元彼の遺言状-森川栄治の遺言書のトリックのネタバレ

綾瀬はるかが主演するフジテレビのドラマ「元彼の遺言状」の森川栄治の遺言書のトリックを原作ベースで解説します。

このページには「元彼の遺言状」の原作のネタバレが含まれているので、ドラマを見終えてない方は閲覧にご注意ください。

元彼の遺言状-森川栄治の遺言書ネタバレ

森川栄治が「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」「3ヶ月以内に犯人が特定できない場合は、国庫に帰属させる」「犯人が特定出来ない場合も国庫に帰属させる」という遺言状を残して死んだ。

森川栄治は、森川製薬の大株主で、森川製薬の株1080億円を保有しており、森川栄治の遺産を目当てに大勢の人が「我こそは犯人だ」と名乗り出た。

しかし、森川栄治はどうして、摩訶不思議な遺言状を残したのだろうか。

スポンサードリンク

元彼の遺言状-森川栄治の遺言書の目的ネタバレ

森川栄治が「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という不思議な遺言状を残した理由は、3ヶ月の猶予を作るという時間稼ぎだった。

森川拓未が会社「ゲノムゼット」を購入して、森川製薬との共同研究で、老人の筋肉増強剤「マッスルマスターゼット」を開発した。

しかし、反社会的勢力が会社「ゲノムゼット」の技術に目を付け、会社「ゲノムゼット」に言いがかりを付けていた。

森川拓未は反社会的勢力の事を知らずに「ゲノムゼット」を購入しており、反社会的勢力とのトラブルをそのまま引き継いでしまった。

そこで、森川栄治と森川拓未と村山弁護士は、「ゲノムゼット」を国庫に帰属させれば反社会的勢力も手出しは出来ないと考え、「ゲノムゼット」を国庫に帰属させることにした。

しかし、「ゲノムゼット」を国庫に帰属させると、株主が変わる事になるので、筋肉増強剤「マッスルマスターゼット」の認可が下りない可能性がある。

「ゲノムゼット」の株主が変わっても「マッスルマスターゼット」の認可を得るためには、根回しに3ヶ月の猶予が必要だった。

そこで、森川栄治と森川拓未と村山弁護士が話し合い、時間を稼ぐために森川栄治の「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言状を作った。

つまり、犯人捜しや犯人選考会は茶番劇で、森川栄治の本当の目的は「マッスルマスターゼット」の許認可を得るための時間稼ぎだったのである。

元彼の遺言状-遺産相続の結末ネタバレ

森川栄治はインフルエンザで死んだことになっていたのですが、本当は堂上先生に殺されており、堂上先生が逮捕されたものの、犯人選考会は逮捕された堂上先生を犯人と認めなかった。

森川栄治は、堂上真佐美と不倫をしており、堂上真佐美の子・堂上亮はDNA的に森川栄治の子供だった。

森川栄治の父親である社長・森川金治は、森川栄治の遺言書の無効を主張していたが、森川栄治に子供が居た事が判明したので、遺言状の無効の主張を取り下げた。

このため、森川栄治の子・堂上亮が法律で定められた遺留分(遺産の2分の1)を相続することになり、「ゲノムゼット」の株を国庫に帰属させ、「ゲノムゼット」を反社会的勢力から守った。

スポンサードリンク

元彼の遺言状-遺言トリックの凄さ

「元彼の遺言状」は「このミステリーがすごい大賞」を受賞したので、犯人探しのミステリー部分ばかりが注目されているが、私が一番凄いと思ったのは、遺言状のトリックである。

そこで、私なりに遺言状のトリックを解説したい。

森川栄治が「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という遺書を残した理由は、時間稼ぎだったのだが、「元彼の遺言状」では語られていないもう1つのトリックが存在する。

実は森川栄治の遺言状がなければ、「ゲノムゼット」を国庫に返納する事ができないのである。

現状の法律では、遺産を相続する者は「全てを相続する」もしくは「全ての相続を放棄する」の二択であり、好きな遺産だけを選んで相続するという事ができないし、不要な財産だけを放棄するという事も出来ない。

(厳密に言えば、「限度認証」という相続方法なら相続する遺産を選べるが、限度認証は特殊な相続方法なので、例外とする。)

だから、ど田舎の実家を相続して困っている人が多い。

ど田舎なので固定資産税などは大した額ではないのだが、草や木が伸びると近所から苦情が来るので、草刈りをするために実家に帰らなければならない。

すると、休日は潰れるし、交通費もかかるるので、売却したいと思っても、売るに売れず、困っている人が大勢居る。

相続した要らない土地を国庫に返納しようと思っても、システム的に出来ない。どうしても相続したくないのであれば、全ての相続を放棄しなければならない。

現在の法律では、要らない財産だけを放棄するという事が出来ないのだ。

寄付すればいいのではないかと考える人も居るかもしれないが、

つまり、反社会的勢力とトラブルを抱えている「ゲノムゼット」だけを相続しないという方法はなく、「ゲノムゼット」を国庫に返納するためには、森川栄治の遺言状が必要だったのだ。

森川栄治がどのような遺言書を残していたとしても、森川栄治の実子である堂上亮は法律で定められた遺留分(遺産の2分の1)が認められており、相続権を主張すれば、遺産の半分を相続する。

そして、残り半分は、犯人が見つからなかったので、森川栄治の遺言状に従って、国庫に帰属させる。

こうして、「ゲノムゼット」を国庫に帰属させる事で、反社会勢力が「ゲノムゼット」に出だしていなくなるようにしたのである。

こうした点は注目される事はないだろうが、遺言状を使って、一部の遺産を国庫に帰すという点が遺言トリックは「元彼の遺言状」を理解するうえで重要な要素である。

「元彼の遺言状」はミステリー小説なので、犯人捜しの部分ばかりが注目されるだろうが、ラノベでこういうスキームが組めるのは凄いと思うので、次作にも期待したい。

ちなみに、相続した不要な土地を国庫に帰す事は出来ないと紹介したが、2023年から、相続した不要な土地を国庫に返納する事が出来る「国庫帰属制度」が始まるので、不要な土地を相続した人は国庫に返納すると良いだろう。

元彼の遺言状-遺留分のネタバレ

死んだ森川栄治にDNA上の子供が居たなんて都合が良すぎだと言う人も居るかもしれないが、子供が居たというのは結果論に過ぎない。

相続権の1位は子供で、子供が居ない場合は、相続順2位の両親が相続し、両親も居ない場合は相続順3位の兄弟が相続する。

つまり、森川栄治にDNA上の子供が居たという事は結果論であり、子供が居なくても、父親の森川金治が遺留分を主張するはずなので、子供が居ても居なくても、「ゲノムゼット」を国庫に帰属させる計画は成立するのである。

元彼の遺言状-あらすじとネタバレ」へ続く。

スポンサードリンク

コメントを投稿する

コメントは正常に投稿されていますが、反映に時間がかかります。