パンドラの果実-原作「SCIS・科学犯罪捜査班」の感想
「パンドラの果実」の原作「SCIS・科学犯罪捜査班・天才科学者・最上友紀子の挑戦」の感想です。
パンドラの果実-原作の感想
「パンドラの果実」の原作「SCIS・科学犯罪捜査班」を読んだ。面白かった。
原作のテーマは「都市伝説」で、原作は都市伝説をちりばめたSF(サイエンス・フィクション)である。
都市伝説にも色々なジャンルがあるのだが、「パンドラの果実」の原作は最先端科学の都市伝説を取り扱っており、トランスヒューマニズムをテーマにしている。
トランスヒューマニズムとは、科学の力を使って人間の能力を進化させるという考え方である。
現在はスマホをかざすだけで支払いが出来るが、既に現実の世界で、手にマイクロチップを埋め込んで、手をかざすだけで支払いを済ませるという人たちが存在する。
日本でどれくらい普及しているのかは不明だが、以前、テレビを観ていると、手にマイクロチップを埋め込んでいるという人がインタビューに答えていたので、以外と若者の間で普及しているのかもしれない。
体の中にマイクロチップを埋め込むことを嫌悪する人も居るかもしれないが、義手や義足の他にも、眼鏡や入れ歯なども、科学の力で身体を向上させているので、広い意味で言えば、トランスヒューマニズムとも言える。
もっと広い意味で言えば、整形手術やネイルなども、トランスヒューマニズムと考える事事も出来るので、広い意味ではトランスヒューマニズムは普及していると言える。
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パンドラの果実-冷凍保存の値段
小比類巻祐一は、死んだ妻・亜美を冷凍保存していたのだが、現実の世界でも人体を冷凍保存する人が増えている。値段はピンキリで、数百万円から2000万円である。
世界で初めて人間は冷凍保存されたのは1966年のことで、それ以降、続々と冷凍保存されている。
しかし、現時点では冷凍保存した人間を解凍しても細胞レベルで損傷が発生するので、生き返られる事は不可能である。
あくまでも、科学技術が発達し、冷凍させた人間を損傷することなく、解凍できる技術が確立されたことに期待するものでありる。
ちなみに、冷凍マグロは、解凍すると、タンパク質が旨味成分へと変化していくので、解凍後1日~2日寝かせてから食べると美味しい。
パンドラの果実-クローンを愛せるのか?
小比類巻祐一の妻・亜美はクローンだった。亜美の母親は不妊治療を受けて亜美を産んでおり、そのときにクローンを仕組まれたようだ。
だから、妻・亜美と同じ人間が何人か存在するのだが、小比類巻祐一は妻のクローンを愛する事はできるのだろうか、と思った。
妻・亜美のクローンといえども、記憶が無いので愛せないのだろうか?
だとすれば、妻・亜美が記憶喪失になったら、小比類巻祐一は妻・亜美を愛せないのだろうか?
妻・亜美のクローンに、妻・亜美の記憶を移植すれば、小比類巻祐一の妻・亜美のクローンを好きになるのだろうか?
そう考えると、人間ってなんなのだろうか、と思った。
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「パンドラの果実-感想
「パンドラの果実」の原作は面白かった。
私はある程度、都市伝説をチェックしてるので、原作の3巻までに登場した都市伝説はほとんど知っていた。
唯一知らなかったのは、ゾンビウイルス(蘇生ウイルス)だった。
私が知っているのはゾンビパウダーの方である。
ゾンビは都市伝説などではなく、実在しており、ゾンビパウダーはゾンビを作るための薬だ。
フグなどの毒から作ったゾンビパウダーを肌から摂取させると、ゾンビパウダーを摂取した人は死んで埋葬(土葬)されるが、仮死状態なので、土の中で目を覚ます。
それを掘り起こして、奴隷にする。それが実話のゾンビだ。
ゾンビは定期的に薬を飲まされて、思考能力を失い、肉体労働をさせられていた。
実話のゾンビは、映画などに出てくるゾンビとは全く違うのである。
さて、原作ではルカ・ウイルス等も出てきて面白かった。原作の3巻まで読んだ限りでは、ミトコンゴリア・イブが出てこなかったのは残念だった。
ミトコンゴリア・イブの話も面白いので、ミトコンゴリア・イブも取り上げて欲しいと思った。
まだ原作の3巻までしか読んでいないが、続きが楽しみだ。
「パンドラの果実」の原作の縦軸
「パンドラの果実」の原作は、刑事・小比類巻祐一の妻・亜美のエピソードが縦軸のストーリーとなっている。
小比類巻祐一の妻・亜美は、がんが見つかったのだが、妊娠していたため、ガン治療を拒否し、娘が生まれると死亡した。
小比類巻祐一は妻・亜美を密かに冷凍保存して、妻・亜美の病気を直せる医療が確立するのを待っていた。
原作では、この妻・亜美を冷凍保存したエピソードが縦軸となり、色々な事件が横軸として展開されていき、縦軸に絡んでいくことになる。
そして、重要になってくる人物が「教授・榊原茂吉」「天才博士・最上友紀子」「カール・カーン」の3人である。
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原作の縦軸はクローン
「パンドラの箱」の原作に登場するカール・カーンは、科学の力で人間を進化させる「トランスヒューマニズム」という思想を普及させる「ボディハッカー・ジャパン」の代表である。
カール・カーンは、「パンドラの箱」の原作で起きた数々の事件の黒幕と思われているのだが、カール・カーンに似た男性が複数人、存在する事が判明し、カール・カーンもクローンだった事が判明する。
そして、カール・カーンのオリジナルは、最上友紀子を学会から追放した教授・榊原茂吉だった。
教授・榊原茂吉は、最小限のゲノムを持つ人口生命体「シンプリン」を突然変異で進化させ、「シンプリン」に雌雄を持たせた事が評価され、ノーベル賞候補となっていた。
天才と呼ばれる教授・最上友紀子が書いた論文は、生命を進化させるのはウイルスだという内容で、教授・榊原茂吉の研究を真っ向から否定するものだった。
このため、教授・榊原茂吉は教授・最上友紀子を追放した。
さて、教授・榊原茂吉のクローンは、カール・カーンの他にも沢山居り、事件を起こしたり、隠蔽してたりしていた。
しかし、クローンは、教授・榊原茂吉と意識や記憶を共有しているので、全て自分の判断で動いており、教授・榊原茂吉の指示は受けていなかった。
教授・榊原茂吉はホログラフでの通話で話しただけで、カール・カーンも1年ほど会っておわず、生きているのかは分からないようだ。
妻・亜美もクローンで、亜美と同じ顔をしたクローンの存在が確認されているのだが、妻・亜美のオリジナルは原作の第4巻では判明していない。
なお、原作のネタバレは「パンドラの果実-原作と犯人と黒幕ネタバレ」をご覧ください。
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