比企能員の変（乱）-わかりやすく解説した家系図と相関図

NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、北条義時が主人公を務めることになりました。

そこで、今回は北条義時が関わった「比企能員の変（比企能員の乱）」をわかりやすく家系図と相関図を交えて解説します。

比企能員の変-わかりやすい家系図と相関図

「比企能員の変」とは、建仁3年（1203年）9月に、鎌倉幕府の将軍家外戚である比企能員（ひき・よしかず）と北条時政（ほうじょう・ときまさ）が争った鎌倉幕府内での派閥争いです。

「比企能員の変」を出来るだけ分りやすく相関図で表すと、下記の図の様になります。

相関図が複雑になるので省略したのですが、北条方の阿野全成は源頼朝の弟です。

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北条時政は伊豆国（静岡県）の小さな豪族で、伊豆に流されてきた源頼朝の監視役を務めていました。

源頼朝は、北条時政の娘・北条政子（まさこ）に手を出します。

北条時政は2人の関係を知り、平家側に知られると困るので、北条政子を平家側の豪族に嫁に出そうとしたのですが、北条政子は結婚式場から逃げ出して、源頼朝の元へと走り、源頼朝と結婚します。

その後、源頼朝は平家に対抗するために挙兵して、関東を制圧し、平家を滅ぼして鎌倉幕府を開き、征夷大将軍に任命されました。

北条政子が源頼朝の正室だったことから、北条時政は将軍家外戚として勢力を拡大していくのですが、源頼朝が死去し、源頼朝の嫡男・源頼家（よりいえ）が第2代将軍に就任すると、北条家は将軍家外戚から外れてしまいます。

一方、比企家は将軍家の乳母や乳母父を務め、将軍家と結びつきが強いうえ、比企能員の娘・若狭局が側室ながら、第2代将軍・源頼家の嫡男・一幡（いちまん）を産んでおり、比企家は将軍家外戚として勢力を拡大していました。

さらに、第2代将軍・源頼家は側近の梶原景時を失ったことから、さらに比企能員を頼るようになってしました。

北条時政は、比企能員を脅威に思い、北条政子と源頼朝の間に生まれた次男・源実朝（さねとも）を擁立し、第3代将軍に就けようと画策します。

源頼朝の弟・阿野全成は、北条時政に味方するのですが、第2代将軍・源頼家から謀反の疑いを掛けられ、討たれてしまいます。

そのようななか、第2代将軍・源頼家が陥ると、北条時政は関西38カ国を源頼朝の次男・源実朝に相続させ、関東28カ国を源頼家の嫡男・一幡（いちまん）に相続させる分割相続を決定します。

比企能員は、蚊帳の外に置かれており、分割相続を知って驚きます。

そこで、比企能員の娘・若狭局は、病床の第2代将軍・源頼家に北条時政の討伐を催促し、源頼家が北条時政の討伐を決定し、比企能員を枕元に読んで密談を始めます。

しかし、たまたま障子の向こうで北条政子が、話を聞いており、父・北条時政に知らせます。

怒った北条時政は、鎌倉幕府の重鎮・大江広元に相談すると、江広元は「私は戦について語ることができないので、十分に考えてください」と答えた。

北条時政は、大江広元の言葉を都合良く解釈したらしく、薬師如来像の供養を口実に、比企能員を招くことにして、使者を送ります。

使者を受けた比企能員の側近は、出席を反対したり、武装する事を主張するのですが、比企能員は「武装すればかえって誤解を招くことになる」として、武装せずに北条時政の屋敷を訪れます。

しかし、北条時政側は武装して待ち構えており、比企能員は天野遠景と仁田忠常に討ち取られました。

逃げ帰った比企一族は、一幡が住んでる小御所に立てこもると、北条政子は比企一族による謀反として、討伐軍を派遣します。

この討伐軍の大将を務めたのが、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公・北条義時で、北条義時らは比企一族を攻め立てます。

比企一族は必死に抵抗したのですが、最後は力尽きて、屋敷に火を放ち、自害し、第2代将軍・源頼家の嫡男・一幡（いちまん）も炎に包まれて死にました。

この一方で、北条時政は将軍・源頼家が生きているにもかかわらず、京都の朝廷に「源頼家が死去したので、源実朝が後を継いだ」と報告し、源実朝を征夷大将軍に就任させます。

さて、将軍・源頼家は比企一族が滅ぼされた事を知って激怒して、北条時政の討伐を命じるのですが、北条時政に逆らおうとする者はほとんど居らず、将軍・源頼家は北条時政によって将軍の座を追われて、伊豆国の修禅寺へと押し込められ、最後は北条義時の手勢によって暗殺されました。

歴事上の出来事の「変」と「乱」の使い分けには諸説があり、正解は分りません。

「比企能員の変」については、「比企能員の変」と書いてある資料と、「比企能員の乱」と書いてある資料があり、どちらが正解は分りません。

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