朝ドラ「おちょやん」のモデル浪花千栄子の自伝「水のように」の感想

朝ドラ「おちょやん」のモデルとなる女優・浪花千栄子の自伝「水のように」の感想文です。

■自伝「水のように」の感想

浪花千栄子の自伝より
NHKの朝ドラ「おちょやん」が始まるので、モデルとなる浪花千栄子の自伝「水のように」を読んだ。

浪花千栄子は自伝の中で、自分を「泥水」と例えており、人生の流れに抵抗することなく、水のように流れていく人生を歩んできたことから、「水のように」というタイトルを付けたのだと考えられる。

タイトル通り、浪花千栄子は、周囲の人に翻弄されながら、流されていく。その様子が面白かったが、残念ながら、エピソードは装飾されていた。

たとえば、実話の浪花千栄子は、女優になどなりたくなかったのだが、京都のカフェー「オリエンタル」で出会った女給ユリちゃんと出会って、否応なく女優の道へと引き釣り込まれたし、喜劇など嫌いで嫌いで仕方が無かったのだが、「松竹家庭劇」という喜劇団に入り、喜劇女優としての人生を歩んおり、自伝よりも波瀾万丈の人生だった。

また、「書かれていない部分」というのも多くで残念だった。例えば、夫となる2代目・渋谷天外との出会いだ。

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■自伝には描かれなかった渋谷天外との出会い

大正3年、2代目・渋谷天外は、東京の小学校へ通う予定で、父親が主催する喜劇団「楽天会」の東京巡業に付いていったとき、子役が急病で出られなくなったので、その代役として「楽天会」の舞台に出演して初舞台を踏んだ。

すると、綺麗な女性がチヤホヤとしてくれるので、2代目・渋谷天外は「役者もええなあ」と思い、そのまま「楽天会」の子役となったが、大正5年に父親が死去してしまう。

2代目・渋谷天外は役者になどなりたくなかったので、「楽天会」を辞めようとしたが、大人達が許してくれず、そのまま「楽天会」に残り、道頓堀の芝居茶屋「岡島」に居候をしながら、芝居を続けることになった。

2代目・渋谷天外が居候する芝居茶屋「岡島」の向かいに、仕出し料理屋「浪花料理」があり、この「浪花料理」で浪花千栄子が「おちょやん(子供の女中)」をしていた。

「岡島」と「浪花料理」は親戚同士で交流があったので、浪花千栄子は道頓堀で「おちょやん」をしていた時代に、2代目・渋谷天外と知り合っていたのである。

他にも、2代目・渋谷天外が松竹新喜劇の女優・九重京子と不倫をするエピソードなどがあるのだが、その辺のエピソードも自伝では紹介されていなかった。もっと裏話的なエピソードも紹介して欲しかった。

他の解説本も全て、この自伝を元にしているので、朝ドラ「おちょやん」を観て、浪花千栄子に興味を持ったら、ぜひ、自伝を読んでみると良いだろう。

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