さらに、目黒謙一はUFJ銀行に、ダイエーに対する引当金の増額を要求します。

そこで、UFJ銀行は、UFJ信託銀行を3000億円で住友信託銀行へ売却して、ピンチを切り抜けようとしました。

しかし、査定が甘めで有名な監査法人が、金融庁側についてしまいます。

UFJ銀行は、監査法人の甘めの査定がなければ、UFJ信託銀行を売却してピンチを脱することはできないので、金融庁に降伏しました。

こうして、UFJグループのトップ3人が辞任したのですが、UFJ銀行の人事が金融庁の逆鱗に触れました。この人事では銀行の体質が何も変わっていなかったのです。

このため、激怒した金融庁は、UFJ銀行への攻撃を止めません。検査忌避についても、刑事告訴の姿勢を示しました。

さらに、金融担当大臣・竹中平蔵は、目黒謙一に大手銀行を担当する第1部門から第5部門を兼任させるという異例の人事を発動し、UFJ銀行を降伏させた勢いに乗って、銀行界を一気に支配しようとしました。

こうした動きに危機感を覚えたのか、東京三菱銀行がUFJ銀行に合併を持ちかけます。

すると、三井住友銀行が横やりを入れ、東京三菱銀行と三井住友銀行がUFJ銀行を奪い合うのですが、最終的に東京三菱銀行とUFJ銀行が合併し、2006年に「東京三菱UFJ銀行」が誕生しました。

ドラマ「半沢直樹」では、黒崎駿一(片岡愛之助)が半沢直樹に敗北してしまうのですが、実話では金融庁の目黒謙一がUFJ銀行を消滅へと追い込んでいます。

■伊勢島ホテルのモデルと目黒謙一のその後

ドラマ「半沢直樹」に登場する「伊勢島ホテル」の実在のモデルは、ダイエーと某ホテルです。某ホテルは名前を忘れたのですが、現在もホテルを経営しています。

黒崎駿一(片岡愛之助)のモデルとなった目黒謙一は、その後、2007年に金融庁を退官し、2009年まで金融庁の参事を務めました。

そして、目黒謙一は、プロモントリー・フィナンシャル・ジャパンの上級顧問や全国保証の監査役を務めていたのですが、晩年はガンで闘病生活を送り、2019年12月に死去しました。72歳でした。

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■銀翼のイカロス

話しは前後しますが、黒崎駿一(片岡愛之助)は、「半沢直樹」の原作「銀翼のイカロス」にも登場したので、実話を紹介します。

「銀翼のイカロス」の黒崎駿一(片岡愛之助)は、東京中央銀行の検査で、帝国航空と取引先「舞橋ステート」の追求します。

このエピソードの実話は、2005年に目黒謙一が三井住友銀行へ検査に入ったエピソードです。

三井住友銀行は、住友銀行時代に融資第三部で問題債権を扱っていたのですが、問題債権の処理を引き延ばしていました。

しかし、検査に入った目黒謙一が問題債権2兆円の処理を迫り、三井住友銀行は1兆円の赤字に転落します。

このため、三井住友銀行の頭取・西川善文が引責辞任しています。

こうして、銀行は金融庁の目黒謙一によって苦しめられ、不良債権に対して引当金を積んで業績が悪化するのですが、その後の株価上昇などの影響で引当金が解放され、一気に業績を改善しました。

なお、「半沢直樹」に登場する頭取・中野渡謙(北大路欣也)のモデルは、三井住友銀行の頭取・西川善文なので、詳しくは「半沢直樹-頭取・中野渡謙(北大路欣也)のモデル」をご覧ください。

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